おーい、土くーん

2017-08-26 11:50:20 | 童話
おーい、土くーん、あたたかい土くーん、遊ぼうよ。
あれ、返事が無いや。
おーい、土くーん、遊ぼうよ。
あっ、遠くから土君の声がする、どっしりした声だ。

こっちの土君は小さな声だね。
そうか、植木鉢の土君だ、小さな植木鉢の土君だ。

山の土君は大きな木を支えている。
強い風や大雨の時も、大きな木や小さな草を大事に支えている。

あれっ、モグラが土君の中で寝ている、暖かそうだね。
そうか、カエルも冬は土君の中で寝ているんだ。

だけど、大きな都会には土君がいないや。
全部全部アスファルトになってしまったから。
だから花も草も生えていない、大きなビルばかりだ。
有るのは、植木鉢に入った小さな土君ばかりだ。

みんなみんな、大きな土君に会うために遠くへ遠くへ、
電車や車に乗って遠くへ遠くへ、旅行や遠足で遠くへ。

おーい、土君、僕もこんど会いに行くからね。
みんなでみんなで、会いに行くからね。
その時に、いっぱいいっぱい遊ぼうね。

おーい、星くーん

2017-08-25 21:17:21 | 童話
おーい、星くーん、遠くの星くーん、遊ぼうよ。
あれ、返事が無いや。
おーい、星くーん、遊ぼうよ。
遠くの星が、キラキラキラ。
あっ、あそこの赤い星が呼んでいる。
こっちの青い星も呼んでいる。
みんなみんな遊ぼうよ。

やぁ、みんなが、かがやきだした。
きれいだなぁ。
流れ星くんがかけ足でやってきた。
速い速い。
あれっ、あっちからも、こっちからも、かけ足でやってきた。
ビューン、ビューン、ビューン。
きれいだなぁ。

おーい、そこの大きな星くーん。
こっちへおいでよ。
大きな星くんは声も大きいなぁ。
あれっ、大きな星くんだと思ったら、小さな星君がいっぱいあつまっていたんだ。
かぞえられないくらい、いっぱいの星だ。
みんななかよしなんだね。
みんなであそんでいる。
ぼくもなかまに入れてよ。
だけど、ちょっと遠くて行けないや。
ぼくがもう少し大きくなったら行くからね。
そのときにあそぼうね。

あっ、お日様が出てきた。朝なんだ。
星くんはもう寝る時間だね。
バイバイ、また明日ね。

おーい、石くーん

2017-08-24 21:44:54 | 童話
おーい、石くーん、遊ぼうよ。
あれ、返事が無いや。
 おーい、石くーん、遊ぼうよ。
遠くのほうから大きな石がやってきた。
 ドスン、ドスン、ドスン。
川から小さな石がやってきた。
 コロ、コロ、コロ。
海から小さな小さな砂がやってきた。
 サラ、サラ、サラ。

わーい、たくさんやってきた。楽しいな楽しいな。
 なにして遊ぼうか。そうだ、おしくらまんじゅうをしようよ。
わっせ、わっせ、わっせ。たのしいな、たのしいな。
わっせ、わっせ、わっせ、おもしろいなあー。

あ、もう帰らないといけない時間だ。
バイ゛バイ。
 ドスン、ドスン、ドスン。コロ、コロ、コロ。サラ、サラ、サラ。
あーあ、みんな帰ってしまった、ぼくも帰ろう。
バイバイ、また明日遊ぼうね。

カゼをひいたエンゼル(2)

2017-08-23 21:30:36 | 童話
『ただいま、天使ちゃんはカゼが治ったの?』
『それがね、お医者さんには天使ちゃんが見えないので、そのままおうちに帰ってきて寝ているのよ。』
『そうなの? 大人の人には天使ちゃんが見えないの? お母さんは天使ちゃんが見えるでしょ。』
『ええ、見えるわよ。』
『お母さんは特別なのかなぁ?』
『そうかも知れないわね。』
天使ちゃんが私のふとんで寝ているので、私はお母さんのふとんで一緒に寝ました。

朝になって私が起きると天使ちゃんが羽根を広げて飛んでいました。
『わぁ、天使ちゃん元気になったのね。』
『ええ、もう大丈夫よ。ほら、こんなに飛べるわ。』
『良かったわね。』
『ええ、ありがとう。』
『今日から、また一緒に学校へ行けるわね。』
『ええ、行けるわ。』
『そして、一緒にお外へ遊びに行けるわよね。』
『ええ、行けるわ。』

そして、私はまた天使ちゃんとずっと一緒にいます。
だけど、私が大人になっても、お母さんのように天使ちゃんが見えるのかなぁ?
それとも、お医者さんのように天使ちゃんが見えなくなってしまうのかなぁ?

おしまい

カゼをひいたエンゼル(1)

2017-08-22 21:52:15 | 童話
私の名前はヨーコ、小学1年生です。
私の友達にエンゼルがいます。
名前は天使ちゃんです。
毎朝、私は天使ちゃんと学校へ行きます。
だけれど、天使ちゃんは小学生ではないので学校には入れません。
だから、毎朝、校門の所でバイバイします。
そして、学校から帰る時には、天使ちゃんが校門の所に来ていて、一緒に帰ります。
家に帰ってから、宿題をする時も、ほかの友達と遊ぶ時も、天使ちゃんはずっと一緒です。

ある日の朝、友達の天使ちゃんがカゼを引いてしまいました。
『ゴホン、ゴホン。』
熱をはかると38度あるので、今日は私のふとんの中で寝ていることにして、私は一人で学校へ行きました。
『学校へ行ってくるわね。早く良くなってね、バイバイ。』
『ええ、気を付けて行ってね。』
『うん、わかったわ。』
そして、天使ちゃんは背中の羽根をたたんで、頭のリングを外して、私のふとんの中で寝ました。
私のお母さんが
『天使ちゃん、おかゆを作ったので食べてね。』
と言って台所からおかゆを持ってきてあげました。
『ありがとう、ゴホン、ゴホン。』
『どう、おいしい?』
『ええ、とってもおいしいわ。ごちそうさま。』
『ゆっくり寝ててね。』
『ええ、ありがとう。』

私が学校へ行くと、同級生の男の子が聞きました。
『いつも学校の門まで一緒来る友達は、今日は来ないのかい。』
『今日はカゼを引いて家で寝ているの。』
『ふぅ~ん、カゼかぁ。』
友達には天使ちゃんはエンゼルだということを話していませんでした。
天使ちゃんの熱が下がらないので、お母さんが天使ちゃんを病院へ連れて行きました。
しかし、お医者さんは
『カゼをひいた子供さんはどこにいるの?』
『ここにいますけれど。』
『ゴホン、ゴホンとセキは聞こえるけれど、どこにいるのか見えないね。』
天使ちゃんは、私のお母さん以外の大人の人には見えないのです。
仕方がないので、帰ってきて、また私のふとんの中で寝ました。