淋しい別れ・・・

春雨傘のなかにいる一日・・・桜もしっとりと美しい


今日は私にかな書道をご指導くださり、万葉の世界へといざなって下さったS先生のお話です。

昨年の夏ごろから、日時の間違いや、奇行があり痴呆の前兆があったのですが、まさか先生にかぎって！

私が入院してる間にさらに進行したようで、アルツハイマーと診断され、今はすべてのことから

遠ざかり（○○学園副院長、大学で書道講師、カルチャー講師等）ご自宅で息子さんが面倒を看ているとのことでしたが・・

今日は、どうしても先生にお目にかかりお礼を申し上げたくって、ご自宅へお伺いいたしました。

お玄関のドアの外側からも施錠されており、息を呑んでしまいました！・・チャイムのあと先生がドアノブを

回しているのが見えるのですが・・・私の名前を伝えても何の反応もありません。

郵便受けから見える足元をみて・・パジャマの裾がだぼだぼに・・ツッつっと戻る姿が・・

今の先生のすべてなんですね・・切なさに涙が止まりませんでした。

道を深く求め静かに考えて輝いている素敵な先生・・慈悲深く温かな語りで静謐な人柄は

私の憧れであり、目標でもありました。

先生の記憶が壊れてゆく・・先生の今までの業績が先生から奪われてゆく・・人生って何だろう・・

淋しい別れに人生の無常を考えながら家路へと・・今日の雨は先生と私の悲しい涙でした。