今日のうた

思いつくままに書いています

言い包(くる)められる

2022-07-24 09:26:07 | ⑤エッセーと物語
言い包(くる)める・・・広辞苑によると、言葉たくみに言ってごまかす。
            口先でまるめこむ。
ちなみに「包める」に巧みにあざむく。まるめこむの意味がある。
最近、この種の発言が多くうんざりする。

不正を働いた議員が言う常套句は、「誤解を招いたのだったら申し訳ない」。
おいおい、こっちが誤解したのが悪いとでも言うのかい!

また「両論併記」も問題がある。このことで新聞の批判力は確実に落ちた。
2016年1月10日のブログで中村文則さんが「両論併記」について
書いているので引用します。

「昨年急に目立つようになったのはメディアでの『両論併記』というものだ。
 政府のやることに厳しい目を向けるのがマスコミとして当然なのに、
 『多様な意見を紹介しろ』という『善的』な理由で『政府への批判』が
 巧妙に弱められる仕組み。

 否定意見に肯定意見を加えれば、政府への批判は『印象として』
 プラマイゼロとなり、批判がムーブメントを起こすほどの過熱に
 結びつかなくなる。実に上手(うま)い戦略である。
 それに甘んじているマスコミの態度は驚愕(きょうがく)に値する」
                        (引用ここまで)

また「野党は批判ばかりだ」という言葉に過剰に反応した国民民主党の
玉木雄一郎氏は、「提案型野党」を提唱した。
それにより野党としての役割を放棄したと言っても、過言ではないだろう。
はたして国民民主党は本当に野党なのだろうか。

立憲民主党の泉健太代表は、連合の芳野友子会長に「共産党との共闘は
できない」と言われると、せっかく機能していた野党共闘を
簡単に反故にした。こんな繊細な神経で、本当に政権交代を
狙っていけるのだろうか。

また「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えることも、
物事の本質を誤魔化そうとしている。
「敵基地攻撃能力とは、日本を攻撃しようとする外国のミサイル
 基地などをたたくこと」だ。
攻撃対象にはミサイル基地だけでなく、指揮統制に関する機能も含まれる。
「攻撃しようとしている」との判断はどうやって下すのか。
もしその判断が間違っていたらどうするのか。
「反撃能力」と言い換えることで、日本が武力攻撃を受けた際に
防衛力を行使する能力、と勘違いしている人があまりにも多い。
そうでなければ「反撃能力を持つことに賛成の人の割合が、
50%になるとは考えにくい。
反撃とはそもそも、「攻撃を受けた者が逆に攻撃に転ずること」をいう。
攻撃を受ける前に相手の基地をたたくことを、反撃とは言わない。

今回の選挙で私は森ゆうこ氏を応援していたので、落選はショックだった。
立憲民主党に物申したく、意見するにはどうしたらいいのかを
立憲民主党に尋ねたところ、一向に返事がない。
国民の意見を聞こうという気が、はじめからないのだろうか。
こんなことなら「パートナーズ」をやめようと思う。

忖度ばかりしている野党は要らない。
保守に走る野党は要らない!

泉氏は、国の危機より自らの保身の方が大事なのだろうか!
今がどんなに重要な時なのかを分かっていないのでは?

辻元清美氏と小川淳也氏を中心に、本来の野党の役割を改めて考え直し、
立憲民主党は一から出直して欲しいと思う。

追記1
今回の参院選では立憲民主党も国民民主党も、略称を「民主党」にする
ということは知っていた。
だが投票ブースに入り、掲示で「民主党」が2つあることに
非常に違和感を覚えた
お互いが「民主党」という名称に拘っているということは知っていたが、
こんな子どもじみたことが、はたして通用するのだろうか。

立憲民主党の略称は「立憲あるいはりっけん」とし、国民民主党の略称は
「国民あるいはこくみん」とするのは当たり前のことだ。
そして「民主党」と書いた人の票は、それぞれの得票に応じて
振り分けるべきだ。
次回の選挙では、こんな国民を愚弄した略称は
絶対に使わないで欲しい
(2022年7月27日 記)

追記2
7月29日のTBSラジオ「アシタノカレッジ」に、中村文則さんが
出演されていた。
講演はYouTubeで聴いたことがあるが、対談を聴いたのは初めてだ。
意外と高くて明るい声で話されていた。
その中で「なるほど!」と思った言葉があるので引用させて頂きます。

「メディアが様々な立場で意見を言うのはかまわないが、事件なり出来事が
 起きた場合には、
 まずは基礎情報(明確な物証など)を共有することが大切だ
 基礎情報を共有した上で、メディアはそれぞれの立場で意見を言うべきだ。
 昔は違ったが、最近はあまりにも偏った基礎情報に基づく報道や、
 基礎情報を報じないメディアがある。
 国民はすべてのメディアを見たり聴いたりしているわけではないので、
 これでは基礎情報を共有することが難しくなり、
 判断に誤りが生じてしまうことにもなりかねない」 
                        (引用ここまで)

「基礎情報を共有する」、こんな当たり前のことが今はなおざりに
されている。メディアは直ちにこれを改めるべきだ。

新聞に、中村さんがジャンルを問わず33名の方々との対談を収めた
『自由対談』の広告が載っていた。
ゲストに私の好きな人が多く楽しみだ。
中村さんの声を思い出しながら読んでいこうと思う。
(2022年7月31日 記)

追記3
年を取ると何でもポイポイ忘れてしまう。
中村さんが対談するのを聴いたことがないと書いたが、何度か聴いていた。
「映画『火Hee』特別トーク映像 公開記念 桃井かおり×中村文則×
 又吉直樹」や、確か村田沙耶香さん(?)か西加奈子さん(?)と
楽しそうにお話しされていたのを思い出した。記憶が曖昧ですみません。

市の図書館にリクエストして、『自由対談』を買って頂いた。
真っ白な装丁で、手垢がつかないか、触るのも気が引ける。
読みだしたらこれが面白い。
綾野剛との話が特に面白く、「GANTZ PERFECT ANSWER」の
DVDを借りてしまった。
(2022年8月12日 記)
 
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自転しながら公転する

2022-07-11 05:05:50 | ③好きな歌と句と詩とことばと
山本文緒著『自転しながら公転する』を読む。
山本文緒氏の作品を読んだのは、2021年に彼女が亡くなってからだ。
アメリカのロックバンド「ヴァン・ヘイレン」のギタリスト、エドワード・
ヴァン・ヘイレンを知ったのも、2020年に彼が亡くなってからだ。
亡くなって素晴らしさに気づくのは、何ともやるせない。

この小説を読んで一番に感じたのは、気負いがないということだ。
登場人物は誰もが憧れるような容姿や職業ではなく、住まいは茨城県にある。
窓からは牛久大仏が見え、主人公の母はおめかしして友人と
牛久シャトーと思われるレストランでワインを楽しむ。
そこでの主人公や周りの人たちとの日常が淡々と描かれている。
細部をリアルに描くことで、読者はどっぷりその世界に浸ることができる。
そしてまるで主人公が自分の知り合いのように心配したり、「そこは
ダメ!」と忠告したりしたくなる。

小説はいつの間にか主人公が入れ替わっていたりするので気が抜けない
そして読み終わって初めて、小説の全体の骨格が分かる。
プロローグの結婚式は、エピローグの結婚式で見事に裏切られる。
自分にとって大切なものは何なのか、人を好きになるのはこんなにも
つらいものなのか・・・と泣けた。

心に響いた言葉を2つ引用させて頂きます。
日本は20年もの間賃金が上がらず、手取りはむしろ減っている。
その上1200兆円もの借金大国・日本で、若者はこれからどうやって
生きていくのだろう。
先が見えている私たちとは違って、これから何十年も生きていかな
ければならない若者に、「日本になどこだわることはない。どこに
行っても生きていけるスキルを身につけて!」と言いたい。
それにしても、2040年を見据えた作者の慧眼に、さもありなんと思った。

①でもそれよりも、静かに枯れて色を失くしていくこの国にいるより、
 天に向かう竜巻のような国へ飛び込みたい、という気持ちが一番大きい
 かもしれなかった。
 二年後の二〇四〇年、ベトナムの人口はとうとう日本を上回った。
 私が四歳のときには日本の三人にひとりが六十五歳以上の超高齢化社会
 となった。その後、地滑りを起こすように地方自治体の多くが破綻し、
 老人ホームも病院も足りなくなって、世界的に見ても福祉の悪化が問題
 となった。ニュースは過疎化、地方の荒廃、人手不足というワードを
 繰り返した。
 私の世代は学校を出たら海外で働くつもりの人がクラスの半分以上だった。
 中国やインドで働くことが生きていく手段として妥当だと考える人は多い。
 私もベトナム料理に出会うまでは、なんとなくどちらかの国に働きに
 行こうと思っていた。日本はエリート以外はろくな職がなかった。
 賃金は安く社会保険料は高く、それこそ子供など夢のまた夢のような
 生活しか送れない。

②「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって
  思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。
  思い通りにはならないものよ」         (引用ここまで)

追記
この小説がドラマ化され、3話完結で読売テレビで放送されます。
私が期待している藤原季節が出演するのが楽しみです。

放送日時は
2023年12月14日(木)11:59(PM)~
    12月21日(木)11:59(PM)~
    12月28日(木)11:59(PM)~

舞台は茨城県です。
私は茨城県に近い千葉県に住んでいます。
そのせいか「ちばらぎ県」とも呼ばれています。
「牛久大仏」も「牛久シャトー」も身近にあるし、
地震速報も千葉県のではなく、茨城県北西部を見る方が確かです。

腑に落ちないのは、以前は「いばらぎけん」と呼んでいたのに
いつの間にか「いばらきけん」と呼ばれるようになったことです。
以前はいばらぎ=茨城、いばらき=茨木だったのに、
今はいばらきでも茨城と変換されるようになったことです。
濁音はダサいとでも思っているのでしょうか。
茨城県に筑波学園都市が出来たからでしょうか。
私の中では、いばらぎ=茨城、いばらき=茨木のままです。
(2023年12月9日 記)
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