to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

終戦のエンペラー

2013-08-16 22:33:10 | the cinema (サ行)

原題 EMPEROR
製作年度 2012年
製作国・地域 日本/アメリカ
上映時間 107分
原作 岡本嗣郎『陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ』(集英社刊)
脚本 デヴィッド・クラス 、ヴェラ・ブラシ
監督 ピーター・ウェーバー
出演 マシュー・フォックス/トミー・リー・ジョーンズ/初音映莉子/西田敏行/桃井かおり/中村雅俊/夏八木勲/片岡孝太郎

岡本嗣郎のノンフィクション「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」が原作の歴史サスペンス
1945年8月30日、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の司令官としてダグラス・マッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)が日本に上陸。彼は日本文化に精通している部下ボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)に、太平洋戦争の真の責任者を探し出すという極秘任務を下す。わずか10日間という期限の中、懸命な調査で日本国民ですら知らなかった太平洋戦争にまつわる事実を暴き出していくボナー。ついに最大ともいうべき国家機密に近づくが、彼と敵対するGHQのグループや日本人たちの一団が立ちはだかる。

1945年8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終結。
それからわずかに半月後、マッカーサー率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が厚木に上陸するところから物語りは始まる。
そして日本の占領統治が始まるのだけれど、マッカーサーは先ず日本の文化に精通していたフェラーズ准将に「真の戦争責任が誰にあったのか」を突きとめるよう指示する。―

原作ノンフィクションの主人公河井道を架空の人物アヤにして、フェラーズとの恋愛を絡ませ
知日家との人物像を解りやすくしているのだけど、、
果たしてこのテーマにソレが成功したかというと、う・・・んとなってしまう。

 なぜ、開戦直前に首相が交代したのか?
 戦争を始めたのは本当は誰なのか、終わらせたのは誰か?
 連合国側の本音と、マッカーサーの真の狙いは?
 マッカーサーと天皇が並ぶ写真が写された理由とは??

天皇を戦犯として処刑したいワシントンと、
混乱を避け、速やかに再建に向けたいマッカーサーは、その難問をフェラーズに一任する。
そして、彼が答えを求め、接触する日本の政治家、軍人たちの言葉を聴き、
彼に影響を与えた、日本女性・アヤとの過ぎし日に思いを馳せる―…

誰であれ、そのご尊顔を直視することが憚られた日本のエンペラーは、
この戦争を指揮したのか?
天皇は有罪か?無罪か?



フェラーズは「我々が行うのは、報復ではなく正義」だというのですが…―

ここで登場する脇の日本の俳優たちがよかったです。
ハリウッド映画で描かれるなんちゃって日本になっていないのは、プロデューサー奈良橋陽子氏の存在があったからなのか。
1945年の東京、皇居を臨むGHQ東京本部など、リアリティがあったし、
少ないキャストのセリフにしても、
日本の行った侵略行為は、嘗てのあなた方のやり方を手本にしたものだ
他国を侵略したあなた方から奪ったに過ぎないと言う近衛文麿に胸が空く思いだったし、
天皇の側近、関屋次官の御製の朗読のシーンなど、実際の親戚だという奈良橋氏の意見が
大いにものを言ったのではないかと思う。
これが遺作となった夏八木さんのとぼけた味わい、昭和天皇の片岡孝太郎さんの雰囲気が嵌っていました。

が、それだけにフェラーズのアヤを巡る行動、人物の描き方が釈然としませんでした
仮にもマッカーサーと天皇を引き合わせた立役者を、、こんな描き方でいいのかと....。

この作品の主人公・フェラーズ准将を演じたマシュー・フォックス。
ワールド・ウォーZ」にも出演していたのですね~。
ブラピ一家を救出に来たヘリコプター部隊の兵士役だったようですが、アノ混乱の場面ですかね。

太平洋戦争に突入する辺りの日本人(民間人)や軍の意識などが描かれた『聯合艦隊司令長官 山本五十六』や、1945年8月6日の広島と、その後を描いた『夕凪の街 桜の国』などに比べると
アメリカ人の見た日本の終戦を語るという感じで、感動するまではいかないのですが、
オープニングの原爆の画像。真っ黒の何もかも焼け焦げた敗戦国、日本の姿。
私などはもうこの映像だけで胸が震えて、、、改めて思うのでした。
そこから必死で這い上がり、ここまで戦後を生き抜いてき、立て直してきた日本人は本当に凄いって.......。