か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

ムラの縛り 2

2017年11月16日 | 思想

両肩を木々でこすりながらでないと、通り抜けることができない。このような、手入れをしない杉林が、日本の通常の山林の姿だ。間伐しないということは当然密植状態になる。

手入れには、まず下草刈り。これはまだ簡単だ。だが死ぬほどの長時間の作業になる。九州のような小さい島でも350~500町歩(ほぼそのままヘクタール、100m✖100mが1ヘクタール)を一人が所有する。

山を見渡しても他人の土地が見えないということが普通にある。

地獄の作業は間伐。これにはまず道路づくりから入る。ブルがひっくり返ったら確実に死ぬ。違うという人はうちのブルで轢くから。

木を倒す方向を見定めて後の作業の段取りを考え電動で切るが、できる人はもうほとんどいない。営林署は民間を助けない。命令ばかりだ。

30度といえばかなりの急斜面だ。はじめていく人は、崖だったとみんな言う。そこに延べ5キロの道をつけ、軽トラに間伐材を満載しすさまじい悪路を往復して、たいてい転落死する。悲しいじいちゃんの最後だ。

取り付けたばかりの道路はふわふわ、ツルツル、ズボズボだ。

ブルも運搬機も、プリウスの値段じゃ中古も来ない。

マッカーサーの忘れ物だ。農地は解放しても山林は朝鮮戦争が勃発しうやむやになった。

じゃあ、どうすればいいのか。と考えるのはアホだな。すでに山は死んでいる。僕はスギ林で一度も動物を見たこともない。空も見えない。

表土の少ないところに植林したので倒れたら倒れたまま、枝分かれもほったらかし。20年前に植林して以来一度も来たことはない。針葉樹は葉先から微量の青酸を出す。生態系のない死の森で森林浴をするがいい。

売れるところは全部売った。山林原野に関する法律は政治家たちのゴルフ遊びのため改正された。さあ、地図を見るがいい。いかに、どこでも、むやみに、ちんけな、ゴルフ場ができているか。

つまり、急斜面の、じいちゃん殺しの、カネにならない、山が残った。

JAにコネで入った息子は山仕事をしない。当たり前だ。人に死ねと誰が言えよう。

荒れた急斜面は人間に報復した。

タイトル画像及びこの画像は、朝倉市とは関係ありません

人は年をとるほど賢くなるが、世代を重ねても賢くならない。江戸からの里山活用の知恵は今、消えた。里山は、芝生になり、小さな白いボールが転がる素敵な別世界になった。

世界的にも貴重な広葉樹林帯を経済効率だけを求め針葉樹にし、さらに伐採しボールの穴入れごっこの遊び場にして保水力をなくし、あるいは放置し、人殺しの流木を生んだ。

山木が立ったまま滑って里に降りてきた、住民の声だ。いかに根が浅かったか。

朝倉大水害、九州北部豪雨の犠牲者は、ほとんどが流木による圧死である。水死ではない。

 

 


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