8月15日 (金曜日) 晴れ
15日の毎日新聞の余録に
終戦の年の4月、フィリピンで戦死した竹内浩三の詩
「骨のうたう」を読むたびに、
戦後のこの国のありさまを見通したような
死者のまなざしにたじろぐ。
竹内浩三
~~~~~~~~~~~~~
白い箱で故国に帰った兵士の骨は、あがめられはしても、人々はよそよそしく、
愛されることはない。
「骨はききたかった/絶大な愛情のひびきをききたかった/
がらがらどんどんと事務と常識が流れ/故国は発展にいそがしかった/
女は 化粧にいそがしかった」
その69年後の今も人々を押し流す事務と常識は
「がらがらどんどん」とやかましい。
ちなみにこの詩の原形は太平洋戦争開戦の翌年、
彼の入営の2カ月前に作られたという。
そのオリジナルは「なんにもないところで/骨は なんにもなしになった」と結ばれている。
当時の指導者の責任を再びあげつらいたいのではない。
当面する事務や常識がもたらす成り行きのなか、
忘れてはならぬもの、見逃してはならない岐路を見失ってはいないか。
むしろそう自問せねばならないのは、戦争の経験者を日々失っていく今日の私たちだろう。
内外の戦没者の魂の平安を祈る69回目の終戦の日だ。
せめてきょうは「がらがらどんどん」の騒音を封じ込め、
死者たちの声に静かに耳を澄ましたい。
~~~~~~~~~~~~~~~
骨のうたう
戦死やあはれ
兵隊の死ぬるやあはれ
とほい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
苔いぢらしや あはれや兵隊の死ぬるや
こらへきれないさびしさや
なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なにもない 骨
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらひ
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨は骨 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
それはなかった
がらがらどんどん事務と常識が流れていた
骨は骨として崇められた
骨は チンチン音を立てて粉になった
ああ 戦死やあはれ
故国の風は 骨を吹きとばした
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
なんにもないところで
骨は なんにもなしになった
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
入営前2ケ月の時にこれを詠んだんだ・・・凄いなあ~!
15日の毎日新聞の余録に
終戦の年の4月、フィリピンで戦死した竹内浩三の詩
「骨のうたう」を読むたびに、
戦後のこの国のありさまを見通したような
死者のまなざしにたじろぐ。
竹内浩三
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白い箱で故国に帰った兵士の骨は、あがめられはしても、人々はよそよそしく、
愛されることはない。
「骨はききたかった/絶大な愛情のひびきをききたかった/
がらがらどんどんと事務と常識が流れ/故国は発展にいそがしかった/
女は 化粧にいそがしかった」
その69年後の今も人々を押し流す事務と常識は
「がらがらどんどん」とやかましい。
ちなみにこの詩の原形は太平洋戦争開戦の翌年、
彼の入営の2カ月前に作られたという。
そのオリジナルは「なんにもないところで/骨は なんにもなしになった」と結ばれている。
当時の指導者の責任を再びあげつらいたいのではない。
当面する事務や常識がもたらす成り行きのなか、
忘れてはならぬもの、見逃してはならない岐路を見失ってはいないか。
むしろそう自問せねばならないのは、戦争の経験者を日々失っていく今日の私たちだろう。
内外の戦没者の魂の平安を祈る69回目の終戦の日だ。
せめてきょうは「がらがらどんどん」の騒音を封じ込め、
死者たちの声に静かに耳を澄ましたい。
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骨のうたう
戦死やあはれ
兵隊の死ぬるやあはれ
とほい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
苔いぢらしや あはれや兵隊の死ぬるや
こらへきれないさびしさや
なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なにもない 骨
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらひ
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨は骨 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
それはなかった
がらがらどんどん事務と常識が流れていた
骨は骨として崇められた
骨は チンチン音を立てて粉になった
ああ 戦死やあはれ
故国の風は 骨を吹きとばした
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
なんにもないところで
骨は なんにもなしになった
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入営前2ケ月の時にこれを詠んだんだ・・・凄いなあ~!