明日は明日の風が吹く

明日の事を今日悩んだって何にも解決しない
まぁ何とかなるさ!

2022-12-24 14:52:12 | 歴史

Loreto Aramendi plays Rachmaninoff: Prelude in C-sharp minor

 

ラフマニノフのこの曲をよくよく聞いてみるきっかけってのがノートルダムの聖歌集のCDなんで、この曲はパイプオルガンのイメージが強いんですけど、もともとピアノ曲なんですね。

 

ノートルダムのパイプオルガンが大小2つあることは火災があったときのニュースで初めて知ったわけですけど、あの火災の映像も燃え盛っている聖堂をなかなか鎮火できないところは人類の文明と英知が自然の法則の前にいかに無力であるかも思い知らされたものでした。

 

今迄見てきた鐘楼で一番印象的だったのは浦上天主堂の旧聖堂の鐘楼ですね。溝みたいな小さな川のへりに何者かが掴んで投げたように横たわってました。これを見たときが薄暗い夕暮れ時だったのでなおさら暗さを引き立てているようでした。

午前中に爆心地公園に行ったときは何事もなかったかのように青空が澄み渡ってましたが、爆心地の石柱がこの上空500mで確かに原子爆弾がさく裂したことの記憶を刻み付けています。近くの資料館にも立ち寄ったのですが、被爆直後の浦上天主堂の惨状の実物大模型からガラスケースに入った小さな原爆ドームの模型まで展示物は見ていて決して気持ちのいいものではありませんが、人類の負の歴史を記憶に刻んでおくことはすべての人々が必要とすることじゃないかと思うわけです。その中で目に付いたのが原子爆弾の実物大模型、まぁ巨大な爆弾ですがその中心部のわずかコンビニのおむすび3個分程度の部分がPu239が詰まってて浦上を壊滅させた部分なわけです。模型で目を引いたのは爆弾表面にできるだけ均等に散らされた点火プラグのところから遅い火薬、そして中心部を覆うように早い火薬が詰め込まれてほぼ同時に均一にPu239に圧力がかかるように緻密な設計がなされているのが見て取れます。点火プラグにしてもほぼ同時に点火する必要があるわけで、スイッチが入ってからプラグに届くまでの制御信号の伝搬速度も踏まえて合わせておく必要があったでしょう。電気系ではLC=εμなんて公式が出てきて、送電線でしたらインダクタンスを磁界から計算するのが面倒なときに誘電体が一様だと仮定して静電容量を求めたら容易に計算が出来るツール程度の認識しかないわけですが、信号線を解析するときには信号の伝搬速度そのものに直結する数式だという訳です。となると信号線の絶縁物もプラグの点火のタイミングに大きくかかわっているわけですから相当高度な設計を要したことは想像に難くありません。こうした技術を爆縮と呼ぶらしいです。少なくとも端っこのプラグを一つでも点火出来れば核爆発を起こす砲身式とは比べ物にならない高度な技術を要することは昔修学旅行の折広島の平和記念館で見たそれと比較したときに容易に想像がつきます。じゃあ砲身式の爆弾を量産すればいいかというとPu239にはどうしても同位体Pu240が混じって均等に圧縮しなければ臨界に達するまでに破壊されてしまうようです。かといってU235は自然界のウラン鉱石では全体のわずか0.7%程度、軽水炉ですら5%程度に濃縮する必要があり核兵器には90%以上の濃縮を要する、ってことはU235を使った核兵器の量産は不向きだってことです。対してウラン鉱石の大半を占めるU238は中性子を吸収するとβ崩壊を2回繰り返すので原子番号が2上がって質量数が1増えてPu239になる。要は量産向きだったってことです。

この模型を見て思ったのは、アメリカがWWⅡ末期にしたかったのは冷戦を見据えて爆縮技術を完成させていることを実戦で示したかったんだということです。こっちがアメリカにとっては本命だったんだ・・・・・よくも原爆投下が結果的には多くの命を救っただなんてぬけぬけと言えたものです。まぁ、アメリカ人にはアメリカ人の正義があるわけで、彼らがその言葉を信じようが日本人とは永遠に分かり合えないことなんだなぁと思うことですが、日本人で「原爆投下は結果的に多くの命を救った」としたり顔で抜かす輩は一人の日本人としてどうしても許せるものではない。

 

懸命の消火活動にもかかわらずなかなか鎮火せずにノートルダムが焼け落ちたときと違って浦上天主堂の鐘楼はあの日の11:02一瞬で引きちぎられてこの場所に落ちたのでしょう。

外海の海は「人間がこんなに哀しいのに主よあまりに海が碧いのです」という遠藤周作の名言通り碧かったんですが、私が訪れた日の浦上は人間が本当に哀しいのに空はあまりにも碧かった・・・。夕焼けの空はあまりにも鮮やかだった・・・

 

って、今日はクリスマスイブ。

引っ張り出してきたノートルダムの聖歌集CDを聞きながらクリスマスチキンと葡萄酒に舌鼓を打ちながら過ごすことにしましょう。

 

コメント
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