なぜか。当たり前じゃないか。ハンドルを切るからだ、とアホは叫ぶ。黙れ。世の中はお前ほど単純ではない。
クルマの側からの考察はいったん置いて、道路の側から考える。どちらの側も数式の塊なので、高校のとき数列やLogに苦しんだ人は拒否反応を示す。こればかりは本人の責任ではない。面白いものをつまらなく難しく教えた学校が悪い。
わざわざ分かりにくく教える低脳教師はたいてい実力がない。あるいは、実力があっても気が狂っていて説明能力がない。生徒が数学を面白がるはずがない。
目の前に簡単に開くケーキの箱があるのに見過ごす人間になってしまう。
一番の障害になっている数式を使わずに述べるよう努力してみることにした。ほんとは、数式とは文章だ。口で言えないことは式でもいえない。数式は何も特別のことをしているのではない。ちょっとほかの手段より速く、同時に多くのことを表現しているだけだ。垣根は高くない。
もしカーブが円だったら。カーブにさしかかる前までは、ハンドルは直進の状態であっただろう。が、カーブに入るや否や即座にハンドルを切りカーブのあいだはその角度をじっと固定していなければならない。
ぐるぐる円周上を車やバイクで走っているとき、ハンドルは一定のはずだ。これに直線と円の繰り返しがくると危険だ。直線から円に入るとき急激に(不連続に)ハンドルを回すことになり、それはどんなに円を大きくとってカーブ(曲率)をゆるやかにしても、この急なハンドルさばきからは逃れられない。
じゃあ、じわーっと曲がりはじめじわーっと直線に戻るにはどうしたらいいか。アウトバーンが最初に使ったカーブがある。コルニュスパイラル(Cornu Spiral)。
螺旋階段を下から見たとき、皆さんの好きなターボの吸気側の渦巻き、一部のタービンフィン、一部の歯車・・・
いったいどんな曲線か。
蚊取り線香で考えよう。蚊取り線香が5センチ燃えたとき、10センチのとき、15センチのとき、と考えると、5センチを基準に取ると2倍、3倍と燃えたわけだ。その燃えた距離、つまり道路の長さはカーブのきつさ(Rの少なさ)に比例しているという曲線がコルニュスパイラルだ。
この蚊取り線香の上を車で走ってみよう。一定のスピードで走るとカーブに従って一定のスピードでハンドルを回していくはずだ(円周上ならハンドルは固定)。僕らは滑らかな曲がりを獲得した。
道路のカーブとターボフィンのグニャッと曲がった美しさ、漏斗を上から見たときに漏斗に入っている線。これらが簡単な同一の式で表現されるなんてすばらしいことだ。
すすんだ距離×半径(カーブのきつさ、曲率)=一定 日本のほとんどすべての道路はこの曲線だ。なぜか道も広いのに事故が多いカーブがある。この曲線を取っていない。
コルニュスパイラル、=オイラー(Euler)の螺旋、=クロソイド曲線(Clothoid Curve)
x = ∫cos(τ2)dτ
y = ∫sin(τ2)dτ
積分区間[0:t]
x : x座標値
y : y座標値
t : 曲線上の距離