長居植物園のバラ園の奥に「トゲナシニセアカシア」という木が花を咲かせています。
ニセアカシアは、
写っている人と比較してもらえばお分かりのように、何メートルあるかという大木です。
その大木が、独特の白い花を枝に付け風に靡いていました。
近づいてよく見るとごらんのとおり、花と言われれば「そうかなぁ?」
と思う、一風、変わった形をしています。
ところで、この花に興味を持ったのはこの形状もさることながら、その名称です。
「トゲナシ」は刺がないからだという意味でしょうが、
不思議なのは、次の「ニセアカシア」という名です。
「ニセ」というのですから、この木は「アカシア」ではありませんということです。
つまりこの木の名称は「アカシアの偽物です」ということです。
本当に、この不名誉な名が正式名称なのか?
図書館に行き調べてみました。
参考図書:「図説 花と樹の事典」
柏書房刊 植物文化研究会編 木村陽二監修
この本に、この名の由来が掲載されていました。
「植物学上、アカシアと区別するために付けられた名」と、
堂々と明記されていました。
いくら植物学が大事とは言え、余りにこの木にとっては理不尽な
名の付けようではないか!
ということでさらに調べてみました。
それでは「アカシア」の項目にはどう書かれているか。
「マメ科アカシア属、500種以上の樹木の総称。
多くはオーストラリア原産で日本には自生せず
(中略)日本で一般に言うアカシアとは
ハリエンジュ(ニセアカシア)のことである。」
ここで新しい名「ハリエンジュ」が登場しました。
この名こそが正式名称だろうと、半ば救われた気持ちで
「ハリエンジュ」の項目を報ってみました。
ハリエンジュとは、
「エンジュに似ていて刺があることから名付けられた」
これには二度ビックリです。
「ニセアカシア」の次に出てきた答えは、
今度はアカシアでは無く「エンジュに似ている」というのです。
要するに、この木にはどこまで行っても、「固有の名」が無いというのが結論のようです。
ちなみに西田佐知子の有名な「アカシアの雨が止むと時」のアカシアは
間違いなく、この「ニセアカシア」です。
久しぶりに今日の大阪は午後から雨となりました。
「ニセアカシア」の白い花が雨に濡れ、落涙しているように見えました。