美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

日本の花

2015-10-25 22:26:52 | 日記

新しい題材に取り組み始めました。

2年彫刻の題材。『これが日本の花』。

自国日本のイメージを広げ、まとめて、それを「花」として表してもらいます。

題材の導入では、一時世間を騒がせた例の日本をイメージしたエンブレムを使用し、あのエンブレムに見える「日本」を考えることから始めました。どんな生徒でも誰もが知っているほど有名な「日本をイメージしたデザイン」ですからね。とっつきやすいと思いまして。

いろいろ問題となったエンブレムですが、その中のデザインに感じる日本らしさを知ることで、「日本のイメージ」という形のない漠然としたものを、デザインという形に表わすことを学びました。

さて、この題材。初めての取り組みなので参考作品にするものがありません…。

なので自分で作ることに。

 

初挑戦の参考となる作品がない題材に取り組ませる際は、自分でも作ってみて、材料の使用感とか注意点を先に探っておくということは大事なことだと思っています。

この題材については短時間で完成可能な作品なので、3日ほどに分けて合計3数時間程度で完成。

早めに完成像を生徒に見せて、注意点を知らせることができました。

 

さて、そんなこんなで現在制作は進行中です。

以下、作品の写真はまだ未完成であることも考慮して、あえて画像を加工してありますのであしからず。

この作品の作者は、あっという間にイメージが固まり、つくりがシンプルなこともありあっという間に完成間近となりましたが、特に凝らなくてもいい土台にも凝り始めています。これも当初の計画どおりのようですが。

茎については、竹ひごに色を塗るだけで良いことにしていたのですが、このように茎に日本らしい「竹」を表現し始める生徒も。

花びらや葉に着物の模様を参考にした緻密な模様を描く生徒も。

 

本題材は発想力重視。イメージをささっと形に表して終わりにするつもりで考え説明していました。

茎は色を塗るだけで結構!土台も全て事前に板材を同サイズに切りそろえておき、ジオラマパウダーを撒いて終わり!と準備し説明していました。が…、『授業の時間だけでは自分の表現したい作品はできない!』と、お持ち帰りで制作を進めてくる熱心な生徒が多かったです。

 

そんな熱心な生徒たちの気持ちを汲み、またなかなか捗らない生徒にも配慮して、5時間予定の題材でしたが、既に1時間延長してしまいました。それでも未完成者が多数だったので、この後は絵画の題材に移るのですが、まずはこの花を完成させてしまいましょう。それができてから絵を描き始めましょう。…とせざるを得ないかなと考えてます。

 

今度実践する際にはもう少し簡単に済ませる工夫が必要です。

事前に板材に穴をあけ、竹串を固定してしまった状態で配布しても良かったのかな。

今回は樹脂粘土を使用したので、そもそもこの粘土の扱いに慣れていないことも制作スピードを落としていたと感じました。使い慣れた軽量紙粘土にした方が早かったのかもしれないです。

 

そんなこんなですが、もう少しで完成です。

全員完成したら、並べて展示することを想定しているので、ひとクラス分全ての花が咲いた様子を近日紹介できるものと考えています。