忘れ草 我が紐につく 時となく 思いわたれば 生けるともなし
作者未詳 (万葉集より)
「いつもあの人のことを想っていて、生きた気がしません。
なんとか忘れようと思って忘れ草をみにつけてみたのですが---」
夏の野原に鮮やかなオレンジ色をした花が咲いていた。
近づいてみるとそれはヤブカンゾウの花だった。
ヤブカンゾウはニッコウキスゲ(ゼンテイカ)と同じワスレグサ属で
同じ仲間だ。
尾瀬や霧ヶ峰高原のニッコウキスゲの大群落は夏の風物詩でありとても人気がある。
しかしこのヤブカンゾウは一見もさっとしていて外見がぱっとしない。
ほとんどの人は見向きもしないで忘れられている。
しかしよく見ると美しいオレンジ色、波打つ花びら、そして一日で
散っていく短い花の命。
万葉人は、この花の美しさに見とれ、いやなことを忘れようとしました。
それが
忘れ草の名の由来です。
ヤブカンゾウの花を身につければ、恋の苦しみが忘れられると知った
なら、この花、もっと人気が出るかもしれないですね---(^^)