to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

君のためなら千回でも

2008-02-26 14:11:28 | the cinema (カ行)
この誓いは今、君に届くだろうか―

『チョコレート』『主人公は僕だった』のマーク・フォースター監督が、兄弟のように育った少年2人の心の傷と許しを描くヒューマンドラマ。

原作 カーレド・ホッセイニ 『君のためなら千回でも』(旧題『カイト・ランナー』)
監督 マーク・フォースター
脚本 デヴィッド・ベニオフ
出演 ハリド・アブダラ /ホマユン・エルシャディ/ゼキリア・エブラヒミ/アフマド・ハーン・マフムードザダ

アミール(ハリド・アブダラ)は兄弟のように育った使用人の息子ハッサン(アーマド・カーン・マーミジャダ)との間にできた溝を埋められぬまま、ソ連侵攻の折にアメリカに亡命した。そのまま時は過ぎ、作家となったアミールの元に、パキスタンにいる知人から1本の電話が入り、故郷に向かうことになる。(シネマトゥデイ)

劇場で初めて予告を観た時から惹かれていた作品。
同時に、少年二人に降りかかる"不幸"がどんなものか。自分はそれに耐えられるのか、なぜか不安だった・・・

舞台は1970年代末、まだ平和なアフガニスタン。
ハッサンに物語を読んでやる12歳のアミール。
そのアミールを、小柄ながら勇気と機知をもって暴力から守るハッサン。
そしてそんな二人をみつめる頑固で自信に満ちた父―。

これは主人公が親友・ハッサンに対する罪を償う為の旅に出るという、贖罪をテーマにしているが
父と悲しい息子の物語でもある。

強い父。父は息子に勇気と、正義を求めていた。が、面倒に近寄らないアミールを知っていた。
アミールが虐められたかどうかをハッサンの顔を見て判断するところで、
父が求めているものを本当に持っているのはハッサンだと、父とラヒム・カーンとの会話を聞いたアミールは気付いてしまう。

そして父の前でケンカ凧大会で勝ち残り、やっと父に褒められ、嬉しい少年アミール
素直に裏方に回り祝福するハッサン。風を読み凧を追う。
そして悲劇は起きた.....。

臆病な息子に父が説くシーンがいくつかあるが
あらゆる悪は、盗む事に根ざしている―父の真意は息子に届かず、更なる罪を背負うことになる。
この時、本来許さないはずの「罪」を犯したハッサンに対し、即座に「許す」という父。
やはりこの少年を見抜いていたからだと思ったのだが、、、

そして20年。アメリカ。父に守られたアミールはそのままの成長を遂げ、父は老いており、アミールを愛していた。
そして父の死後、いつも優しかったラヒム・カーンの言葉で
逃げ続けた自らの罪の大きさを知り、命を賭けた贖罪の旅にでる。

平和で活気があったアフガニスタンで、少年の日の大切な絆を失った凧揚げ
荒れ果てた瓦礫の大地から、場所を緑豊かなサンフランシスコに変え
20年経ってようやく新しい絆を手繰り寄せるアミール。
あの幸せをくれる言葉とともに・・・凧を追うラストに希望がみえる