奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

この世界を隔てるもの

2013-07-01 | 心詩~こころうた・己
当たり前が
当たり前ではない
そんな世界を

当たり前が
当たり前だと思い
生きる者には分かるまい


ゆく場所がある
帰る場所がある
働ける場所がある
笑いあえる仲間がある
必要なものは手の中にある

それが
当たり前だと思う
その幸運に気づかない者

それは
当たり前ではない
その惨めさを骨に刻む者


そのどちらもが
同じ世界に生きる
同じ空間に存在する

互いに無関心に
ただ居合わせただけの
赤の他人として

波風は立てず
腫れ物には触れず
それが世界を
円滑に回すための思考


視界に入らぬよう
耳に入らぬよう
関わらぬよう
恥をかかぬよう

「当たり前なんてない」と
喧伝しながら
正当化しながら

そうして築き上げられた
格差社会という名の 檻の中で