儲け話に絶望の田舎が飛びついた。そして、一杯食わされた。
ことの顛末を要約すると、
ある私立歯科大が、学部の増設のためこの町に白羽の矢を立てた。そもそもがあり得ない話だった。
池の鯉が、千載一遇の好機を逃すまじとわれ先にたった一片の麩(ふ)を求め殺到する。用地買収は進んだ。
そして、大学は言う。「あんたんとこ行かないよ」
ともかく、池の鯉が百戦錬磨の鯉料理人に勝とうものか。農民から集めた土地が宙に浮いた。いいように踊らされた町はそれに気づかず、公金をどぶに捨てた。
農民は、土地成金になり学生アパートを建て…と皮算用をした。
紆余曲折を経て大学が来るはずの土地は公園になった。
(この事件のころ僕は学生で、ゼミでこの事件を取り上げた。いずれシリーズ化して書きます。)
水沼の里というその公園。住民からは失政を糾す声が上がることもなく、池の鯉はすぐおとなしくなった。
小学生が遠足に来ていた。
幼稚園児も
いきさつはともかく、本来なら到底あり得なかった公園とその他の施設が、思わず現実に誕生することになった。
浴場と食堂、老人保養研修施設(はやいはなしが町営カラオケ)…。今日はそのうちの食堂について。
福岡県のほぼ中央に位置するここは、ドライブやツーリングの拠点として利用させてもらっている。福岡歯科大ありがとう。
公務員がひとのカネと思って好きなように、あるいはぞんざいに経営するととんでもないことが起こる。
行政がまんまとペテンにかかりその失態をごまかすためにできた「水沼の里」。その中にある「水沼食堂」、上品な都会の薄味。絶品の醤油でやさしいばあちゃんの味。
このメニューが信じられますか。その価格。
まず200円の雑炊から、
立派な浴場も200円、雑炊も200円。これで町民の批判をかわせるのだからありがたい町だ。
醤油はもちろん不二家。
ぼくは定食。
andざるそばも。200円
ぜんざい、たこ焼き…。100円
もはや空気は「山滴る」の夏だった。