大島てる という、不動産の事故物件検索サイトがあるが、われわれのような地元の1階で長く周旋屋をやってる者から言わしてもらえば、その情報の少なさと偏り方が変で、どうせ出すのならキチンと全部載せろよ、そういう感想しかない。
その3倍? いや5倍以上もの事件・事故は起きている。
複数回不審な死が起きて居っても、ナニも載ってないマンションやビルすら多い。
なんらしかの悪意を感じるね。
暇人の時間潰しには良いのかも知れないが、実態はもっとはるかに多い。
守秘義務という、余計なことは言わないという法律があるが、言わなければいけない重要な事項を日常的に説明してるわれわれは、もっと多くの情報を知っているが、隠すことで顧客が不利益を得る場合は、キチンと教えてあげることも多い。
人間の死や来世にありもしない意味を添える、周旋屋には笑うしかないお子ちゃまゴッコ。
死体にもいろいろあるが、俺なんざ、40年近くこの商売をやってると、第一発見者となったり、警察官や民生委員とともに鍵を開けて入ったり、いろんなことがあるから、もう別段になんの感情も湧かない。
・・・いずれ誰しも死ぬものを、もったいないことよ・・・だ。
死ぬくらいなら、無理やり身に付けさせられたその思考回路を破壊して、すべての価値観を大転換して、別人となって生きてみれば良いのに・・・。
いずれみな死ぬ、早いか遅いかだけのことで、その死に方に意味などはなく、大事なのは生きてる時にナニをやってるのか、だけだ。
大島てるには載ってないが、日本の山岳遭難で飛び抜けて死者が多いのが、谷川岳の一ノ倉沢になる。
世界でも群を抜いており、ギネスにも登録されているというが、これは首都圏や近隣からのアクセスが容易だということにも拠る。
この登山口へ向かう駅は、地中にある。
改札まで重いザックを背負って500段くらいの階段を登って外に出る。
平標の方から縦走することもあるし、馬蹄形に縦走することもある素敵な山々だ。
遭難慰霊碑に刻まれてるだけでも800人以上のクライマーが亡くなってる。
クライマーの滑落現場は、そりゃ~当然だが、凄惨そのものだ。
ギザギザの岩盤に、生身の肉体がぶち当たる。
人のいない奥山で首を吊ったあとに落下して、腐り果ててる遺体よりも生々しい。
競争心や、虚栄心だけでは語れない、麻薬にも似た陶酔がある。
俺も海や山を愛するオヤジだから解らないでもないが、
・・・死ぬかも知れない・・・が、何年も続いていると麻痺してしまい、達成したときの喜びをたくさん知ってしまうとそのこと自体を忘れてしまい・・・自分は大丈夫・・・そんな自信になるのが人間だ。
嫌なことや恐かったことは忘れてしまい、楽しいことばかり覚えている。
俺は山や海よりも、人間の社会でそれを60年続けているから、おなじような心境がある。
・・・こりゃ~ひとつ間違えたらお陀仏か? ・・・という山や海よりも、人間の社会では他人を巻き込んでの事態に発展する。
多くを巻き込んで生きて来てる。
ごめんなすって、な。
今日も野暮用が多いから・・・同世代から70歳、80歳代のお客さんがよくやってこられてる。
引退と、老後の生き方、時間の使い方、いろんな話になってるが、商売には繋がらないな~。
さ、お仕事始めるわさ。