「人はなぜ歴史を偽造するのか」
タイトルを見て、即買いしてしまいました(^^;)
歴史偽造は、日本書紀や古事記から明治維新あたりにかけても、いろんな書物や研究書を
読むたびに、胡散臭く思っていたこと。
当然、私は書かれていることがすべて正しいとは思っていないし、
歴史は「勝者」が自分を正当化するためのもの、ということも気付いているつもり。
でも、それだけではなく、思いこみや妄想で歴史を偽造して、果てにはそれを正しいと
信じてしまう人たちがいることが今回の本の面白かった所。
ウケたのは、この作者さんが作った「偽史倭人伝」ということばでしょうか…。
特に、偽史を作って、信じてしまうのは、家系を偽造したり、自分が皇族などの正当な
末裔と信じている人たち。
それとは別に、歴史を踏まえた作家たちが、空想歴史小説を書き、それが大ヒットして、
それを現実の歴史と信じ込んで大衆に受け入れられ、それが現代まで受け継がれた例など。
これには、たとえば源義経が平泉から蝦夷に逃れ、海を渡ってチンギスハンになって
モンゴル帝国を築いたというお話など。
未だに、その伝説はのこっていたりしますよね。
それから、南北朝どちらが正統かという、問題。
これも、明治あたりから出だした問題で、南朝の末裔を名乗る人物が現れたりしていますよね。
明治維新に関わった志士たちが、自分を南朝を支えた楠木正成らになぞらえ、結果的にそれらの
人々が維新を成し遂げ、政府要人についたため、この思想が根付いた、ともとらえられますが、
以前読んだ、実は明治天皇は南朝の末裔にすり替えられていた、という本のために、
私の思考は混乱気味です。
明治時代になって、すぐに南朝を祀る神社などが整備された点、皇居に楠木正成の像がある点…
いろいろ考えるとまだまだ歴史は謎が多いし、どこまで今見えているものを信じていいのかも分からなくなります。
そこがまた、歴史の魅力なのですけれど。