音楽を聴く姿勢

僕が音楽というものに初めて興味を持ち始めた頃は
オーディオ業界が成熟しつつあった時代でした。

テレビはすでに普及していて、ステレオが次のステータスだったと思います。
我が家の座敷にも、ばあちゃんにおねだりして買ってもらった
家具のような大きなステレオが鎮座していました。



聴く音源はもちろんレコード、あの頃お小遣いの中でレコードが占める割合は一番高いものでした。

そんな貴重なレコード、針を乗せると「シャカシャカ」と音が出てきます。
アンプを通さなくても耳を澄ませるとしっかり音楽が聞こえてきました。
溝を擦って音を出すなんて楽器と同じです。

針は日に日にすり減っていき、何百時間かで交換が必要です。
だから勿体なくて音楽はステレオの正面に座って集中して聞いていました。

アルバムの中には好きでない曲もありましたが、飛ばすことなんてできないので、
全曲しっかり聴いていました。

音楽を聴きながら他のことをするなんてなかったですね。

いつからなんでしょうか？音楽がBGMという存在に変わったのは。
クルマを運転しながら、掃除をしながら、歩きながら・・・。
「音楽を聴くだけ」という行為は自分の中でも何年も忘れていたような気がします。

ラジオ番組を始めてから改めて「音楽を聴く」ということを思い出しました。
何十年も眠っていたレコードを取り出し、もう一度針を乗せてみます。
すると思っていた通りの音で鳴ってくれました。
記憶にあったプチ音もあの頃のままです。

　
この小さな感動をリスナーさんにも届けたいと思っています。
「１９BOX～あの日の忘れ物～」ご愛聴いただきありがとうございます。
来年ももがんばります。