★14日、憲法学者で慶大名誉教授・小林節が立ち上げた政治団体「国民怒りの声」が設立報告会を開いた。ところが小林は先約の講演会で欠席。ビデオメッセージでお茶を濁した。なにしろ代表自身が欠席なのだから、確かに事務方の仕切りの悪さは批判に値するだろう。しかし小林のここ数年の活動が今日の大きなうねりを作り市民を動かし、政界を動かしたことは間違いない。

 ★14年に首相・安倍晋三が憲法改正の近道として言い出したのが96条先行改憲論だった。憲法改正発議要件を「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」から「両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成」に緩和することで、憲法改正自体をたやすくするという正面突破を嫌い脇から攻めようという作戦だった。しかし参院の憲法審査会などで96条改憲論は立憲主義の否定という論調を広く展開し崩していったのが小林だった。

 ★翌年15年6月4日には衆議院憲法審査会で自民、公明、次世代が推薦した、改憲派の早大法学学術院教授・長谷部恭男が「集団的自衛権の行使が許されることは、従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがすもので憲法違反だ。

 自衛隊の海外での活動は、外国軍隊の武力行使と一体化するおそれも極めて強い」と発言し、衝撃を与党に与えたが、民主が推薦したのは小林で「仲間の国を助けるため海外に戦争に行くことは憲法9条に明確に違反している。また外国軍隊への後方支援というのは日本の特殊概念であり、戦場に前から参戦せずに後ろから参戦するだけの話」と一蹴した。その後、安保法案は成立したもののSEALDsの活動、国民の関心、野党統一へと政界は動きだした。道はまだ続いている。(K)※敬称略

 
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