奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

愛の配分

2013-03-07 | 心詩~こころうた・世
暗い部屋でひとり
孤独に暮らす人がいる
生きる気力をなくした空虚な心で
外の世界から自分を隔絶してしまって

暗い部屋でひとり
孤独に果ててゆく人がいる
誰に救いを求めることもなく
誰に気づいてもらえることもなく

平和に見える この国の
豊かに見える この国の
本当の病状が露わになる


格差社会が今の世ならば
愛の配分にも
格差があるというのだろうか
支えあうのが人ならば
なぜ こんなにも
歯がゆい世の中になってしまったのか

富める権力者は
力なき者たちの悲惨を推し量れない
社会を動かせない歯車は
虚しく排除されるのを待つだけなのか


「普通の幸せ」
そんなものはただの虚飾
普通などという価値観が
人を生きにくくさせるのではないか

「自己責任」
なんと薄情で便利な思考か
窮屈でアンバランスなこの社会に
すべての人間が適応できるわけではない


愛の配分は満遍なく
孤独に生きる人の心にも
もっと優しい社会であってもいいだろう
力ある者が力ない者に手を差しのべる
そんな姿こそが 人間の誇りではなかったか

かつて、ここにあったもの【歌詞っぽく】

2013-01-18 | 心詩~こころうた・世
愛が欠如したこの星で
人は何に縋って生きるのか
一期一会の縁(えにし)の糸を
つかめど指をすり抜けて

かつて 人は愛を育み
この世は優しさに満ちていた
知らぬものにも手をさしのべて
痛みと喜びを分けあった

世界は満たされ
ないものなどない時代
だけれど
なぜだか満たされない
愛に飢(かつ)え 乾いた心

立ち止まり ようやく気づく
本当に必要なものが
今 見え始めている


夢が欠如したこの星で
人は何を信じて生きるのか
未来はとうに見えている
決して約束などない未来

かつて 人は夢を育み
この世は希望に満ちていた
どんな苦難も明日に繋がる
そう信じて乗り越えられた

世界は満たされ
権力者は頂点に立った
だけれど
その山の裾野には
夢も見れぬものたちの群れ

顧みて ようやく気づく
本当に大切なものが
今 見え始めている

貴き地球(ほし)に生きる

2013-01-08 | 心詩~こころうた・世
人間が傷つけた
動物たちの数だけ
人間も傷つかなければならない

人間が奪った
動物たちの命の数だけ
人間も奪われなければならない


動物を守ることは
償いでなない

地球を守ることは
人間の役割などではない

なにも奪わぬように
なにも壊さぬように
なにも変えぬように
なにも引き換えにせぬように

地球のあるがままに
その身を委ねることが
この貴き星に生きることを許された
人間が守るべき 暗黙の掟


万物を支配し得るだけの
知能を
知恵を
授かった人間が
頂点に立ってはいけない
なにもかもを意のままにできると
傲り高ぶってはならない

みな同じ
地球の上の点である存在

みな同じ
大切なものの命を守り
懸命に生き抜く存在


受け継がれてきた
生命の連鎖を
人間が断ち切ってはならない

決してこの星の
覇者になってはならない


人間が
この星の終焉のために用意された
存在でないのならば──

歩んできた道 歩んでゆく道

2012-12-13 | 心詩~こころうた・世
長い時間の末に
高みを目指した果てに

歩んできた道は
いつから歪んでしまったのか

手に余るほどの理想を求め
人は大事なものを引きかえにした


失えば
二度と元には戻らないもの

間違えば
二度と元には戻せないもの

なぜ見失うのか
誰にでも分かることを

その腹を満たすために
なにを犠牲にしてきたのだ


安全は
安心は
平和は
幸福は

必死に守ろうとしなければ
そこに存在できない脆弱なもの


変えてはいけないこと
変わらなければいけないこと

本当に大切なのは
人が心を失わないでいられること

歩んでゆく道は
もっとゆっくりでもいいだろう

心で生きるものたちのために

2012-11-28 | 心詩~こころうた・世
この世界に
まだ心は通用するか
この世界を牛耳るものは
まだ 人であるか

この世界の判断基準は
心で決めたか?
頭で決めたか?
腹の中で決めたのか?


誰かが
誰かから搾取し
誰かの利益だけのために
設計された世の中で

泣くものの陰に隠れ
ほくそ笑むものたちのために
すべてはお膳立てされる

痛みを知らぬものたちは
火の粉もかからぬ遠い場所から
他人の不幸を
己の利益の捨て駒にする


口先ばかりの偽善を着飾る
中身のない張りぼて社会

虐げられたものたちの
見捨てられたものたちの
声は
怒りは
悲しみは
一体どこに向かえばいい


心で接すれば
心で応えてくれる
心を尽くせば
心で返してくれる

それが正しい人の世だと
誰かに証明して欲しいだけ

今の不遇に耐えて
生きる価値のあるものだと
信じさせて欲しいだけだ

ひとが生きるということは

2012-11-15 | 心詩~こころうた・世
ひとは
俗世にまみれて
生きるもの?

なにかを手に入れるため
なにかを守るため

欲望のおもむくまま
理性に制御されながら

誰かのものを奪い
ゼロから築き上げ

のし上がり
地べたを這い


ひとは
生きるために
生きている?

生命を維持するために食べ
ただひたすらに
命を守り

種の存続のために
子孫を残し
テリトリーを守り

ひともまた
そのように生きる
生物なのだろう


だが ひとは
生存のためだけに生存しない
稀有な存在

他種を排除し
ひとのためだけに
特化された世界を構築し

その狭い世界の
了見と主義主張の間で
競い合い傷つけ合い

生き残れるものだけが
ふるいに掛けられ
「勝者」と名乗り

ひとの世界の
価値観を歪曲させる


ひとは
そんな歪んだ世界で
与えられた命を営み
人生を終えてゆく

すべてを清算し
生きたとおりの
結果を残して


ひとは
なんのために
生きるのか──


ひな鳥たちへ

2012-10-23 | 心詩~こころうた・世
不器用な子に生まれたね
それで失敗ばかりだね
あまりに不器用すぎるから
泣き方さえも知らないの

愛想笑いでごまかして
波風立てずにいるのにね
面白がってる子たちがさ
石をどぶんと投げるんだ

やめて やめてよ
いくら心で叫んでも
声に出さなきゃ届かない
声に出しても届かない



臆病な子に生まれたね
それで損してばかりだね
あまりに臆病すぎるから
人の目さえも見れないの

背中で受け取る陰口に
胸の真ん中痛むけど
じっと唇かみしめて
ひとりで耐えて過ごすんだ

やめて やめてよ
いくら心で叫んでも
それは誰にもわからない
言われた人しかわからない



ひとりでじっと耐えた子は
いつか必ず強くなる
あまりに傷つきすぎた子は
誰かが守ってあげなくちゃ

大人になったそのときに
二度とうつむかないように
心の傷のかさぶたが
二度と剥がれてこぬように

もう やめて
声に出して言えたなら
自分に自信が持てるでしょう
自分を好きになれるでしょう






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賞への応募用に書いたものの、応募規定を読み誤り(トホホ)、他に応募できそうな賞も見当たらず、やむなくこちらに掲載することにいたしました。
「不器用な子」も「臆病な子」も、モデルは自分自身。

ほしのなげき

2012-09-22 | 心詩~こころうた・世
いったい
何に怯えているのか
なにものにも侵されぬと
思うまま欲望のままに
すべてを支配し
このほしに君臨する
お前たちが

なに不自由のない
お前たちに都合の良い
世界へと作り変え
なのに
その世界に満足もせず
争い合い 奪い合い
血の 涙の 絶える日はない


もう そろそろ
気付いてもいいだろう
そんなやりかたでは
幸せにはなれないことを
豊かにはなれないことを

このほしで生きるために
必要なすべてのものは
もともと ぜんぶ揃えてある
なのに
環境にそぐわないものを生み出し
体質に合わないものを吸い込み
他の生命を脅かすものを撒き散らし
私が与えた 恵みすべてを
毒に染めようとするのか


時間は ゆるやかに流れるもの
気の遠くなるような
長く 果てしない 混沌の中で
私は生まれ 成長し 今の姿になった
だが お前たちは
その何億倍もの速さで
私の環境(いのち)を破壊する

なぜ?
お前たちの居場所でもあるのだぞ


遥か 遠い昔
お前たちは私と共に生き
生命を敬い 多くを求めず
このほしに順応しようとしていた
なのに
今は 心も眼(まなこ)も閉ざし
信じてきたものすべてを裏切り
どこへ向かおうとしているのか

お前たちが望む未来には
どんな私の姿が見えているのだ?

生きたように人生は成る

2012-09-14 | 心詩~こころうた・世
人の心の内なる悪が
白日の下に晒されるとき
その心の内なる闇は
さらに深さを増し
その者を蝕んでゆくのか

心の歪みは目に見えない
どのように醜悪な色を
隠していようとも


人の心の善を信じ
人は人を受け入れる

どちらかが寄りかかる
そんな関係は成立しない
ましてや
善を信じる心を
喰らい尽くす輩(やから)など


この世界の比率は
善と悪との比率は
信と疑との比率は
真と欺との比率は
人の心の比率とは……


己に恥じない生き方をせよと
人はいずれのときにか
目に耳に刻む機会があろう
なれど
己が心に耳を傾けなければ
その言葉も 価値なく霧散するだけ 

人に恥じない人間
己に恥じない人間

善を貫くのは
苦しいことか
悪に心を売り払うのは
欲望への近道なのか
真っ当な生き方を
どうか軽視するな
手に入れたと同じ早さで
失うことになるだろうから

真っ当な生き方で
己を愛せる人間になれ

今もなお……~平和への願い

2012-08-22 | 心詩~こころうた・世
今も そこにある 戦争
日本からは見えない場所で
でも それは 同じ地球の上
同じ人類が行う 蛮行

狩るもの 逃げ惑うもの
そこに 人間は いない
血に飢えた狂気と
塵ほどに儚い命があるだけ

否……
そもそも 狩人たちに
“命”の存在は見えているのだろうか


武力では なにも解決しない
争いは 憎しみの連鎖を生み続けるだけ

いつまで 繰り返すつもりなのか

引金を引く一瞬が
ボタンを押す一瞬が
永遠の悲しみを生み出すことを
それを躊躇なく行える人間の浅はかさを
どうか 想像できる人であれ


兵器など いらない
抑止力など 必要ない
戦争など なんの意味もない

頭に思い描く 平和な世界は
きっと そんなものの先にはないはず
それは 奪い取るものではなく
一心なる願いの中に灯る 一条の光

長い 長い 争いの歴史の中で
失われた貴い命に報いるために
今も そこにある戦争から目を逸らさず
平和を願い続けながら 生きていこう

針の先ほどの 光でも──