昨夜も満月がよく見えていた。
すぐ左横斜め下に土星が色目でくっついてきて、木星は愛想を尽かして右横の遠くへと離れていっておった。
・・・もう、わたしはいいわ・・・
俺の人生には、若い頃からそんなことばっかだったか・・・海の向こうでも、そんなことをやっておった。
あちこちで流れた女の涙が、そのうちに天の川になって、やがてその激流に流されてしまったような・・・今となっては、女と言う生き物をずいぶんと可憐で優しいものと考えておったわけだ・・・生きてる暗算は、女のほうが遥かに上手だ。
・・・泣かしたつもりが、泣かされて・・・ま~、愉しいこった。
ギリシャでは天体・宇宙のことを、夢と言っていた。
夢を見ながら、一晩中愛撫しあって、愛し合っていた。
それを、エロス、と言う。
なによりも健康な営みだったろう。
なんでもゼニカネ・損得で生きてる現代の人類が、忘れ果てたことだろう。
常に北の空に輝いてる北極星、こぐま座の一部だけんども、この北極星までの距離が430光年、下世話に言うと4400兆キロメートル、ということになる。
見当がつかない人が、ほとんどだろう。
トヨタの有利子負債が、せんだってメデタク20兆円を超え、追い越しそうな勢いだったソフトバンクは別会社を上場させて有利子負債を分けて減らしたように見せる筈だったが・・・またまた元気に増えて来てる。
どっちにしろ、兆円とか兆キロメートルともなると、胃腸炎に苦しむサラリーマンには、関係の無い話だろう。
地球一周が4万キロだっけか、月までの距離が38万キロ、俺がこの10年で遊び呆けて運転した車すべての総走行距離が38万キロだから、片道は行ってしまってる。
60年の人生で運転した距離を概算すると、なんと月へ2往復してまた片道が届きそうなので、俺がハンドルを離すとき、いったいどのくらいの距離を運転してんだろうか・・・でも木星は無理だ。
凄い数字が並んでくるが、1年で登った名も無い山のピークは少なく見て300、10年で3000、30年で9000、10代から遊び呆けてるから、これまた凄い数字になってきてる。
愛した女の数も、子供の数も・・・これは下世話すぎる話だから、ギリシャの神話には出ては来ない。
太平洋で泳ぐ季節になってきた。
すでに少しは浸かって泳いでるが、気温が高くとも海の水は冷たい。
毎年何十年もおなじことをやってると、その年その年で身体の浮き具合が変わって来る。
塩分濃度の問題なのか、単に体重・体調の問題なのか、潮流の問題なのか、素行の良し悪しが関係してるのか。
地球の引力が弱くなってくると、身体は浮きやすくなるか・・・。
お馴染みの外房の海と、沖縄の海では、塩分濃度が違うと聞くが、俺はどっちで泳いでもおんなじだ。
南半球のオーストラリアで泳いだ時は、沖に行くほど身体がサカサマになって行った・・・な訳もない。
1時間も海に浸かっていると、もう充分という感じになる。
しっかり休んで、またそれを繰り返してる。
還暦過ぎると、そのくらいに体力は落ちて来る。
オストメイトであるということは、あんまり関係なくなってる。
想い出すのは、4日に一度、深夜にメンドクサイがパウチの交換をするとき、腹の腹筋に穴を開けて出してる腸の先っちょを洗い、触れてやるときだけだ。
・・・こんなんで大丈夫なのか?
1カ月半の手術入院のとき思ったことだが、4年目のいまでは・・・こんなのが普通・・・になってる。
退院後に、何度も生きることを終わりにしようと思った酷い合併症と後遺症、5カ月間の、今まで経験したこともない精魂尽き果てる激痛の日々、覚悟を決めたなら薬もすべて捨て果てた、そんなことも、もうキレイさっぱり忘れてしもうたが。
人間って、けっこうなシロモノだぜ。
景気は悪いまんまだわさ。
儲けに繋がらない訳の解らない仕事ばかり、多くなってる。
いつものことか・・・
扶養家族が多いと、稼いでも稼いでも、俺にはナニも残らない。
それで良いと想ってる。
死ぬまでこうやって生きていたいとも想ってる。
ゼニカネなど、俺の愉しみにはナンの役にも立ってないから・・・。