奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

剥がれ落ちる

2021-03-04 | 心詩~こころうた・己
また ここに
吐き出している

誰にも頼れない
誰にも泣き言を言えない
無様な自分を晒しに
また ここを訪れる


「笑顔が苦痛ではなくなった」
そう言った あの日から
もう二度と訪れることはないと
思っていたけれど

新たな人生に踏み出した自分は
きっと もう大丈夫だと
そう思っていたけれど

弱い
弱い
本当に
弱い自分

鬱にも負け
自分にも負けて
また あの頃に
戻ってしまうのか

もう疲れた
健常者のふりをして
生きていくのは

期待も失望も…

2021-03-04 | 心詩~こころうた・己
忘れていた
誰にも期待せずに
生きようとしていたことを

忘れていた
何にも失望せずに
生きようとしていたことを

この苦しみは
二度とごめんだと
ただ機械のように
生きようとしていた
あの頃を

思い出させるな


それほどに
時は経ったか

また人生を信じようと
信じられる人生になったと

それは
勘違いだったのか

持って生まれた運命は
生涯変わらないものなのか


期待も失望もしない


それさえも
今は
ただの苦痛でしかない

行き場所はない

鬱歴10周年の所感

2020-03-25 | 心詩~こころうた・己


「10年ひと昔」
という言葉がある

鬱になって 11年目

10年間 この体内で熟成された鬱が
進化した変異体となって
また 私を苦しめる

共存できると
コントロールできると
思いはじめていた矢先

やはり 鬱は敵でしかない
ささやかで まともな人生を
壊してゆく 破壊神でしかない


10年ひと昔
ふたたび訪れた心療内科は
別の医師が経営していた

同じビル 同じ部屋 同じ受付カウンター
違う医師 違う看護師

自分だけが 浦島太郎のよう

10年前と 同じではいけない
あの時 出来なかったこと やらなかったこと
今度はしっかりと 前に進むために


この10年間で 変わった自分
築いてきた 人生の道すじ

それまでの年月より
はるかに短い時間で
無駄に費やした人生を
取り戻そうと…

鬱の相手をしてやる暇なんて

ない!!



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自作詩で歌を作っています。

第一弾
『ひな鳥たちへ』






2016-03-24 | 心詩~こころうた・己
傷ついた人は
人に優しくなれる

それは

傷つけられた悲しみを
自分が人に負わせない

そういう意味だと
思っていた

でも 本当は

傷つけられた人間が
どんな思いを引きずり
生きていかねばならないか
それがよく分かるから
人の心には
壊れ物のように大切に接する

そういう意味なのかもしれないと
ふと 思う瞬間があった



「あなたの配慮はズレている」

勝ち誇った顔で
そう言い放った人がいる

自分は裏表のない人間だから
いつも本音で人と接するんだと

言われた人間の
心に入るヒビにも思い至れずに

たとえ的外れであったとしても
精一杯 相手を思って表した
言葉には 行動には
決して こんな言葉を
浴びせかけてはならない

それで
自分の価値が上がるわけでも
それが
優れた人間の証になるわけでもないのに


だけれど

世の中には
そのことにさえ
気づかない人もいる

傷ついたことがないからか
自分の努力や苦労が
この世で一番尊いと思っているからか

だけれど

そんな人たちを見て
心無いと悲しむ側の人間も

価値観の違う他者を受け入れられない
疎むべき自分勝手な存在に
見えているのかもしれない

嘆くことなかれ

2016-01-15 | 心詩~こころうた・己
世の不条理に嘆き
己が不運に嘆き

自分もいっそ
悪人になってやろうかと
自暴自棄になっても

根っからの悪人にしか
悪は成就できない


不器用者で
馬鹿正直で
貧乏くじを引いてばかりで
損してばかりで
利用されてばかりで
許してばかりで
我慢してばかりで

それでも

世渡り上手で
挫折も知らないで
世界は自分中心で

そんな人間より
ずっとずっと
綺麗な心で
温かな目で
柔らかな手で

この世界に残された
誠実なものに
純粋なものに
優しいものに
触れることができる


誰にも誇れぬ
後ろめたい成功など
自分を幸せにはしてくれない

苦しみ抜いて
悲しみ抜いて
傷つき抜いて
涙を枯らした果てに
辿り着く灯(ともしび)が

心の底から
嬉しいものと
得難いものと
手離せないと
その手に握りしめて
その胸に抱き締めて
深く心に刻みつける

そんな何かに
そんな誰かに
出会えることが
本当の幸せだと思うんだ

彷徨う葦

2015-08-11 | 心詩~こころうた・己
どこへ向かうか
我が人生は

何に左右され
何に邪魔され

何を失い
何を得るのか


どの選択が正しい?
どの出会いが正解?

「クジ運」なんかと
一緒にしたくない

いつも正しいと信じ
歩いてきた道だった


失敗や挫折を
次への糧とできぬから

ボロボロになるまで
同じ迷路をぐるぐる彷徨った


この先
どんな道を選ぶのか

今は
どの迷路の途中?

今度こそ
「未来」に繋がる扉へと


あの頃より
少しは利口になった私よ──

鬱 VS 私

2015-06-17 | 心詩~こころうた・己
誰のせいでもない
鬱がそうさせるんだ

鬱を憎んで
人を憎まず

自分の心ではない
鬱に操られているだけ

この体の中には まだ
鬱が巣食っているのだから

追い出すすべが分からぬうちは
鬱を断ち切ることは叶わない


鬱は
宿主の幸せを
望まない

鬱は
宿主の不幸を
糧にして生きる

鬱は
希望が大嫌い

鬱は
前向きな心が大嫌い

鬱は
鬱を忘れようとする
宿主に嫉妬する

だから鬱は
宿主のチャンスを阻み
自分の元に取り戻そうとする


鬱がすべての元凶

現実には何も
起こっていない

不安がらせ
心を惑わされているだけ

信じたものを
信じぬけばいい

信じようとした
自分の心を信じぬけばいい


揺るがない心
惑わされない心
貫く心が

鬱に打ち勝つ
唯一の特効薬

なのかもしれないから

我にそそぐ光

2015-04-30 | 心詩~こころうた・己
体を強張らせ
身を守って生きてきた

その鎧は
もう脱ぎ捨てていい

闇の世界に紛れ
身を隠して生きてきた

そのマントは
もう脱ぎ捨てていい


自分自身を追いつめた
消すに消せない
どす黒い感情は

心の奥深く
封印するがいい

忘れることも
許すことも
せぬままでいい

己を傷つけに
舞い戻ってこぬよう

深く 深くに
閉じ込めてしまえばいい


もう
闇の世界に
戻ってゆく必要はない

天を仰げば
降り注ぐ光を
感じるだろう

その光は
お前のものだ

光の世界を乞う
お前に注いでいるのだ


不安癖(ぐせ)が消えないか?
信じて失う恐怖が拭えないか?

それならば
薄氷を踏むように
慎重に 慎重に
前に進めばいい

壊さぬよう
汚さぬよう
粗末にせぬよう

慈しみ
貴び
愛おしみ


己が人生を導く
その光を

大切に
大切に──

現実回帰

2015-04-19 | 心詩~こころうた・己
現実逃避しなければ
前向きになれない

ふと我に返れば
いつも自分は
「独り」だと気づく

治した「つもり」では
克服した「ふり」では
駄目なんだ

一瞬の気持ちの高揚を
「希望」だと
勘違いしているだけ


居場所なんてない
何も変わってなんかいない
この現実から
目を背けているだけ

幻想の世界でなど
生きていけないのに
お伽の世界なんて
作り出せやしないのに


あとどれだけ思い知れば
学習するというのか

この愚かしい
私の脳髄は

APRIL FOOLS' DAY

2015-04-01 | 心詩~こころうた・己
毎年 一人にひとつずつ
嘘だと思いたい出来事が
消えてなくなる日だったらいいのに

傷つけられた記憶も
失った多くのものも
「全部 嘘だったんだ」と

目が覚めたら
何も傷ついていない
何も失ってはいない
まっさらな自分がそこにいて

流した涙も
傷んだ胸も
諦めも 屈辱も
疲れ果てた心も体も
「全部 夢だったのか」と

傷つくたびに
失うたびに
すべてを「嘘」に変えてくれる

そんな優しい日だったらいいのに