馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

凍傷の傷痕と幼馴染の彼女と別離 終章。

2021-12-17 07:00:40 | 日記


人は、何処の女と男の間に生まれたのか
男か女かもわからず生まれ
何処の地で育ち、何処の人と結婚するか
知る由もない。
そうして、又出会いがあって結ばれる。
街角ですれ違う人々が
何処から来て何の目的でここにいるのか
何処に向かい
何処に帰るのか
誰もわからない。




幼い頃に一緒だった仲間も
いつか離れ離れになり
何処に行ったかわからない。


エピローグ 終章です。
凍傷の傷痕と幼馴染の彼女と別離。

20数年後の幼馴染の再会
最後は、気がすむまで
たっぷり見詰めあった。
そうして、代々木公園前ホームで別れた。


伊藤左千夫の小説 野菊の墓

舞台は江戸川辺り
僕と彼女は多摩川辺
僕が結婚して最初に住んのは
江戸川べり、公団住宅名は野菊野
僕の姓の文字は菊
多摩川べり 鵜の木

矢切の渡しーちあきなおみ

中国民謡



笹の小舟

ひとすじのせせらぎ ゆるやかに


わたしの家の前を流れ。


ひとすじのせせらぎ ゆるやかに


あなたの家の庭めぐる。





せせらぎの水よ


日ごと流れてゆくが、


わたしの思いを


流せはしない。


せせらぎの水よ


夜ごと調べをかなでているが、


わたしの思いを


歌い尽くせはしない。





笹の葉で小船を一つ折り、


そこに白い帆を立てて、


わたしの思いをのせて、


あなたの心の港に向けて


送り出そう。





待つということ            小桧山 博  



待つのにもいろいろあって、恋人と会う日が来るのを待つとか旅行に出発する日が待ち遠しいなど比較的に楽しいこともあるが、いろいろつらい待ち方もある。いずれにしても待っている時間は心の中を期待と不安が錯綜し、複雑に揺れつづけるものだ。僕もこれまで、ずっと待っていた気がするほど待つことに埋め尽くされた70年間に思えるが、結局人生とはそんなものだろう。待つことによって人間は鍛えられ成長するというし、たぶんそうに違いないが、ぼくは愚かな人間だから、待ってひねくれてしまったかもしれないと心配だ。




ぼくは27歳のころ東京に住んでいた。ある日、若い女性と新宿・歌舞伎町にある「田園」という喫茶店で待ち合わせた。ぼくのほうから誘った。5日前にふとしたことで知り合ったばかりで、まだ彼女の名前も年齢も住所も電話番号も知らなかった。


どこかに勤めているのかもわからなかった。約束の日、ぼくは彼女と会うため会社から前借りをして床屋へ行き、髪をリーゼントにした。次に質屋に入れていた一張羅の背広を出してきた。もちろん彼女とのコーヒー代や食事代のぶんも前借りしておいたから、次の月の給料はもらいぶんがないはずで、来月もまたすぐ前借りしなければならなかった。しかし女と会うのだ、前借りぐらい何回でもするつもりだった。




その日ぼくは5時半に、喜び勇んで喫茶店へ行った。胸が踊った。だが6時の約束が7時になっても8時になっても女性は来ない。ぼくは苛々しながら待ち続けた。自分の眼が血走るのがわかった。連絡しようにも彼女の住んでいるところも電話のわからない。今日会えないと、もう二度と会うことはできないはずだった。


9時になったとき、ぼくは怒りのあまり唸りながら喫茶店を飛び出した。彼女は初めからぼくと会う気などなかったのだ。からかわれたのだと思った。自分の馬鹿さかげんに腹が立ち、ぼくは近くの焼き鳥やへ入って冷酒をあおった。そのとき突然、もしかすると、ぼくが彼女に指定した喫茶店は「田園」ではなく「上高地」ではなかったかと気づいた。息が詰まった。




ぼくは焼き鳥やを飛び出すと、「田園」から二百メートルほど離れたところにある「上高地」へ走った。腕時計が10時を回っている。息を切らせて「上高地」へ走りこむと、彼女はいた。4時間半待っていたのだ。


                 その眼が濡れていた

                 ぼくを見ると大急ぎで涙をぬぐった。


その彼女がいまのぼくの妻だ。結婚して45年たち、たまにぼくが、「もしあのとき俺たちが携帯電話でも持ってて連絡を取り合い、5分遅れぐらいで会ったとしたら、俺たちはどうなってただろうと思うことがあるんだ。もしかすると、4時間半待つことがなかったら、俺たち結婚してなかったかもしれないな」と言うと。妻も「たぶんね」と笑う。




作者は私より年齢が上だが、当時大学山岳部に所属。




新宿駅から夜行列車で北アルプスに向かう時、夕食を新宿駅近くの洋食屋で




とんかつを食べた。調理長が登山好きで故郷が信州であった。




毎回 特別サービスで、かつを大盛りにしてくれた。




食後、出発までの時間、喫茶 田園 か上高地で時間を 過ごした。




あの頃、恋に焦がす青年がいたのだ。




今は 亡き同期に想い馳せるのだ。


名言


男は目で恋をし、女は耳で恋に落ちる。


あなたの心の港に向けて


送り出そう。

終わり。