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ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

リンパ浮腫(2)

2005-02-04 | 乳がん
当地には「○○様」と様付けで呼ばれてきた
豪農が何軒かある。
農地解放やらなにやらで
今では「豪農」は死語になったと思う。
それでも古くて大きな母屋や 
いくつも残る蔵のたたずまいに
昔日の繁栄を偲ばせられる。
写真は夜明けのゴミ集積所。

*************************

私は妊娠中も、ほとんどムクミを知らずに過ごした。
リンパ浮腫という病名も、聞いた事はなかった。
入院したがんセンターのリハビリ室の入り口の掲示板に
新聞記事のコピーが貼ってあり、
それをしげしげと眺めたけれど、
ピンと来なかった。



手術後 ドレーンがようやく取れて 
遅まきながらリハビリ室に出入りするようになると
まるでぞうさんのような手足の人が
何人もいらっしゃるので驚いた。

その手足の太さに。
それが一人じゃないことにも。

そしていくらか理解した。
リンパ浮腫は なるのは簡単でも、
治すのは 簡単じゃなさそうってことを。



リンパ浮腫は
乳がんで私のように 
脇の下のリンパを取った人(腕)や
子宮ガン、卵巣がん、前立腺がんで
リンパ節切除(足や下腹部)、
あるいは 放射線療法のあとにも
起こりうる障害で、
以前(20数年前)には
医療者にあまり感心を持ってもらえなかったらしい。

QOLという言葉の認知度が示すように
今は 命があるというだけでなく
どのような生活ができているか、
深く考えていくようになってきて、
浮腫は 無視できないものになった。

無視できないどころか、
ぞうさんの足で車椅子に乗って
リハビリ室にやって来る人たちは
とうてい普通の暮らしに戻れるようには見えない。



私のように サボろうと思えば
年末でも働かずに ご飯が食べられる者はいい。

腕さえ下げないようにしていればいいのならともかく、
足の場合は。
足を下げずにフツーに暮らすことは できない。

そのうえ 切り捨てたいようなダルさがあったりしたら、
これは かなり 悲劇だ。



がんを切り取って 命の危機がなくなれば
それでいいかというと、そうはいかないものだ。

少なくとも 落ち着いてくれば
“もとの生活”に戻りたい。
戻れない、となれば、
「なんで?」と思う。

ところが 浮腫が起こってしまうと、
腕なら スポーツどころか、
ペンや包丁ももてず、字もかけず、
物を持ったり握ったりもできなくなる。

脚の場合、
歩けなくなる!

そして、衣服、靴、アクセサリー、
そういった身につける物も
制約を受ける。

早ければ ひと晩から数日のうちにむくんで、
早めに積極的にケアしなければ、むくんだま、
あるいは免疫機能の低下から
細菌感染を起こし、進行することもあるという。

命に関わるものではないと
見過ごしていいはずはない。



また、外見上の変化は 
精神的に苦痛をもたらす。

私はどうも動作が荒く、
自分の手を反対側の手で傷つけるような
ドジをしょっちゅうしている。

術側の左手を右手の爪でひっかいて
傷つけたり。

いつか左手のささくれが 赤く腫れた時からは
懲りて 極力傷をつけないように
気をつけてきた。

右手の爪は 必要最小限にしか 伸ばさない。
マニキュアは 
塗らなくなった。

亭主はマニキュアに対して寛大で、
来客に対しても ド派手な色でなければ、
むしろキレイでいる事を好んだが、
まあるく短く切った爪では
あまりつけたくない。

そしてそんなふうな爪の手に似合う
ブレスレッドを私は好まない。

したい格好、したいおしゃれ、
つけたいアクセサリー。
 
そんなの、
命が助かるかどうか、という大問題の前には
どうってことない些細なことなのだけれど、
あれも、これもと 
自分で楽しみを狭めていきそうになる時には
ため息がでるほど
大きな問題なのだ。

外に出たくなくなったり 
うつのきっかけになったりもするという。

若くてオシャレを楽しみたくて
しかも都会に住んでいるような女性には
今の私などよりも
ずっとずっと大きな苦痛なのに違いない。

どうかそんな人たちがいたら
その苦痛を 他愛のないものだと
笑わないでほしい。

精神的な苦痛は 目には見えないものだから。



以前は術後の約5%に、
最近では25~30%に発症する、というのは、
ムクミ感を自覚した患者も
カウントしているのではないか。
『リンパ浮腫がわかる本
 ――予防と治療の実践ガイド』
(2004.8.15、法研、1500円)
には、そう書いてある。

私は、結局、「なんにもしない」で治ったので、
勘定にはいれてもらっていない。



弾性包帯、弾性スリーブ、弾性ストッキング、
リンパ誘導マッサージ・・・。
ケアはやはり 根気が必要なようだけれど、
この本によると、
かなり重症のひとでも 手術なしで
かなり改善されるようだ。

太るのもよくないそうだし、
根を詰めたり 寝不足が続いたりも
浮腫のきっかけになると書いてある。

適度にスリムな、健康ながん患者を目指そう。
日本語として矛盾があるだろうか。

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
とつぜんw (ひるてぃ)
2005-02-04 19:05:03
来てみました。もう二月。BLOGは当分出来そうもありません。



リンパ浮腫とは直接関係ないけど、転院しました病院で、多くの車椅子に乗られたお年寄りを何人も見て、いろんなことを考えていました。



その翌日から心が凹んで今日やっと起き上がりました。

「生老病死」再度考えさせられましたw。。



まだ小杉には治療に来てるのかな?

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わ~い、ひるてぃさんだ! (ジョルジュ)
2005-02-04 19:55:51
いいです、いいです、

こうして たまにお目にかかれれば。

お元気でいらしてくだされば。

BLOG の再開なんて、いつだって。

ひるてぃさんのこと、時々思い出してました。

小杉の鍼灸師、行くと体の調子がいいので、

なるべく毎週行くようにしてます。

(行けない時には 落ち込んでます)

生老病死、またまた 難しい事を考えてらしたんですね。

私はまだまだ生きるつもり、母も健在だし。

老いはイヤだけど、化粧品にそれほどお金を掛けられない。

いまや、若さは財力で買えそうな勢いの化粧品業界です。

病は・・・がんは有り難い病気だなあと。。

死は・・・私はやはり 身近に感じて生きてきたのでしょうか。

調子が良かったら またコメントくださいね!
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おはよう (arfa)
2005-02-05 11:25:45
お知らせ・・・

かってに「日本ブログ大賞」に推薦しました。

(画面左にも出てますね)



アクセス数を競うものではなく、内容を吟味して決めると言うところが気に入りました。



落ち込んでる人、困ってる人、楽しかった人・・・

もっともっと読者が増えていくといいね。

そして なによりもご自身の飛躍を

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??? (ジョルジュ)
2005-02-05 12:44:48
arfa さん、何を考えてらっしゃるやら。

でも 最初に「ぶろぐ」というものを

arfa さんに教えていただいた時は

「ああ、あたしにゃ 関係な~い!」

と思ってた私が こうして続けてるんだから、

わからないものですね。

自身の飛躍を一番怖がっているのは、私です。

今まではつま先を地面につけたまま

伸びをしたり縮んだりしてましたが、

少しずつジャンプの飛距離をのばせるように

脚力、訓練中です。

あとは度胸なんですが。
返信する
飛躍が怖い・・・ (arfa)
2005-02-05 13:44:56
とってもよくわかります。でも

なにも家庭を崩壊してまでの飛躍をするわけじゃない。

それじゃ、バンジージャンプになります。

目標は高いにこしたことないですが

まずカルチャーおばさんも立派な飛躍。



倒れそうになったら支えましょう。

旦那様の大木には及びませんが

マッチ棒くらいの役割は出きるかも。

その上、あちらのサイトには強い味方がいっぱいいらっしゃいます。



お釈迦様に説法しちゃった・・ごめん。
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見には来てるんですが (mino)
2005-02-05 22:19:13
コメントを書けなくてごめんなさい。

それにしてもジョルジュさんの病気に対する知識には驚かされますね。

私も最初は調べたけれど、治らないと判ってからは、調べるのをやめました。



鹿島にジョルジュさんの好きな興梠(こうろき)君が入りましたね。

今年の鹿島の新人は、みんな期待出来ますよ。
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ありがとうございます。 (ジョルジュ)
2005-02-05 22:31:39
arfa さんの励ましの言葉、とっても嬉しいです。

(マッチ棒なんかじゃないですよ)

心強い味方の皆さんがいらっしゃることも、

やはり心の支えになっています。



人には「らしさ」や「分をわきまえる」という言葉がある、

その言葉は 大嫌いでしたが、

この頃の私は それも大事な事だと思うようになりました。

私は私らしく、トンデみたいと思います。

無謀に窓から飛び出して、失敗して落ちてきて

地面からうらめしげに空を見上げるのは、

私らしくない。

少しずつ少しずつ 飛び方を習得して、

飛び出したら着地も失敗しない、そんな飛び方を

しようと思っています。

やたら時間がかかりますが、

(しかも、たいして遠くへは行けない)

ゆっくりお付き合いください。

ありがとうございました。
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mino さん、こんばんは (ジョルジュ)
2005-02-05 22:45:22
要するに、私はヒマなんですね。

それに、年々 新しい治療法が出てきて、

「このぐらいわかれば、だいだい いいかなー」

といラインが、すぐどこかに消えちゃうんです。

あ、それから、

コメント、無理しないで下さい、

私の窓は 書き込みしにくいテーマ、多いので。



コオロギ君の活躍、楽しみですね。

とりあえずは 小笠原の日本代表での活躍を期待してます。

このごろ 小笠原ファン、増えたでしょうか?
返信する
小笠原は (mino)
2005-02-07 00:01:33
私と同じ岩手県の出身なので、同郷のよしみで応援してます。

サッカーのセンスは有りますが、見た目がボーっとしているので、少し損をしているようですね。

北朝鮮との試合で、実力を発揮出来れば、ファンも増えると思います。
返信する
うん、うん。 (ジョルジュ)
2005-02-07 10:19:00
それに、インタビューに対応するのが、下手。

あれはあれで 彼の持ち味でしょうか?

彼は、岩手でしたかー。

ずっと彼のプレーが好きでした。

これからも応援して行きます。

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