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安倍政権の震災対応のヒドさに“応援団”の「週刊新潮」までが告発記事掲載!(リテラ2016.5.7)

2016-05-08 21:24:56 | 震災、津波

LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見http://lite-ra.com/2016/05/post-2223.htmlより転載

安倍政権の震災対応のヒドさに“応援団”の「週刊新潮」までが告発記事掲載! 安倍首相と閣僚の失態が次々と…

2016.05.07
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左・安倍晋三公式サイトより/右・「週刊新潮」(新潮社)5月5・12日号


 熊本大地震発生から3週間。今も震度4クラスの余震が頻発しているが、安倍首相といえばゴールデンウイークに被災者そっちのけで欧州を歴訪、相変わらず震災に対する冷淡な姿勢を見せつけている。

 本サイトでは震災発生以降、安倍政権のあまりにお粗末な対応を一貫して指摘、批判してきた。だが、安倍政権の圧力と懐柔に飼いならされた大新聞・テレビはこの事実をほとんど追及していない。

 たとえば、現地対策本部長を務めていた松本文明副大臣が自分への差し入れを要求し更迭された問題についても、新聞が報じたのは第一報だけ。更迭は松本副大臣が被災地でしでかしたさまざまな横暴が原因であったにもかかわらず、「体力的な問題による交代」という政府発表をそのまま垂れ流して、官邸と総理の任命責任を不問にしてしまった。

 救援物資輸送の遅れ、震災最中の国会TPP審議強行、安倍首相の現地視察と激甚災害指定を選挙利用のために遅らせた問題なども同様だ。マスコミはこうした政府の対応を直接的に批判することはせず、せいぜい国会での民主党の質問を取り上げる程度、テレビにいたっては、報道することさえほとんどなかった。

 そして、ネットでは政権の対応を批判する意見に対して、「災害に乗じて流言蜚語を流してる」「安倍さんのあら探しをしているだけ」「激甚災害指定の意味がわかっていない」などといった攻撃が浴びせられる状況になっている。

 ところが、そんな中、意外なメディアが安倍官邸の震災対応を告発した。それは、このゴールデンウイーク合併号(5月5・12日号)に「『安倍内閣』熊本支援の失態失策大失敗」なる記事を掲載した「週刊新潮」(新潮社)だ。

「週刊新潮」といえば、安倍政権発足以来、頻繁に官邸のリークに乗っかって、野党や政権批判の動きをけん制する報道を繰り返している典型的な“安倍応援団”メディア。ところが、この記事には、タイトル通り安倍政権の失策がこれでもかとばかりに書かれている。

 たとえば、松本文明内閣副大臣については、報じられた発言だけでなく、更迭された際のぶらさがり会見でこんな呆れた弁明をしていたことを暴露している。

「現地での食事はみなコンビニで弁当を買っているというので、自分の分を1万円渡したが、本震で1軒も開かなくなった。だからテレビ会議で大臣にコンビニを開けてくださいと頼んだ」
「私の部下がカップラーメンを持ってきたが、お湯が出ないので食べられないとも(大臣には)言った」

 また、対策本部に自衛隊が到着した際、松本副大臣が作業中の自治体職員に作業を中断させて拍手を強いたという疑惑を指摘。「現地本部長にしたのは人選ミス」「安倍総理が過大評価した面は否めません」と安倍首相の任命責任にも言及している。

 さらに、「新潮」は、支援物資がなかなか被災者に届かなかった問題についても、「政府の不作為」が原因であるとはっきり書いている。福岡、大分、宮崎、鹿児島の隣県に拠点を作り、仕分けボランティアや医療機関への被災者受け入れ態勢をつくっていれば、もっとスムーズに救援、支援ができたという分析したうえ、専門家に以下のような批判をさせるのだ。

「現状では物資が役所に届くだけで、そこから各避難所への配達態勢が整っていません。阪神淡路大震災の時、長田区にある真野地区では、(中略)適切な優先順位のもとで物資が行き渡った。そういう大切な教訓が、今回は生かされていません」(防災科学技術研究所・佐藤隆夫氏)
「政府は『プッシュ型支援』と銘打ってトップダウンで被災地に物資を届けていますが、一方的に送りつけているだけで、先立つべき仕組み作りができていません」(危機管理コンサルタント・田中辰巳氏)
「政府はこれまでその仕組み作りを怠ってきました。東日本大震災時に野党だった自民党は、民主党政権の対応を厳しく批判しましたが、それに学んで次に備えてこなかった」(同)

 しかも、「新潮」のいう「政府の不作為」は支援の遅れだけではない。50代女性がエコノミークラス症候群によって亡くなったが、これも車中泊が多いことがわかっていながら、注意呼びかけを怠り、飲み水の供給が遅れた政府の責任であると断じている。

 もちろん、震災を無視した国会TPP特別委員会の開催も厳しく批判している。

 この問題を国会で追及した民進党の緒方林太郎議員を登場させ、震災発生から4日後のTPP特別委員会の開催強行について、与党側が「総理の強い意向」と説明したことを暴露。その結果、震災対応の責任者が7時間も審議で拘束され、震災対応の遅れを生んだことを指摘した

 また、安倍首相やその応援団が「予算措置なんだから急ぐ必要はない」と弁明していた「激甚災害指定」についても、阪神淡路大震災では7日後、東日本大震災では翌日に、時の政府が指摘を決めていたことを紹介し、「遅い」とばっさり。専門家のこんなコメントを掲載している。

「河野(防災担当)大臣が地方税収入との関係を説明していましたが、映像ニュースなどで被害状況はつぶさにわかっているわけで、そんなものは後講釈です。指定を早く行えば、(略)方向性を打ち出すことができ、被災者に希望を与えられる。それが安倍さんは全く出せていません。一連の震災対応からは、やはり政権の緩み、弛みがちらつくのです」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)
「災害時の対応はます『総論』から始めるべきです。激甚災害指定として扱うか否か、(中略)食料は何食分を何日間で配布するのか、といったことです。これがないまま、各大臣や担当者がそれぞれ『各論』を喋ってしまっているので、行き違いや国と被災者の要望にミスマッチが生じてしまうのです」(危機管理コンサルタント・田中辰巳氏)

 さらに、「新潮」が問題にしたのは、閣僚たちのいい加減な情報の扱い方だ。たとえば、森山裕農水相は18日、90万食を確保できるとした上で、その後の3日間で180万食を追加すると言ったにも関わらず、これが伝達ミスであることが発覚。90万食に訂正した。また、中谷元防衛相は菅官房長官が発表すべき死亡者数を勝手に口にし、それがでたらめな数字だったため、マスコミが統合幕僚監部に確認に走り、防衛省が大混乱に陥ったという。

 そして、「新潮」はこうした混乱、失態の原因は、安倍首相が震災対応よりも北海道補選を優先しようとしたことにあると断じ、こんな官邸担当記者のコメントを掲載している。

「そもそも安倍総理はこの間、ずっと補選に心を砕いており、前震が襲ってもなお、応援で北海道入りしようとしていたほど。そんな浮き足立ったムードが伝播した」

 まさに本質をつく批判だが、それにしても、安倍応援団の「週刊新潮」がなぜ、ここまで厳しく安倍政権の責任を追及したのか。

「今回の地震の特集記事は政界ものをやる班とは別の、事件もの中心の班が取材に動いたようなんです。当初は、普通に、地震時の混乱ぶりを紹介しようと取材していた。そうしたら、安倍政権の失態、お粗末な対応の事実が次から次に出てきた。『新潮』は今、部数も話題性も『(週刊)文春』に大きく水をあけられ、赤字転落ぎりぎりのところにきていますから、政治的イデオロギーばかりで記事をやるわけにはいかない、という空気が強くなっている。今回も、新事実が幾つも出てきて、書くしかない、という判断になったんでしょう」(週刊誌関係者)

 ようするに、応援団さえも批判せざるをえないほど、安倍政権の今回の震災対応はひどかったということだろう。

 多くの被災者が今なお困難な状況にいるにもかかわらず、そのことに何の配慮もせず、自らの政治的野望のために、震災を政治利用する。この国民不在の自己中心的姿勢こそが安倍首相と今の政権の本質だということは、もはや疑いようがない。
伊勢崎馨

 

 

 

 


◎ アベノミクスで“景気が浮揚しない”本当の理由 (大前研一の日本のカラクリ)

2016-05-08 19:16:18 | 経済 金融

President ONLINEhttp://president.jp/articles/-/17886より転載

大前研一の日本のカラクリ

2016年5月2日(月)

アベノミクスで“景気が浮揚しない”本当の理由

PRESIDENT 2016年5月16日号

小川 剛=構成 AFLO=写真
 

史上最大の予算を組み続ける政府の愚行

2016年度予算が成立した。一般会計の歳出総額は4年連続で過去最大を更新する96兆7218億円。年金・医療などの社会保障費が過去最大を更新して31.9兆円に膨らんだほか、「1億総活躍社会」や「地方創生」の実現に向けて、子育て世代や高齢者、地方に配慮した歳出項目が並ぶ。中国の海洋進出に対抗するために防衛費が初めて5兆円を突破した。

「16年度予算の成立が最大の景気対策」という安倍政権は公共投資を中心に予算を早期執行していく構えで、すでに5兆円規模の補正予算の編成まで視野に入れている。今夏の参院選を控えて切れ目のない景気対策をアピールしていこうというわけで、財政健全化という課題はまったく置き去りにされている。

歳入を見れば16年度の税収は57.6兆円と見込まれている。1991年以来、25年ぶりの高水準だそうだが、97兆円の予算を組むにはとても足りない。これを埋め合わせるために発行する16年度の新規国債は34.4兆円。

毎年のように30兆~40兆円の赤字国債を垂れ流して、日本の公的債務は1300兆円に膨れ上がっている。それでもなお政府は史上最大の予算を組み続けているのだ。

1300兆円の国家債務というのは、生まれたばかりの赤ん坊を含めて国民1人あたり1300万円の借金があるということ。戦争でも起こして他所の国に借金を押し付けでもしない限り、まともには返せる額ではない。赤ん坊やリタイアした老人に借金を返す力はない。借金を返せるのは民間の勤労者だけである。しかし少子高齢化で日本の勤労者は毎年30万~50万人ずつ減っている。負債は増え続ける一方で、返済できる人はどんどん減っているのだから、計算式は至ってシンプル。返せるわけがないのだ。

世界最大の日本の国家債務を担保しているのが、日本国民が保有している1700兆円の個人金融資産である。いざとなれば、政府はこれに着目してパクろうとするだろう。戦時中に大量発行した国債の借金をチャラにするために、政府は1946年に預金封鎖して財産税を課し、国民の財産を取り上げた“前科”がある。現状、1700兆円の個人金融資産は国が無駄遣いをするための原資になっている。1700兆円の約半分は現金預金で、銀行や郵貯などの金融機関に預けられている。銀行や郵貯はそれを元手に国債を買っているのだ。

個人向け国債などは20兆円にも満たないから、国民は自分で国債を買っているという認識はない。しかし銀行も郵貯も生保も損保も年金機構も、すべて国債の買い取り機関であり、国民が預けた個人金融資産は裏で国債のファイナンス、つまり国の無駄遣いに使われているのだ。

近年、そうした金融機関から国債を買い取って市場に資金供給してきたのが、「黒田バズーカ」と称される日銀の金融緩和策(量的緩和)だ。これまでに日銀が買い取った国債の総額は400兆円で、日本のGDPの80%に近づいている。万が一日本国債が暴落したときには、国債を大量に抱え込んだ日銀そのものが爆死して、中央銀行としての機能が果たせなくなる。危険な水域に入っているのだ。

金融政策の力では、日本の景気は良くならない(黒田東彦日銀総裁)。(写真=AFLO)

それだけのリスクを冒してわかったことは、市場のマネタリーベースを潤沢にしても資金の借り手はなく、景気は刺激されないということだ。繰り返し説明しているように、カネをバラ撒けば市場流動性が高まって消費や設備投資に回されて景気がどんどん良くなるというのは100年前のケインズ経済学の話で“低欲望社会”の日本ではそうはならない。安倍首相の周辺の政策アドバイザーはそれ(高齢化社会の現実)が理解できていない。だから低金利やマネタリーベースを潤沢にするというアベノミクスは景気浮揚効果を発揮しないのである。

国民の将来不安がなくなれば、消費が増える

バブルが弾ける直前の89年段階で日本の個人金融資産は700兆円。それが低成長だ、不景気だといわれてきたこの25年で1000兆円も増えたのだから不思議な話だ。

戦後の貯蓄奨励の残滓もあるのだろうが、基本的な理由は国が信用されていないからだと思う。個人で将来に備えなければいけないと国民の多くが思っているのだ。

日本人は老後に備えるために、年金、貯金、保険という3重の投資をしている。年金がもらえるようになっても年金の3割は貯蓄に回して死ぬまでお金を貯め続ける。しかも保険にも入る。家族の大黒柱である勤労世代が数千万円の生命保険に入るのはわかるが、年金世代が加入するのは理解不能だ。「葬式代ぐらいは自分で用意したい」という人もいるが、今どきの葬式代は350万円程度が上限だし、生前に見積もりを取れば3分の1になる。

人生のファイナンシャルプランから見れば無駄に重複しているのに、日本人は年金と貯金と保険をそれぞれ別物だと思っている。結果、貧しいライフプランのまま朽ち果てて、死に際が一番金持ちというケースが少なくない。ここに日本の低欲望社会の最大の問題点がある

 「老後の備え」の重複分だけでも人生を楽しむために使えば、人生も変わるし、世の中も変わる。たとえば個人金融資産1700兆円の1%が市場に出てくるとすれば17兆円。消費税に直せば6%アップぐらいのインパクトがあるのだ。
つまり安倍首相は個人金融資産の1%が市場に出てくる政策をひたすらやったほうがいい。「元気なうちにお金を使って人生を楽しみましょう。いざというときの心配は国が取り除きます」というメッセージを発信して、たとえば65歳以上で重い病気になった場合には国がすべて面倒を見るなどの政策を取り入れる。

スウェーデンでは老後の面倒は国が徹底して見ると保障しているから、ほとんど貯金しないし、保険にも入らない。将来不安がなくなれば、貯金や保険料に使われていたお金が消費に回るのだ。

資産課税導入で富裕層にお金を使わせる

人生最期の瞬間に「自分の人生は幸せだった」と思えるかどうかに、学歴や勤め先はあまり関係ない。本当に大事なのは人生最後の15年をどう過ごしたか、だ。私は自分の学校でそう指導をしているが、国もそこをもっと強調すべきだと思う。充実した老後の素晴らしさを提案し国のサポートを国民に約束して、それでもなお、1700兆円の個人金融資産がマーケットに出てこないようなら、強制的に資産課税を導入すべきだろう。資産税では資産を持っているほど課税されるから、要らないお金は使おうというインセンティブが働く。

税制に関する私の考え方は昔から変わっていない。道州制のような新しい統治機構ができたタイミングで税制改革を行って、資産税と付加価値税の2本立てにするのだ。

資産税についていえば、国民の固定資産と金融資産を足し合わせて3500兆円ある。法人部門の固定資産や内部留保などを全部足すと1500兆円。合わせて5000兆円。これに1%課税すれば税収は50兆円。一方の付加価値税は軽減税率のような面倒なことはやめて一律10%とすると、GDPの10%で50兆円。資産税の50兆円と付加価値税の50兆円を合わせれば100兆円。政策に必要な経費(予算)を70兆円前後確保したうえで、毎年20兆~30兆円ぐらいの借金を返していける。そうやって返済の意思を明確に示せば、市場も安心し国債の暴落は起きない。

資産税のメリットの一つは相続に対する中立性だ。資産を相続した人が毎年1%ずつ払っていけばいいのだから、相続税を払う必要はない。今の日本社会で家族関係を歪ませている最大の原因は相続だが、資産税にすることで相当に解消できるのではないかと思う。

また資産税と付加価値税を導入すれば、所得税も法人税も必要なくなる。所得が増えた人は大いに消費してもらうのが一番だが、そうしなければ資産が増えるわけだから、資産税で十分に捕捉できる。法人が生み出した付加価値は、売価から仕入れコストを引いた数字できっちり出るから、それに一律10%を課税すれば終わり。

前述のように資産税と付加価値税で必要な税収は確保できるから、複雑で不平等な税体系は一切不要。不動産取得税、自動車重量税、ガソリン税、タバコ税、入湯税、ゴルフ場利用税その他、意味不明な税金はすべて廃止できるのだ。成長期には給与も法人所得も伸びるが日本は20年以上にわたって伸びていない。しかし、個人資産は伸び続けている。だから成熟期には資産課税が有効で、課税されるのがいやなら資産を消費にまわす。政策担当者はアベノミクスの機能しない原因をここに求め、税制の抜本改革に一刻も早く取りかかるべきだ。

 

 

 

 


「日本は本当に恐ろしい国に入ってきている」~孫崎享さん講演会(2016.5.3 レイバーネット)

2016-05-08 19:14:13 | 案内 情報 デモ 集会 逮捕

LNJ Logohttp://www.labornetjp.org/news/2016/0509hayasidaより転載

「日本は本当に恐ろしい国に入ってきている」~孫崎享さん講演会

    林田英明

 「陰謀論の孫崎と言われます」。そう笑いを取って聴衆に語りかける。演壇を離れ、立ってマイクを握る姿は精力に満ち、古希を過ぎているようには見えない。駐イラン大使などを務めた評論家の孫崎享(うける)さん(72)が5月3日、「安保法の正体」と題し北九州市で講演。日米防衛とは無関係な集団的自衛権の行使が日本を危機に陥れるとの話に400人が聴き入った。北九州憲法集会実行委員会主催。

 孫崎さんは外務省入省後、米英ソ、イラク、カナダ、ウズベキスタンに駐在。国際情報局長や防衛大学教授の経験を生かして『戦後史の正体』(2012年)を著し、戦後日本の政治が対米追随派と自主独立派のせめぎ合いの中で進められてきたとの主張が大きな波紋を呼んだ。首相では岸信介、佐藤栄作、田中角栄、竹下登らを自主独立派に分類し、これまでの常識を覆して賛否が入り乱れる。米国の意向に背く政治家は葬られるという「陰謀論者」のレッテルを貼られていく。しかし孫崎さんは意に介さない。自信があるのか、非難に構っている時間がないのか、立憲主義を脅かす安倍晋三首相の政治姿勢を、この日も俎上に載せていった。

 「集団的自衛権を漢字3文字、4文字で本質を突いてみてください」と会場に答えを促す。すると「侵略戦争!」「対米追従!」「憲法違反!」「軍事同盟!」「戦争法!」と次々に声が上がる。そして「他国防衛!」のところで発言者のほうへ向きを変えた。「元内閣法制局長官並みの答えです」と笑顔を見せて、集団的自衛権の本質を「他国防衛」と断じた宮崎礼壹氏の論評を紹介した。自衛権と名がついていても自己防衛権とはかけ離れ、憲法9条とは相いれない。「他国のために自衛隊を出す、それが本質なんです」と語気を強めた。

●テロつくり出す「テロ戦争」

 80歳を迎えた天皇が宮内記者会の代表質問に答えたのは2013年12月。戦争で若い命が多く失われたことを悼み、次の通りに述べた。「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、さまざまな改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています」。ところがNHKでは「平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り」の部分を省いて報道したと孫崎さんは憤る。「重要でないから省いたのか、重要だと気づいたから省いたのか」と問いかけ、「重要だと気づいたから省いたんです」と自答した。第2次安倍政権発足1年後、籾井勝人氏がNHK会長に選出された直後であり、政権への忖度がうかがわれる。

 そして「いま日本は、本当に恐ろしい国に入ってきていると思う」と孫崎さんは危機感を隠さなかった。国際NGO「国境なき記者団」による世界報道自由度ランキングで、日本は2010年の11位から年々下降し、2016年は72位にまで落ちた。2013年に制定された特定秘密保護法で一気に下がったが、下げ止まりは見えない。5月下旬に伊勢志摩サミットが開かれる、G7と呼ばれる日米欧主要7カ国中の最下位である。

 そのような評価の下、2014年に安倍政権は解釈改憲で集団的自衛権による武力行使を限定的ながら可能とした。日本がどこへ向かおうとしているのか孫崎さんならずとも不安にかられる。2001年の「3・11」以降、世界は国家間ではなく「テロとの戦い」が主になっている。2000年までは500人程度だったテロによる犠牲者が2014年には3万人を超えている数字を孫崎さんは挙げて「テロ戦争は、逆にテロをつくり出している」と警告した。では、最大の当事国である米国は中東とどう対峙したのか。大使館や米軍官舎が何度爆破されても簡単には撤収しない。「政治的解決の道があるのに軍事的行動に走った」と、その後のテロを呼び起こした米国の在り方を問題にした。

●ウソを信じるふりする国民

 中東諸国から恨まれる国に日本は不必要に付き従っている。集団的自衛権の行使は、だから日本をより一層、危険にすると孫崎さんは訴え、危機に向かう手順を示した。
①指導者がウソをつく
②マスコミがそれを拡散する
③多くの国民がだまされたいと思う
④反対者は排除されていく

――と説明して、戦前と同じ状況が生まれていると危惧した。ウソや詭弁で本来は国民が望まない方向に政策を誘導し、マスコミが検証をおろそかにすれば、国民はこのウソや詭弁を信じる、あるいは職や生活を案じて信じるふりをするという構図が繰り返されていく。だが、安倍首相が昨年発言したように「今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1800万人の日本人が海外に出かけていく時代」である。自衛隊と米軍で、どう守るというのだろうか。

 対米追従の官僚や政治家に異論を唱えて何度も「国賊」「反日」と呼ばれてきた孫崎さんだ。圧力の有無や、高級官僚なのになぜ米国志向ではないのか質問が出された。「圧力は、いろんな所からありますよ」とサラリと述べる。旧満州(現中国東北部)生まれのため「中国へ帰れ」との悪罵は数知れない。しかし世界を俯瞰すれば、日本の生きる道が対米隷従とは思えないようだ。日本の貿易相手国は米中が2割弱で拮抗するが、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールなどを含めたアジアを総計すると5割を超す現実がある。

 一方、所属した外務省内の派閥は、アメリカン・スクールが主流だ。スクールは、語学研修部門で分かれ、チャイナ・スクールやロシア・スクールなどが存在する。孫崎さんは、ソ連軍主導による1968年のワルシャワ条約機構軍のチェコ侵攻後、モスクワ大学に進み、ソ連という大国の変容を間近に見た経験がその後の人生に影響を与えたと自認している。ロシア人も薄々おかしいと感じつつ、声に出したらシベリア送りとなってしまう。そこで、不合理を代弁する物理学者のサハロフや作家のソルジェニーツィンを支持した。どこまで自分の意思を表出するのか、できるのか、自分に置き換えても非常に悩むところである。自室を中世キリスト教絵画で飾り立てる孫崎さんは、その点、一歩抜き出ている。「だってキリストはハリツケに遭い、弟子にも裏切られているでしょ」と語り、結果を気にすることのない行動こそ評価した。

●領土問題は棚上げこそ利益

 対米追従を否定した著書『日本外交 現場からの証言―握手と微笑とイエスでいいか』で山本七平賞を受賞した1993年時点では外務省高官から「君の賞はわが省の誇りである」と電報が届いた。当時は「何が国益か」を追求する自由な雰囲気があったという。しかし、2003年のイラク戦争時、駐レバノン大使だった天木直人氏が具申した意見書が退けられた頃には空気が一変していたのかもしれない。『日米同盟の正体~迷走する安全保障』を上梓した2009年、対米追従を強く批判した孫崎さんの講演で、外務省の主流を歩む年長の官僚が財界人から感想を求められた。外務省としての立場を問われたようだ。孫崎さんは皮肉交じりに「この答えが素晴らしい」と前置きする。

 「それは考えないことにしています」

 場内爆笑。「それで外務省のトップになるんですから」と、あきれてみせた。だが、すぐ真顔に戻る。「このままでは、この国はつぶれてしまう。今のマスメディアは、あるべき事実を伝えていない」と力を込めた。

 尖閣諸島や竹島に関する領土問題は中韓と係争中であり、棚上げすべきだとする孫崎さんの意見を受け入れがたいと感じる国民のほうが多数派だろう。産経新聞の読者でなくても、中国の膨張に脅威を抱く層がそこに重なる。「日本固有の領土として断固、領有権を維持せよ」と、断交も戦争も辞さない勢いの勇ましい声すら聞こえてくる。だが、史実やカイロ宣言などの国際条約を検証して孫崎さんは棚上げのほうが国益になると考える。フランス北東部のストラスブールはドイツとの領有権をめぐって何百年も争ってきたが、第二次大戦後は棚上げすることで両国の利益となった例を挙げた。さらに言えば、北方領土も含めて、紛争の火種を作ったり放置したりしてきたのが米国ではなかったかと一部推察も交えて振り返っている。イギリスにしても、植民地から撤退する時、元植民地国同士が反英で団結しないよう領土問題の火種を残す細工をしたという。そのような論旨の孫崎さんの著書群を読み、この日の講演を聞くと、それが正しいかどうかを自分でも調べてみたくなる。ロシア・スクールの出自だから反米で中国には大甘だと即断していいようには思えなかった。

 いざとなったら米国が守ってくれるという根拠は日米安保条約に書かれているように見えるが、5条にある通り「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」議会の承認がなければ米軍は出動しない。日本人の希望的楽観を孫崎さんは戒める。米国は常に自国の利益の下、行動してきた。尖閣諸島で米兵が日本のために血を流す可能性は限りなくゼロである。領土問題で日本が近隣国と反目して得をするのはどこか。テロ戦争にしても、それが続くことによって存在感が維持されるのは世界一の帝国ではないのか。ネット上にあふれる同工異曲の孫崎バッシングはもういい。自分の目で事実に近づいていきたい。

 

 

 


安倍首相:外交ヘタのうえ、礼儀知らず!エリザベス女王より、自分が真ん中で写真撮り

2016-05-08 18:55:37 | 外交、国際

安倍首相:外交ヘタのうえ、礼儀知らず!
       エリザベス女王より、自分が真ん中で写真撮り

 

Nishi Tatsuya さんFBより )

・女王陛下に最大の敬意を表す。
・女性に配慮する。
・年長な方を自然と敬う。

日本人だからこそ、相手を敬い、細かい心配りができる筈なんですがね⁉️
...

真ん中で偉そうに突っ立てる東洋人の男性は、お偉い方なんですか?

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Nishi  Tatsuyaさんの写真
 
 
 
 
 
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「辺野古」への誤解に反論 沖縄の学者ら小冊子公開/特設のサイト「それってどうなの? 沖縄の基地の話」

2016-05-08 18:37:13 | 沖縄

東京新聞 TOKYO Webhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050802000107.html

「辺野古」への誤解に反論します 沖縄の学者ら小冊子公開

小冊子を手にする沖縄国際大の佐藤学教授

写真

 「辺野古(へのこ)に基地を造らないと中国が攻めてくる」「沖縄の経済は基地に依存している」-。沖縄県の米軍基地問題に関する誤解がインターネット上にまん延しているとして、沖縄国際大の佐藤学教授ら有志9人が反論のための小冊子を作り、ネットでの公開も始めた。

 「基地」や「海兵隊」「中国」「沖縄経済・財政」など8テーマ、計56の設問に答える形。米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設で沖縄の基地負担は軽減されるとの見方には「沖縄の中で基地を動かしても、日本全国に占める米軍集中の割合は変わらない」と指摘した。

 辺野古に米海兵隊の代替施設を造らないと沖縄が中国の軍事力の脅威にさらされるとの説に対しては「海兵隊が沖縄にいるかどうかは中国の軍事戦略にほとんど影響ない」と否定した。

 沖縄経済の基地依存への反証として、県民総所得に占める基地関連収入の割合は沖縄本土復帰時の1972年の15.5%から最近は約5%に減少しているデータを紹介している。

 内容は特設のサイトhttp://okidemaproject.blogspot.jp)で公開。小冊子の申し込みもできる。

                 ↓

それってどうなの? 沖縄の基地の話。

「沖縄米軍基地問題検証プロジェクト」のブログです。 小冊子『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』のもくじから、 個々の検証にリンクが張ってあります。・・・