中之条ガーデンズを出て国道353号に出る。四万川を左に見たり、右に見たりしながら北上する。
沿線には、中之条ダムがある四万湖や、四万の甌穴群など観光スポットもあるが、足弱な妻との二人旅ではちょっと荷が重い。
ひたすらロード・トリップすること40分ほどで四万川ダムによって誕生した奥四万湖に到着する。
マップをご覧いただくとわかる通り、目的地を「四万川ダム」で検索すると、なぜか湖をぐるっと一周してダムの対岸へと導かれることになる。
僕はゴリラを積んでいるのだが、そのナビゲーションでもGoogleマップと同様な検索結果となった。そう、一方通行になっているようなのだが、奥四万湖の周囲に設えられた狭い道路をくるくるとカーレースさながらに周回させられたのだ。
天端( てんば:ダムや堤防の一番高い部分)から湖畔を眺めたり、洪水吐設備がある反対側の下流域を眺めるだけなら、堤体(ダムまたは堤防の本体)手前右側にある駐車場に入れればいいだろう。
四万川ダム周辺をGoogle マップで見てみる。
奥四万湖、ならびに四万川ダムを有名にしたのは、その湖面の色だという。ある人はコバルトブルーといい、また、ある人はエメラルドグリーンだという。
いつしかそれは、誰言うとなく「四万ブルー」と言い慣わすことになったとか。
📷2022年10月4日:奥四万湖は一周4Kmほどだが、周回コースは曲折がありなかなか面白い。
📷2022年10月4日:堤体のほぼ中央部分に洪水吐設備が見える。
「出藍の誉れ」という言葉がある。『荀子 勧学篇第一』に「青、取之於藍、而青於藍」とある。
読み下すと、「青は、これを藍より取りて、藍より青し」となり、デジタル大辞泉では「青色の染料は草の藍からとるが、それはもとの藍草よりももっと青い。弟子が師よりもすぐれていることのたとえ。」との解説が付されている。
コバルトブルーでもなく、エメラルドグリーンでもない、「四万ブルー」とすることにより殊更に秀でた青がここに創造されたわけである。そして、その青を見たさに人々が集まる。これっ、マーケティングの勝利ってやつかな。
📷2022年10月4日:真っ青な湖面が特徴といわれる奥四万湖。果たして、なぜにそこまで青いのだろうか?
さて、この青の正体なのだが、ダムに詳しくないので何とも申し上げられないが、他のダム湖の湖面の色と比較してどうなのだろう?
一説には、アモルファス、または結晶化度の低い水和アルミニウムケイ酸塩でできた粘土準鉱物である「アロフェン」によるとされる。しかし、詳しいことはわかっていないようだ。
どんなことが原因であろうとも、四万ブルーは四万ブルーとしてそこにあるのだし、ただただ人々を魅了してやまないそんな青なのだからずっとそのままでいてほしいと思う次第である。
ただ、論理的に理解しないと納得がいかないという方、まっぷるトラベルガイド編集部の「奥四万湖と湯釜の色の秘密!コバルトブルーにエメラルドグリーン!」をご覧になってみたらいかがだろうか。
📷2022年10月4日:天端から見て右側、建物下部から線路のようなものが伸びている。それが、インクライン。
📷2022年10月4日:インクラインとは何ぞや?
ねっ、インクラインの謎は上記のプレートで解けたでしょ。
さて、これから「四万 日向見公園」に行ってみよう。そう、その公園では、堤高(ダムの高さのこと)89.5mある四万川ダムの堤体を下から見上げて鑑賞することができる。
📷2022年10月4日:なっ、なんじゃこりゃ~? タデ科のようだが。。。
📷2022年10月4日:う~んっ、これはアキノウナギツカミとかいうやつかな?
駐車場へ戻り、車を出そうとしたら、斜面に赤いボンボンが揺れていた。何だろう? エンジンを止め、カメラを携えて確認しにそのボンボンのところへ。
まさしくタデ科、ミゾソバほど愛らしくはないが、くるっとして愛嬌はある。あっ、タデ科イヌタデ属の一年草、ウナギツカミか! 話には聞いていたが見るのは初めてだ。小さな発見がここでもあったことを喜ばしく思う。
📷2022年10月4日:おっ、下から見ても、なかなかの迫力だ!
堤高が89.5mとなると、23階建てのウェスティンホテル東京(89.9m)に匹敵するらしい。なかなかの迫力だね。
常用洪水吐(こうずいばき:ダムの水を安全に流下させるための放流設備のこと)から水が流れているのがわかる。
📷2022年10月4日:上から見た減勢工。右側が公園になっていることがわかる。
排出された水は、いったん減勢工(げんせいこう)へと導かれる。
減勢工? 洪水吐の最下流部分に設けられ、水勢を抑制するための設備だという。
📷2022年10月4日:日向見公園では、白花のゲンノショウコを発見!
この日(10/4)の午後からはダムが主役となってしまったが、みん花卒業生としては花のことも忘れてはいけないよね。
ここでは、白花のゲンノショウコを発見した。なかなか可憐な花だったよ。
さて、これから今日の宿泊先へと向かう。もちろん、宿に着いたら周辺の散策だ。どんな花との出会いが待ち受けているのだろうか?
*本ブログのダムに関する記述は、日本ダム協会「ダム便覧2021」、ダムマニアさんの「四万川ダム」などを参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。また、見当違いな記述、間違い等ありましたらご指摘くださいますようお願い申し上げます。