美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

光を感じて描く

2013-12-13 22:57:12 | 日記
今日から1年生の授業でタイトル名の題材をスタート。
昨年度から始めた題材です。
この辺の学校では「写生大会」を実施している学校が多く、本校でも私が赴任した一年目までは似たような行事がありました。
しかし今はもう行事の精選でなくなったため、絵画作品について色々考えながら題材開発をしていたのですが、昨年実践したこの題材はけっこういい感じでした。だから今年もまたやってみようと思ったわけです。
今日はまだ題材についての説明と、昨年度の作品を鑑賞してイメージをつかむことに時間を割き、その先には少ししか進めませんでした。まあ予定通りですが。
その先というのは「光の美しさを感じる景色を切り取ること」です。
簡単に言うと写真を撮るってだけのことですが。

この写真の子たちは廊下や階段、体育館などを巡って数枚の写真を撮り、寒そうに美術室に戻ってきました。まだ満足したような表情ではなかったので「水道の水も光を反射させるよね。去年も写真撮ってみてた子いたよ。」と教えてみたら、こんなことをやり始めました。
ボウルに水をため、そこに蛇口から水をぽたりぽたりと落として波紋が広がるところを切り取っていました。

そこから更に試行錯誤。落差が欲しかったんでしょうね。
友達に協力してもらい、筆から水滴を落としてもらってその瞬間を狙う作業を地道にやっていました。
こういう工夫が素晴らしいなって思います。
「どうやったら思っているとおり上手くいくか?」
「もっときれいにするためにはどうしたら良いのか?」
そんなふうに工夫するとうプロセスがこの美術という教科の大事な大事なところですからね。

ちなみに他の子たちは、
廊下の鏡に反射するユニークな光を感じていたり。
体育館フロアにボールを一個置いてみたり。
廊下に反射する窓の光を切り取っていたり。
なかなか積極的に工夫して取り組んでいました。

次の時間もこの続き。
・撮影を数十分。その後に写真をPCで拡大して見て→選んで→印刷。
・次に小さな画用紙に鉛筆で描かせます。白と黒だけで光と影を表現するトレーニングということです。
・最後は八つ切りの画用紙に「無彩色+有彩色1色のみ」を使って水彩絵の具で表現させます。
これが昨年はいいトレーニングになったんですよ!
小学校で習ってきた画法を脱ぎ捨て、数時間で大人びた表現に着替えさせることができた…言い過ぎかたかな。
しかしそう感じるような、上手な水の使い方を身につけていたので、手応えはありましたね。
使える色を制限したことと、表現テーマが光と影を主にしたものであったことでうまくいったのだと思います。
写真を撮る時に感じたきれいな光をどうやったらうまく表現できるか?色には頼れない…となると、水を上手に工夫して用いるしかない。自然にそう流れたんですね。

色々な道具や材料、表現方法を用意して「好きなように選べ!」という方法もよくとります。しかしそういうのは主に上級生でいいと思う。
1年生にはこんな制限つきで工夫が必要な題材がなかなか面白い。

昨年度の同題材は、来月10日(金)~12日(日)の青森県選抜美術展にちょっとだけ出品することが今日決まりました。近くにお住まいの方はそこでご覧いただければ作品の全体像が伝わるかと思います。
今日はその美術展の地区審査会だったので、なんだかバタバタでした…。しかし本校生徒の作品も入賞!パチパチパチ!
その辺で考えたことも色々あったので、それはまた近日中に。

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