航空万能論 2025・01・13
【ロシア軍がチャシブ・ヤール、トレツク、ポクロウシクで重要な成功を収める】
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-forces-achieve-significant-successes-at-chasib-yar-toletsk-and-pokrovsk/
(1)去年の5月から激戦が続いてきたチャシブ・ヤール(Chasiv Yar)ですが、ロシア軍が北側の市街地で大きく前進しました。もう目見当で半分以上制圧しました。その次は南にある狭い市街地の制圧に向かいます。ここまで制圧すると幹線道路T-504に出ます。ここから西の拠点都市コンスタンチノフカ(Костянтинівка)まで10km位です。
次のトレツクもそうですが、ロシア軍はこの方面で兵力を増やして攻勢をかけたのかもしれません。
各地でクリスマス(1月7日)明けの大攻勢が始まった感があります。
(2)トレツク(Торецьк)も北の市街地のほとんどが戦闘地域に入っています。ロシア側RYBARの報告では、ほぼ全域をロシア軍が制圧しています。トレツクは、Googleマップでは、「ジェルジンスク」と表記されています。
このエリアは、ロシア側とウクライナ側の戦況図が一致しません。
その西隣の拠点のシュチェルビニフカの市街地の中央付近まで戦闘地域が伸びていますので、ロシア軍がこの方面を制圧するのは、それほど遠くないでしょう。
制圧後は幹線道路T-0516を北西に進むとコンスタンチノフカです。距離は10km程度。
この先には、要塞になりそうな集落や都市はありません。
(3)大きな地図で見るとチャシブ・ヤールには、南に大きな市街地があります。ここをロシア軍が制圧するのに、どの程度かかるか❓制圧すれば、T-0504を西に6km程度進撃するとコンスタンチノフカの市街地の端に到達します。
3月ごろには、コンスタンチノフカ攻撃が始まりそうな状況です。もっと早いかもしれません。
コンスタンチノフカは、北部ドネツクの要塞群の最初の都市です。
(4)ポクロウシク方面
デイミトロフの東のヴォズドヴィジェンカ(Vozdvyzhenka)付近を制圧したロシア軍は、北西方向にある大物流幹線道路のT-504のジャンクションまで戦闘地域を広げました。もうコンスタンチノフカ方面への物資の輸送は無理だと思います。同時にここにロシア軍が進出するとポクロウシクを三方向から包囲する東の突出部が出来ます。
ポクロウシクの南のシェフチェンコから西に進撃したロシア軍は、1本目の鉄道路線の直ぐ近くまで肉薄しました。更に北に進撃すると2本目の鉄道路線があります。並行して走っている幹線道路のE-50まで進出すると、西のドニプロ市から来ている補給路が遮断されます。こうなるとポクロウシクから東のエリアのウクライナ支配地では、物資の輸送が大きく阻害されます。
そうなればコンスタンチノフカの北のクラマトルクスから補給するしかありません。補給路を変更することは出来ますが、西のドニプロ市から来ていた補給がなくなれば、ドネツク州東部方面の補給が、単純計算なら半分に減ります。
そのような意味で、北にあるE-50と並行して走っている2本目の鉄道路線は、ドネツク州東部の命運を握っていると言えます。ここを遮断されると、ドネツク州は補給量を制限されるという意味で非常に苦しくなります。
(ハルキウ市からクラマトルクスに来る代替ルートは、一応あります。しかし2ルート分の輸送は無理でしょうね。)
(5)ドネツク州南西の拠点のヴェリカ・ノボルシカは、完全に三方向包囲が完成していて、もう撤退するにしても道路がありません。川を超えて北西方向に開けている畑地帯を徒歩で逃げるしかありません。備蓄物資が底を突けば、もうどうにもなりません。一刻も早く撤退を決めないと悲惨なことになるでしょう。
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/1053-days-into-the-invasion-ukrainian-military-claims-unable-to-confirm-fall-of-krahove/
(戦況図の6枚目)
(6)と言う状況で、中部ドネツクはポクロウシク方面の要塞が残っているだけです。
南ドネツクは、もう要塞はありません。後はロシア軍が順番に拠点を制圧していくでしょう。
新年になりロシア軍がクリスマス明けの攻勢を始めて、ウクライナ軍は去年以上に苦しい戦況が続いています。
(7)ウクライナ軍が勝てない理由
Hara blogのX投稿から
<ロシア軍の新兵器>
航空機タイプのモルニヤ-2神風ドローン
TM-62対戦車地雷を設置(この地雷は約8kgの爆薬を含んでいる)
https://x.com/GyotokuShogi/status/1876987947251081549
8kgの爆弾は、すごい威力です。ロシア軍は、これを前線で攻撃に使います。
ウクライナ軍は、同じタイプの自爆ドローンを越境してロシアの後方攻撃に使います。
後方を少々攻撃したところで、前線には何の影響もありません。
兵力と武器の不足が一番大きな理由です。
しかし、武器や兵器の使い方が戦争に勝つための使用ではありません。
あくまでロシアを困らせるのが目的です。考え方が基本的に間違えています。
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑦
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27