蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

社会文化会館

2013-01-27 | ステージ
オレは社会党/社民党の支持者だったことが一度もないので、三宅坂の党本部が取り壊しになると聞いてもなんの感慨もないが、ただ一つ、この建物にまつわる想い出がある。

いま劇団☆新感線が上演している『ロッキー・ホラー・ショー』の日本初演が、ロンドンからのツアー・カンパニーによって、ここのホールで行われたのだ。たしか1975年の夏。宣伝不足がたたって初めのうち入りはガラガラだったが、口コミで次第に評判になり、翌年も再演された。

ゲイ、トランスヴェスタイト、ホラー、SF等々、70年代の記号をちりばめたこのロック・ミュージカルは、場末のうらぶれた映画館で上演されるのが慣例だった。それが、なんで労組と左翼政党の牙城で上演されることになったのか経緯は知らないが、そのミスマッチングな取り合わせも70年代的で面白かった。

当時の社会党は55年体制の一端を担う大政党だったから党本部も立派なもので、地下には小ぎれいなレストランもあった。ロッキーを演じる役者が開演前にメシを食っていて、なぜかフォークじゃなくチョップスティック(箸)をくれと要求し、蝶ネクタイを締めたウェイターが理解できなくてヘドモドしたりしていた。

ヘタウマな歌とプレイ、チープなサウンドのB級ロックンロールの楽しさに、あのときオレは開眼させられたんだよなあ。この作品は新感線のように、鍛え上げた芸と確かな存在感を持つ役者が演じると、かえって面白くない。といって、2年目の来日公演のように、まったくのシロウト芸では話にならないのだが。

ともあれ、あれから間もなく40年。未来が限りなく明るかったあのころの日本は、いまどこに。
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