to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

海洋天堂

2011-08-09 02:17:34 | the cinema (カ行)
           

平凡にして偉大なるすべての父と母へ――。
原題 海洋天堂/OCEAN HEAVEN
製作年度 2010年
上映時間 98分
製作国・地域 中国
脚本・監督 シュエ・シャオルー
撮影 クリストファー・ドイル
音楽 久石譲
出演 ジェット・リー/ウェン・ジャン/グイ・ルンメイ/ジュー・ユアンユアン/カオ・ユアンユアン/ドン・ヨン

世界的アクションスター、ジェット・リーが得意のアクションを封印して挑む父と子の感動のドラマ。
水族館勤務のシンチョン(ジェット・リー)は、21歳になる自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで大切に育ててきた。ある日シンチョンはガンで余命わずかと診断され、息子の将来を案じて心中を図る。だが、泳ぎの得意なターフーが海面に顔を出したため、シンチョンは息子に一人でも生きていけるよう教育することを決意する。

昨年から日本公開に向けて活動していらっしゃるしゅうさんの活動に微力ながら参加させていただき、
公開を楽しみにしてきましたが、関東でのスタートが7月と言う事で、
もしかしたら行けないんじゃないかと気をもんでいましたが、滑り込みセーフ

会社を一歩出た時から走り続けて、電車を乗り継ぎ、
シネスイッチ銀座にたどり着いたら入場規制?とにかくあそこでは初めての経験でした!
公開週の満足度ランキングが1位だったのもあったかも知れません。
その日が金曜日でサービスデイ(誰でも900円)だというのもあったでしょう。が、
とにかく最前列まで、ほぼ100%の入りだったでしょう。大盛況でした!

「平凡にして偉大なるすべての父と母へ」というキャッチコピーが温かく胸に沁みる、
看板に偽りなしといっていい、
子を想う親の、愛と、
その子を遺していかなければならない焦燥感と寂寥感。
繰り返される日常の中に漂う不安と孤独を、ジェット・リーが見事に見せてくれるのですが、
今、親ではない人も、
きっと親の心に触れられる・・そんな作品でした。

ひと口に『自閉症』といっても、その障害の重度も症状も様々で、時間をかければ
一定の社会生活をこなせる人から、本作のターフーのように知的障害を伴う場合などあり、
本当に親が病気になったら・・・ぃや、病気になれない、そんな差し迫った父と子―。
世界のどこかで、きっと今、現実にあることなのです。

大事に面倒を見てきたシンチョンが、自分が安心して逝く為に
ターフーを導く様は、心が痛みます。。。一人の親として、共感できるその姿にやられます・・。
そして、ターフーを安心させて逝く為に、彼がターフーに与えたもの・・・!!

こういう場合、他人は本当に、よき隣人の域を出られないのだと思いました。



ジェット・リーのノーアクション、ノーギャラでの出演が話題になりましたが、
それほどに彼が惚れ込んだ作品。
ただ、子を想い、幸せへの道しるべを探す死期の迫った父――、愛情深く演じていて
とても素敵でした

グイ・ルンメイちゃんは相変わらず透明感を感じさせる存在。
ここでもちょっと切ない鈴鈴チャン、よかったです!
そして、ターフーを演じたウェン・ジャンに、拍手

クリストファー・ドイルの描き出す水の青!
その水の深い流れとシンチョンのこころの漂いを奏でる久石譲の音楽もヨカッタ・・・

シネスイッチ銀座では8/26(金)迄は確実に上映されるそうです。