音楽療法

朝、降った雪が踏み固まれた歩道。
歩くとキュッキュッと音がする。
寒いけど、雲ひとつない青い空と、春を感じる日差し。
こんな日はどこか行きたいなあ。
どこがいいだろう。
そんなこと思いながら、でも、今日の行き先は病院。
ああ残念。



「認知症に音楽療法の可能性」と、今朝の「ニュースおはよう日本」で。
過去の記憶を呼び戻し、脳機能を改善。
進んだ症状の患者にも期待できると。
音楽療法士の人材育成が課題という。

いつも母とは、ただ母の好きそうで懐かしいだろう歌を、二人で歌うだけで、
音楽療法という専門的なものはなにも分からないけど、
でもきっと刺激になって、少しは脳を活性化しているのかもしれない。
どんな時でも歌はちゃんと歌う母。
元気のない時も、機嫌の悪い時も。
そしていつもだいたい、それが少し改善する。

幼稚園の歌も女学校の歌も、認知症になってから歌い出し、
幼稚園の歌では、たまにその頃を思い出すこともあるよう。
他にも、その時の記憶を思い出すまではなくても、
若かった当時の気持ちが蘇っているのが、私にもなんとなく伝わってくる。
だから、母には「歌を歌うこと」は、きっとすごくいい。
そう思っていつも二人で歌っている。
そして、やはり脳の老化が心配な私にも、いいにちがいない。
母と私の音楽療法、これからも続けよう。


「あなたが聴きたい歌のスペシャル」という番組を、今これを書きながら見ている。
歌手が選ぶ「次世代に伝えたい名曲」ということで、
私には懐かしい歌ばかり。
脳には今刺激がきっといっぱい。

そんな中、久しぶりに聴いた『遠くへ行きたい』がとても良い。
胸の奥に沁み渡るよう。


遠くへ行きたい　ジェリー藤尾