2000年の秋、只々布が好きだった専業主婦の私は、布の物作リをベースにする会社を無謀にも立ち上げた。あふれるほどの洋服が巷にあるのに、着たいものがない。欲しい小物がない。それならば「私が作ろう!」と。
「鎌倉今村って、洋服もやっていたんですか?」とよくお客様に聞かれます。そうなんです、洋服からスタートしました。(洋裁学校出の友人を巻き込む)
これはすぐに挫折しました。何しろ洋服というのはサイズ違い、デザイン違い、色違いと、お客様に満足していただける、品揃えできる資金力がなく、3年ほどで「洋服部」は撤退することになります。
私は「和」が好きだったので、どこまでもそこには、こだわりました。しかし時は海外ブランドの大きな波がどっと押しよせていて、手作りの大島紬で作ったコートや、手刷り型押しのTシャッや、藍染のブラウスなどはなかなか受け入れられず、日本橋、横浜のデパートの「手仕事展」の催事も芳しくありませんでした。
並行して小物、巾着や財布、トートバッグも作っていました。1点物のバッグ類などはとてもよく出ました。パッチワークや手刺繍を施した物、着物地、帯地などを使い贅沢な仕事でした。考えたらあまり原価計算もできてなかったと。
主婦の趣味的なスタンスががらりと変わったのは、矢張り「有隣堂」様とのご縁をいただいた時からです。10代の頃から親しんでいた老舗の大型書店の有隣堂様で「鎌倉今村」の催事が持てる事に、夢のような話でした。
スタッフの方にご指導いただきながら、催事も重ねていくうちに「数字」に目覚めてきました。売り上げです。確実に数字に結び付くものは何だろう・・・
手頃な価格で、書店の売り場に似合うもの、これはもう「ブックカバー」しかありません。手に取られた時のお客様の笑顔を想像しながら作りました。
この秋で、2万1千冊、すべて私が柄を組み合わせ、縫製のスタッフ3人で!
お客様から「とても使いやすい」「プレゼントしたら喜ばれて」などとのお声を今でも沢山いただきます、本当にありがとうございます。
現在は文庫本版、新書本版、単行本版の3種類だけですが、サイズもこの先増やす予定でおります。
布のブックカバーは本にも手にも優しくて、使っていただければその良さは分かっていただけると思います。
長くなりました、鎌倉今村のブックカバーを、これからもよろしくお願いいたします。現在は、有隣堂横浜西口店書籍売り場にてお買い求めいただけます。
どうぞよろしくお願いいたします。