3月14日(水)午後日本橋にある銀行へ永代通りを歩いて出かけた。
柳橋から徒歩で20分。
帰途は馬喰横山町の繊維問屋街を通って帰る。
問屋街の閑古は久しい、日本橋に事務所があった2年前
弊社に出入りしていた宅配便の若者は、問屋街でウエディングドレスの製造販売を
両親と細々営んでいたが、
安い中国製品の流入によって商売ができなくなった。
今でも老いた両親は続けているが、息子は将来性がないと見切りをつけて
勤め人になった。
ぶらぶらしながら、いつも気になる看板があった。
思い切って玄関を開けた。
土間があり、その先は畳敷きになり途中白布カーテンで仕切られていた。
声を掛けるとカーテンの向うから老人の声がする。
小太りの顔艶の良いオジサンが作務衣姿で出てきた。
座椅子に座り対面する。
私は状況を説明する。
「2年前より右首が痛み、去年、秋に釣りをして護岸ですべり腰を痛めた」
老人は私をじっと見詰め
「疲労痛みが体全体に充満している」と重々しい口調で述べる。
息子に言わせれば「当たり前、だから整体マッサージに来たのだ」
早速、細長いベッドにうつ伏せになり施術と称するマッサージを受ける。
オジサン 口笛のような息を吐きながら体を揉む」
時折 「楽になりましたか」と訊ねる。
だが、実際に痛む首と腰は施術しないで30分で終わる。
確か50分コース5千円で頼んだはずだが?
終わってオジサンに訊ねた。
「ここは呉服問屋さんではないのですか」
すると、オジサン曰く
「開店休業だ、着物など平成の時代になってから
全く売れない、在庫は仰山あるが小売店がない。
私で5代目だが商売成り立たないので
息子には継がせなかった。
62歳の時、整体マッサージの店にした。
現在72歳、当人、下半身も現役だと自慢げに呟いた。
元手、仕入れも必要ないので精神的に楽だ。
廃業ではなく和装品の店から整体マッサージの店に転業したのだ。
だが、外看板は以前のままだ。
この対面は大きなビルで、商社になっているが
以前は大手和装品、着物の大手上場会社だったが
平成不況で縮小、大手商社に吸収されてしまった。
私も会社潰れたら整体マッサージするか?
今まで、いろんな所で整体を受けたが、治った!という感覚がない。
弊社にいた、中国人女子留学生(現在はアメリカ在住)が整体、マッサージは
治療ではないと言った。
血管を押さえ圧迫して離せば血流が動き快感が一瞬生じるだけのこと。
「社長 騙されてはいけないよ、暗示にかけるだけだから」
先頃、女性タレントがマインドコントロールされて
騒がれているが、占い、マッサージにも似たようなところがあるかもしれない。
ところで、さっき受けた整体マッサージの効果は
事務所に着いたら首と腰は痛かった。
AKBではないが 「あ!いたかった、あ!いたかった」
そして もう、「あいたくなかった、君に!」