暮れに柑橘類が揃ったので、さっそくオランジェットを作ってみよう。
皮を砂糖で煮て透明になったら完成だ。
量が多いため、チョコレートも多めに買ってある。
いざ!
途中で文旦の白い部分だけの味見をしてみた。
見た目は中華クラゲのようだが、ボンタン飴の味がした。
完成に近づいている証拠だ。
これにチョコレートをまぶせばかなり良いのではないか。
以前、夏みかんのオランジェットを萩の土産として売り出すという話を聞いて、
通販で取り寄せて東京の酒飲みデザイナーに送った。
いわれのある品物と、現代の融合は面白い。
自分も味見をしてみようと余った箱の袋を開けたら、
予想に反して、短い切れ端にどうしたことか広がったチョコレートがついていて、
さながら茶色いウチワのようだった。
長い棒状であるべきものがどうしてこんなことに。
夏みかんの直径からしても、長い一切れが取れないとは考えられない。
マーマレード用の余った部分でも使ったのか。
発想は良いのに残念な具現化だ。
そんなことを考えながら終盤、湯煎にかけていたチョコレートが冷えてきたので
電子レンジでもできるのではないかと思いついてさっそく入れてみたら、
時間が長すぎたのか、黒い溶岩のようになって白い煙とともにモロモロ出てきた。
嫌になってやめる。
数時間後に気を取り直して味見開始。
文旦ジェット:
一番気になっていた。ザボンの砂糖漬けというお菓子がすでにあるらしいので、
期待できそうだ。
と思いきや水分が多すぎて噛むと水がしたたってくる。
いまいち。
もっと乾かせばいいのか。
苦い。おかしい。
あんなに入れた砂糖はどこに行ったのか。
家の庭になったので確かに国産無農薬、そして無肥料だ。
カボス:
みかんの匂いがしたが皮は立派だ。
区別をつけるため新鮮な緑色のものを入手。
緑のオランジェットは、はっきり言って不気味だ。
チョコレートで包むのが下手なのか、
なにやらスライムがはい出てきているかのようだ。
ダイダイ:
これこそがビターオレンジ!これこそがオランジェット!!
ぶ厚い外皮!豊かな白身。果汁なんてこの際どうでもいい。
問題は皮だ。
そんなつもりで正月の飾りを買っているとはだれも気付くまい。
葉には翼葉はなく、はっさくの匂いがした。
追記:後日、真正オランジェットを作ってみた。
本格ダークチョコレートで。
はっきりいって苦いし不味いし、食べているとだんだん顔がゆがんでくる。
あぁこれは山椒だ。陳皮をまとめて口に放り込んだような。
デザートが作りたかったのであって、精神修行の道具が作りたかったんじゃない!
作り方を間違えたのだろうか。
茹でてゆっくり砂糖の濃度を濃くしていくのと、
砂糖に漬けておいたのに火を通すのでは、
結果に違いがあるのだろうかと思い、やってみたのだが。
あんまり煮ていると、薬効成分が抜けていくのではないかと気になった。
ゆず:これはたまに売っているので作るまでもない。
匂いは好きだ。あのツンと来る刺激ですべての菌が一掃されるような気がする。
以前、法事の料理でゆず胡椒が出てきて、
知らなかったのでテリーヌか何かだと思って一気に食べ、
苦しんだ記憶がある。
店員を含めみんなに笑われ、ろくなことがない。
嫌な予感がする。
追記:後日ダイダイと一緒に作ってみた。
砂糖に漬けたものを火にかけたら、またたく間に透明になった。
時間短縮。
やわらかい黄金のゆずピールだ。
これを(きの)「ぱくっ・・・???」
なぜか、アゲハ蝶の幼虫の匂いがする。
何でだろう。
ユズのさわやかさもシャープな刺激も、
すべて消し飛んで、木質の福々しい青虫が10匹ぐらいいるようだ。
しかもチョコレートと合わない。
ゆずの底知れない野性を見たような気がした。
金柑:皮をむいたら何も残らないのでやめた。
みかん:うすいのでやらない。
スダチ:うすいので充分な皮が取れない。白い部分がない。
いよかん:
今回の狙いは、果たしてイヨカンにタンジェリンの割合がどのくらいあるのかということだ。
食べてみておいしいと感じるみかんは皮もおいしいのではないか。
しかし甘いミカンはだいたい皮も薄い。
イヨカンはぎりぎり皮が厚い。
味的にはこれが一番おいしかった。
結局、こんなに頑張って食べているのは果物の皮だということには
あまり触れないようにしてきたが、
味見だ何だかんだで、オレンジ1個分ぐらいの皮は食べただろうか。
有効成分であるヘスペリジンだのナリルチンは、摂取できたのか。
これほどの陳皮を、一度に食べることは不可能だろうから、
より健康になったはずだ。
陳皮の食べ過ぎによる副作用はないのかな。
なにしろ自分自身に咳や炎症が起きていないので、消炎の効き目が確かめられない。
この冬にカゼを引かなかったという事実は、食べてなかったら引いていた未来と
比較できないので何とも言えない。
そうだ!この試作品・・・コホン、完成品を明日来る仕事納めの煙大工に食わしてみよう。ヒヒヒ。
オレンジ・キュラソー:
オレンジの皮を酒で煮出したものだ。レモンの皮だとイタリアのレモンチェッロになるが、こちらはオレンジの皮を使って作られたもの。
カクテル用に売ってる。
さぞかし栄養が詰まっているだろう。フフフ。
そして、今まで一番おいしいと思ったイヨカンの皮を砂糖に漬け、サッと煮た後でキュラソーに浸して充分沁み込んだところをチョココーティングすれば、美味しい上に有効成分が凝縮されたえもいわれぬショコラボンボンが理論上できあがるはずだ。
輸入食品の明治屋からうきうき買ってきて作ってみた。棚に、最も狙っていたアンゴスチュラ・ビターズ(これもミカン科の薬草酒)もあったが、瓶が大きいので、もし不味かったらどうしようという懸念があり、今回は見送った。名前もすでに苦そうだし。一口味見してから買うなら買いたい。
肝心のお味は、全然酒の感じがしなかった。どうしたのだろう。もっと入れれば良かったのか。この酒入りチョコにヘスペリジンがどのくらい入っているのか知りたい。
奈良時代に、犬養三千代という人が橘を酒に浮かべて天皇の病気を治したらしい。だから明日からお前の名前は橘ねっと言われて橘氏が始まったらしいが、嬉しかっただろうか。それにしても何の病気だったのだろう。全くの空想の話と考えるのはつまらない。
①脚気にビタミン?②それとも花粉症?酒に浮かべてってとこが、脂溶性(アルコール抽出も同義)のものを引き出してるような気配がするが。③まさか酒の飲みすぎで少しは果汁でも入れてレモンサワーのような薄まったのを飲めば?というアドバイス??