雪山を歩くには、足腰・腹筋に力が入らなければいけない。
絶景を見るためにはその行程の8割はつまらない酷い道を歩くことになる。
それでも良いのかい?
考え込んでしまってる貴方がいる。
即答できなければ、ダメじゃん。
ゼニカネ儲けと数字の世界、これだけで生きておれば幸せ・・・これが現代だが、そうやって生きた人たちの多くが、オツムのいかれた子や孫に苦しみ、悲惨な老後を迎えていることについては、黙殺・封印したまんまだ。
国家の義務教育が予定通り作り上げた国民、誕生から死ぬまで洗脳され果てて、どこに生き物としての幸せがあるのかどうか、不思議な光景だね。
単細胞化してしまってる。
新年早々に色んな70~90歳の方々が遊びに来られているけんども、出掛けて話し込んでもいるけんども、皆さん自分がどうしたら良いのか解らなくなってる。
積み重ねた苦労が水の泡、そんな心持ちになっておる老人ばかりだ。
親や教育で仕込まれた価値観が脆くも崩壊し、いま抱えている問題の解決をしようにも、壊れたソロバンぶら下げて、自分ではナニも思いつかない・・・教えられた生を、言われるがままに優等生で懸命に生き、挙句に困ったことになり果てている。
自分なりの主義主張のない国民、これぞ徴税国家の思う壺。
生涯ひとりの妻を愛す。
綺麗なフレーズだが、そんな働き蜂の旦那が死んで10年も経つと、老いた老婆はコロリと忘れている。
・・・だれ? だれの話をしてんの?
・・・あたしはそんな気持ちの悪い男とは結婚なんぞしておらんよ!
・・・あたしは若い頃から、いっぱい男の人を好きになったね~
新しい年を迎えて早々に、下町の3代目になる襖屋のオヤジが遊びにやってきてた。
一昨年の大みそかにアッと言う間に逝ってしまったうちの大工の幼馴染で、俺の居場所をあちこちで探して聞き込んで、ようやくに見つかったと嬉しそうだった。
・・・あんな男はもういね~よ
葛飾・江戸川を地盤にしておった大工で、フ~テンの寅さんそのまんま、逃げた女房や子供などおかまいなしに呑んだくれて、納得のいかない仕事はしなかった。
銀座の当社の顧客でもあるミシュランの有名店やらでも、お洒落に着飾ったミーハーに紛れて汚れた仕事着のまんま呑んだくれて豪快に笑って居ったけんども、怖いモノ無しという点では、俺とおんなじだった。
1こ上だったから還暦で死んだ。
歴史や芸術・遊郭の世界の話も出来る、オモシロイ男だった。
酒浸りだったが、良い仕事をするので当社の古い顧客にはウケが良かった。
不動産バブルの頃は俺とおなじで豪勢に遊び呆けておったから、外車やクルーザーや別荘やらに手を出しておったけんども、それ以降は、軽トラックに仕事着のまんま、いつもコツコツ器用な指先で仕事をしておった。
・・・贅沢できなくなったら文句ばかり抜かすのが女・子供の常、あんな餓鬼・畜生は金輪際ゴメンだな
・・・いろんな生き方を愉しめない野郎は、生まれてきた意味を知らんド阿呆だぜ
富岡八幡宮の豆まきを壇上からやってた大御所の爺様の自宅の改装を任せたら大喜びで・・・ひさしぶりにゼニカネ勘定抜きの仕事が出来るぜ!!・・・宮大工も顔負けの繊細な良い仕事をやっておった。
・・・愉しい男がどんどんいなくなってるよ
・・・まだ目の前にいるでしょうよ
・・・いやいやゼニカネに血眼の馬鹿造どもに もうすぐ死ぬだろう! と笑われてるのが関の山だよ
今年は一緒に仕事をやろう! と約束しといた。
俺はさ、素敵な眺めの山にさ、登りたいだけさ。