「風は大丈夫?」
「今は、まだ大丈夫です。これから、吹いて来る予報ですね」
朝間詰めから、北西の風が吹いている。
大島の陰から離れると、白波が立っている。
「この辺りしか、無いかな…」
心の中で、悪天候を恨みながら、竿を出していく。
瀬周りを攻めていると、東原さん、村山さんにアタリが来た。
良い感じで、竿が曲がっている。
村山さんの獲物が、見えてきた。
「アカハタですね」
東原さんの獲物も、アカハタだ。
良型のアカハタに、ホッとした笑顔で見える。
ポイントをずらしながら、船を流していく。
オジサンが、ヒットしてきた。
強い引きに、一瞬「イサキかな」と思ったが…。
今度は、赤木さんにアタリが来た。
良い引きを見せている、獲物は何だろう。
姿が見えてきた。
大きなイラだった。
みそ焼きなどが、美味しいと書いてある。
風が強くなる前に、沖に出てみた。
ベイト反応がある。
そのベイト目掛けて、仕掛けを入れていく。
直ぐにアタリが来た。
その正体は、丸々と太った鯖だった。
「これだけ太っていれば、良いですね」と、話が出る。
仕掛けが、落ちていく途中でヒットしてくる。
しかし、北西の風が強烈になってきた。
仕掛けを重くしても、着底が取り難くなってきた。
大島の島影に戻るが、風がきつい。
北西の風で、水温に影響が出てきたのだろうか…。
アタリが、出なくなってきた。
海上は、白波だらけになってきた。
「移動出来るポイントは限定されるし、残念ですが引き上げますか」
強い北西の風に向かって帰る途中は、波飛沫が高かった。