狙い通りに街は静かだった。外人が消えた。外人を敬遠して日本人はもともと消えている。
柳川とその周辺は、ぼくが日本で一番自信をもって人に勧められる旅行スポットだ。
お堀の向こうが若松屋。定番川下りの終点。川下りは2時間かかるから子供は途中で飽きてくる。
水の汚さでも情緒でも蘇州には負ける。でも日本語が通じるのはいいことだ。
めったに旅行しない人ならいざ知らず、しょっちゅう旅に出る人はそうそう旅にお金をかけているわけにもいかない。湯水のようにお金を使える人ならいいけど、旅だからといって興奮して散財する姿は見苦しくもある。
なるべくコスパのいい旅を心掛けているがケチすぎて皆さんの参考にならないかも。
こんな旅の仕方もあると思っていただけたらいいと思う。
柳川といえばうなぎのせいろ蒸しだ。本吉屋、若松屋、六騎(ろっきゅ)、菊菱(きくびし)、お花、・・・うなぎ飯を食わせる店は多い。だけど僕には高すぎる。うなぎが獲れなくなったのだ。せいろにうなぎが数切れ乗って5000円はなんかいやな気がする。
羽犬塚(はいぬづか、この地方の発音では「はいんつか」)から久留米に向かって数キロ走ると上原原(かんばらばら)という交差点に出る。左側にうどん屋がある。アナゴのせいろ蒸しとうどんで700円ぐらい。
これ ↓
ぼくは大飯ぐらいだが腹いっぱいになる。アナゴのせいろはうなぎほどの自己主張がなく上品だ。それぐらいの差しかない。なんか負け惜しみのような気分だが僕は700円が良い。食事の後は外れなしのくじを引ける。ぼくは午後ティーが当たった。
柳川観光の中心、お花の南側に無料の駐車場と足湯がある。車を止めたぐらいでカネをとるのはおかしい。かんぽの湯の東側。お花は定番なので省略。ローカルな水族館。300円なので僕はパス。有明海独特の魚が見られる。
有明海は固有種だけで20種類の魚類がいる。この海の周辺の人間は太古からほとんど進化してないが、三角貝に至っては三億年進化してない。いずれの生物も進化の必要がなかったから進化してない。幸せすぎることだ。
ヤツメウナギがいるかと思えば目が退化したワラスボというエイリアンのモデルになった魚もいる。鼻と口だけの魚はまさにエイリアン。地元の人はそれを干して食う。(後日詳しく紹介)
なぜコロナウイルスが蔓延するか。それは人が吐いた息を吸うからだ。(濃厚接触)中韓人が去ったこの町は人と人との距離が離れている。まばらだ。人が吐いた息を吸うこともない。
ぼくは、筑後のプロバンスで心を休める。
そして菜の花を摘み、
トートバッグいっぱいにして、ゆがいて酢味噌。タダ。
日本の固有種がこの町では元気だ。水辺を好むかやつり草。
<つづく>