完璧な贋札。
それは俺たちの命を救うのか。
それとも奪うのか──
製作年 2006年
製作国 ドイツ=オーストリア
上映時間 : 96分
原作 アドルフ・ブルガー 『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』(朝日新聞社刊)
監督・脚本 ステファン・ルツォヴィッキー
出演 カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ/アウグスト・ツィルナー/マルティン・ブラムバッハ
第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所で、ナチスから紙幣贋造を強制されたユダヤ系技術者たちの苦悩のを描くヒューマンドラマ。
第二次世界大戦の最中、ナチスはイギリスの経済を混乱に陥れるため精巧な贋ポンド札の製造を計画する。この“ベルンハルト作戦”のため、ザクセンハウゼン強制収容所には、世界的贋作師サリー、印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たちが集められた。収容所内に設けられた秘密の工場で、ユダヤ人でありながら破格の待遇を受け、完璧な贋ポンド札作りに従事することになったサリーたち。しかし彼らは、自らの延命と引き替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく。
第二次世界大戦が終わったモナコ・モンテカルロの一流ホテルに、みすぼらしいスーツの一人の男が入ってくる。
札束が入ったスーツケースを手にした腕には囚人番号が彫られている。男の名はサロモン・ソロビッチ。
サリーと呼ばれるその男の回想として物語は始まる―
1936年、ベルリン。パスポートや紙幣の偽造で逮捕されたサリーはマウントハウゼン強制収容所に送られる。
そこではナチスによるユダヤ人の大量虐殺が始まっており、囚人たちにとって地獄のような日々。
そこで彼のスケッチの腕を見込んだ親衛隊の隊長によってサリーは優遇されるが、
ある日突然、印刷技師ブルガーや美校生のコーリャなどとザクセンハウゼン強制収容所に移送される。
死を覚悟したサリーの前に、ベルリンで彼を逮捕した事により一介の捜査員から親衛隊の指揮官へと出世したヘルツォークが現れ、
ここにナチスドイツ軍の「ベルンハルト作戦」は本格的に始動する。
一般収容所と壁を隔てた偽札工場に関わる彼らは、ちゃんとした上着を与えられ、
まともな食事に、シャワー、清潔なベッドと音楽、医師までがつけられた。
それは完璧な偽札を作らせるために用意された環境。
抵抗、もしくは失敗すれば、銃殺かガス室が待っているのは明白。
しかし、成功は即ちナチスの戦況に有利になり、ユダヤ人の虐殺に繋がっていく―・・・
孤独な贋作師サリーが、次第に同僚たちのリーダー格となり
自身の葛藤に目をつぶり、今日を生きるために弱者をいたわり、
理想主義に燃えて仲間の命を危険にさらすブルガーをいさめ、
親衛隊との摩擦を抑えていく様を、テンポよく緊張感を滲ませつつ描き出していく。
「今日銃殺されるより、明日ガス室送りのほうがいい」
死と背中合わせで語るセリフには重みがある・・・
こういった戦争モノ、収容所が舞台となる作品に避けられない残虐なシーンも殆どないのに、
囚人を包む緊張感は途切れず、あっという間の96分。
ブルガー騒ぎに乗じて(?)、あんな事をしていたサリーには騙されました。
一刻も早く脱出したかった収容所での贋札作り――しかし、待つ人も居ないサリーの人生。
命を賭けて大博打を打った贋札作りの皆と一体化した日々が、ある意味懐かしい大切な日々だったのかも知れない。。そんなことも思わせるラストも良かったです
この作品はサリー目線で描かれていて、ブルガーが過剰なまでの理想主義者という設定ですが、
実際のこの原作者であるブルガー氏は、そんな人物ではないと演じたアウグスト・ディールがコメントしていました。
劇場公開の為にご本人も来日されていたようですが、この作品で描かれていたより
当時の彼は若かったのかもしれないという印象の写真でした。
それは俺たちの命を救うのか。
それとも奪うのか──
製作年 2006年
製作国 ドイツ=オーストリア
上映時間 : 96分
原作 アドルフ・ブルガー 『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』(朝日新聞社刊)
監督・脚本 ステファン・ルツォヴィッキー
出演 カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ/アウグスト・ツィルナー/マルティン・ブラムバッハ
第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所で、ナチスから紙幣贋造を強制されたユダヤ系技術者たちの苦悩のを描くヒューマンドラマ。
第二次世界大戦の最中、ナチスはイギリスの経済を混乱に陥れるため精巧な贋ポンド札の製造を計画する。この“ベルンハルト作戦”のため、ザクセンハウゼン強制収容所には、世界的贋作師サリー、印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たちが集められた。収容所内に設けられた秘密の工場で、ユダヤ人でありながら破格の待遇を受け、完璧な贋ポンド札作りに従事することになったサリーたち。しかし彼らは、自らの延命と引き替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく。
第二次世界大戦が終わったモナコ・モンテカルロの一流ホテルに、みすぼらしいスーツの一人の男が入ってくる。
札束が入ったスーツケースを手にした腕には囚人番号が彫られている。男の名はサロモン・ソロビッチ。
サリーと呼ばれるその男の回想として物語は始まる―
1936年、ベルリン。パスポートや紙幣の偽造で逮捕されたサリーはマウントハウゼン強制収容所に送られる。
そこではナチスによるユダヤ人の大量虐殺が始まっており、囚人たちにとって地獄のような日々。
そこで彼のスケッチの腕を見込んだ親衛隊の隊長によってサリーは優遇されるが、
ある日突然、印刷技師ブルガーや美校生のコーリャなどとザクセンハウゼン強制収容所に移送される。
死を覚悟したサリーの前に、ベルリンで彼を逮捕した事により一介の捜査員から親衛隊の指揮官へと出世したヘルツォークが現れ、
ここにナチスドイツ軍の「ベルンハルト作戦」は本格的に始動する。
一般収容所と壁を隔てた偽札工場に関わる彼らは、ちゃんとした上着を与えられ、
まともな食事に、シャワー、清潔なベッドと音楽、医師までがつけられた。
それは完璧な偽札を作らせるために用意された環境。
抵抗、もしくは失敗すれば、銃殺かガス室が待っているのは明白。
しかし、成功は即ちナチスの戦況に有利になり、ユダヤ人の虐殺に繋がっていく―・・・
孤独な贋作師サリーが、次第に同僚たちのリーダー格となり
自身の葛藤に目をつぶり、今日を生きるために弱者をいたわり、
理想主義に燃えて仲間の命を危険にさらすブルガーをいさめ、
親衛隊との摩擦を抑えていく様を、テンポよく緊張感を滲ませつつ描き出していく。
「今日銃殺されるより、明日ガス室送りのほうがいい」
死と背中合わせで語るセリフには重みがある・・・
こういった戦争モノ、収容所が舞台となる作品に避けられない残虐なシーンも殆どないのに、
囚人を包む緊張感は途切れず、あっという間の96分。
ブルガー騒ぎに乗じて(?)、あんな事をしていたサリーには騙されました。
一刻も早く脱出したかった収容所での贋札作り――しかし、待つ人も居ないサリーの人生。
命を賭けて大博打を打った贋札作りの皆と一体化した日々が、ある意味懐かしい大切な日々だったのかも知れない。。そんなことも思わせるラストも良かったです
この作品はサリー目線で描かれていて、ブルガーが過剰なまでの理想主義者という設定ですが、
実際のこの原作者であるブルガー氏は、そんな人物ではないと演じたアウグスト・ディールがコメントしていました。
劇場公開の為にご本人も来日されていたようですが、この作品で描かれていたより
当時の彼は若かったのかもしれないという印象の写真でした。
そうなんですよね、これってユダヤ人収容所を描いてる作品なのに残酷なシーンてなかったですよね。
それでも充分、この時代の非道さは伝わってきましたし緊張感を持って観れましたね。
秀作でした!
『フェイクシティ~』と『ヒトラーの贋札』のトラックバックありがとうです。(*^-^*
>命を賭けて大博打を打った贋札作りの皆と一体化した日々が、ある意味懐かしい大切な日々だったのかも知れない。。
消したくても消せない日々・・・。
永遠に忘れる事が出来ない日々なのかもしれないですね。
P.S.
『ヒトラーの贋札』のトラックバックを2つ送ってしまったので、
1つ消しておいて下さい。m(_ _)m
有難うございます♪
ことさら残虐シーンを盛り込んだりしていないのに
死と隣り合わせの緊張感は伝わってきましたね。
悲劇性を煽らない展開、演出が、多少の物足りなさを感じさせるとしても、
史実を基にしたお話だけに、そこも押し付けがましを感じることがなくて良かったのかも知れません。
自分が生き延びることしか頭になく、他の囚人に嫌われていたのに、
贋札造りに関わった辺りから、いえ、移送の途中に若いコーリャに食べ物を与えるなど、
彼は人に心配りが出来るようになりましたね。
家族の居ないサリーにとって、
あの工房の囚人たちは家族同様の存在になっていたのかも・・と、
ラストのあの寂しげなサリーをみて思いました
加藤さんの映画、「新宿事件」は公開時期は申し分ないのですが、
劇場が、ネックになるかも知れませんね。
出来ればウチの近くでも上映して欲しいです
映画をみなかったら、「ベルンハルト作戦」なんて知ることもなかった。
死と隣り合わせの日々、緊張感が伝わってきました。
誰が正しいか正しくないかは関係なく、人間性を問われる映画でしたねー。
そうブルガーは映画のような人ではなかったようね。
ある意味典型的なサリーの人物像でしたが、
同じ恐怖と生への執着、ユダヤ人としての自負を
共有しながら過ごした日々の中で、
この主人公が恐怖と闘いながらも成長していく過程が
心に残りました。いい映画でしたね
この映画を見てから、アウシュビッツへ旅してきました。
彼らがいかに厚待遇であったか、壁一枚向こうの恐るべき事実をこの目で見てきて、偽札作りをするしかなかったのが、よくわかりました。
現実は、あまりに恐ろしく、今まで映画で見てきたアウシュビッツの悲劇は、全てではないと解って、気持ちが重くなりました。
「シンドラー~」はご覧になっていたのね、失礼しました。
先ほどまたお邪魔してきました。
まだ~むのロケ地探訪もいろいろ見せていただきましたが、
やはり数々映画になっているとはいえ、アウシュビッツはかなり重いところだったでしょう。
これからの作品の鑑賞にも随分影響してきそうですね。
「詳しい」お話もぜひに。