有田芳生事務所(公式) @arita_office
5月12日(木)14時29分。ヘイトスピーチ対策法案(与党提出)が野党要求にもとづき修正の上、全会一致をもって参院法務委員会で可決されました。まずはご報告いたします。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016051202000133.html?ref=rank
ヘイト対策法成立へ 差別的言動に「著しい侮辱」も
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与野党は十一日の参院法務委員会理事懇談会で、人種や民族への憎悪をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)への対策法案について、与党案を一部修正することで大筋合意した。十二日の同委で全会一致で可決し、十三日にも参院本会議で可決した上で衆院に送付。今国会で成立する見通し。
与党案はヘイトスピーチについて、日本以外の国・地域の出身者とその子孫に対して「地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義。こうした言動は「許されない」とし、国には解消策を進める責務、地方自治体には努力義務を課す内容。憲法が保障する表現の自由を踏まえ、罰則規定は置かない。
これに対し、別の対策法案を提出していた野党は、与党案について(1)ヘイトスピーチを明確に禁じていない(2)差別的言動の定義が限定的-などと問題視。調整が続いていた。
修正は、差別的言動の定義を広げる内容。具体的には、差別的言動を例示した部分について「公然と生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加えることを告知」する行為のほかに「著しく侮辱する」を新たに追加する。ヘイトスピーチを明確に禁じる修正は見送られた。このほか、法施行後、ヘイトスピーチの解消状況を見て対策を再検討することを付則に加える。
十二日の委員会採決では、あらゆる形態の差別を許さず、インターネット上の差別的言動の解消にも取り組むとした付帯決議も採択される。 (大杉はるか)
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路上が国会に繋がった。ヘイトスピーチ対策法は、路上に立ってたみんなが作った法律だと思う。嬉しくて、涙が止まらない。
与党ヘイトスピーチ対策法案の修正内容は、第二条の定義に「著しく侮蔑」が追加されたこと。原案では、法務省のヘイト三類型のうち、排斥(朝鮮人は出て行け)と危害(死ね、殺せ)のみでしたが、これに「別称で呼ぶなどの侮蔑」、典型例でいえば「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮人」も入ることになりました。
与党ヘイトスピーチ対策法案の修正内容はもう一点、附則に「不当な差別的言動に係る取組についての検討」が加わったこと。いわゆる「検討条項」です。具体的な年限はありませんが、「法律の施行後、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする」。
付帯決議
①は、アイヌ民族や沖縄、難民申請者、非正規滞在者などに対するヘイトも許さないことを明らかにするとともに、人種差別撤廃条約に触れることでヘイトスピーチは違法と解釈
②は自治体にも施策実施を義務づける
③はネット対策
付帯決議 ②本邦外出身者に対する不当な差別的言動の内容や頻度は地域によって差があるものの、これが地域社会に深刻な亀裂を生じさせている地方公共団体においては、国と同様に、その解消に向けた取組に関する施策を着実に実施すること
付帯決議 ③インターネットを通じて行われる本邦外出身者等に対する不当な差別的言動を助長し、又は誘発する行為の解消に向けた取組に関する施策を着実に実施すること。右決議する。
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成立の見通しが立ったヘイトスピーチ対策法案は、日本初の反差別法という点では意義深い。だが、その実効性はあまりにも乏しい。付帯決議や国会答弁など条文以外の部分も含めて活用方法を考えていかなければならない。市民側が積極的に動かなければ、国や自治体は何もしないと思っておいた方がいい。
ヘイトスピーチ対策法は明日参院本会議で採決され衆議院に送られます。おそらく可決するでしょう。しかしこの法律はこのままでは使えない。これを使って、各自治体に大阪市型のヘイトスピーチ対処条例の成立を促しましょう。↓これがタイムラインだ!
020年までのビジョン:
2016 附帯決議つき自公案可決
2018 大阪市条例をモデルにした条例を各県で制定
2019 ヘイトスピーチ対策法改正
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本日(5月12日)午後、参議院法務委員会で与党提出のヘイトスピーチ対策法案(野党が要求した附帯決議と附則が入った法案)が全会一致で可決される方向です。参考人として委員会に来てくれた崔江以子さん(川崎市桜本)から届いた4月29日付けのメールを、ご本人の了解を得てここに紹介します。
有田芳生様
連日のご活躍に敬服と感謝の思いでいっぱいです。...
お疲れではないですか。あと少しですね。
どんなお気持ちで過ごされていますか。有田さんがヘイトスピーチにNOと闘ってくださったその長い時間、人種差別撤廃基本法の実現に向けて真摯に取り組んで下さった時間、そしてまさに今、与党から提出されたヘイトスピーチ解消法案に魂を入れるために取り組んで下さった時間が、今まさに実を結びますね。
この法案や付帯決議について、新聞等報じられている指摘にあるように不十分な点はありますが私は胸がいっぱいです。私たち桜本の街はあの絶望が、希望で上書きされていく明日を喜び歓迎しています。会う人、会う人が私の手を握り「言葉にならない」と涙を浮かべます。あのヘイトスピーチによって沈黙を強いられた若者は「日本を嫌いにならなくて済んだ」と安どの表情で語りました。
なによりも胸を痛ませながら法案の行方を祈るように見守り、痛い足腰で杖をついて院内集会に参加したハルモニ方が喜びます。
委員会、本会議とこの法案と付帯決議が決まるときに、ぜひ川崎からハルモニ方をお連れして共に喜び合いたいと思います。
私たち川崎桜本地域はこの法案と付帯決議をもって、胸を張って、川崎市に「国がヘイトスピーチの根絶を宣言しました」「国が地方公共団体に着実に実施するよう定めました」と具体的な実効性のある対策を求め、共に根絶する立場で汗をかくことができます。
この法案、付帯決議でもって、できることを積極的に探し実現してもらうことができます。
ヘイトスピーチに触れてしまい自身が在日コリアンだという事を絶対に打ち明けられない。墓場まで持っていくと涙を流した大学生の人生が変わります。
川崎市長さんへ「助けてください」と涙を流した寧生が「法律がないから」と救われずに傷ついた心がやっと癒されます。13歳の子どもが大人を信じたことを悔やまないで済む社会が実現します。母親が殺されるかもしれないと、不安で過ごす地獄のような生活に終止符を打つことができます。
胸がいっぱいです。涙が出ます。絶望で起き上がれずに、涙にくれた日々が終わり、希望への歩みを進める道が法案と付帯決議によって整えられました。これからこそが大切な一歩となります。ヘイトスピーチ根絶の道しるべとなる法案、付帯決議が全会一致で決まるその時を安寧に共にありたいと思います。
有田さん、ありがとうございました。ハルモニ方と喜びの再会をしましょうね。
桜本より感謝を込めて
崔江以子