http://mainichi.jp/articles/20160530/k00/00e/030/137000c
「3月より厳しい表情」新画像に知人ら焦り
毎日新聞2016年5月30日 11時16分(最終更新 5月30日 13時49分)
毎日新聞が入手した安田純平さんとされる男性の画像。インターネット上にも公開された=撮影日時・場所不明
フリージャーナリストの安田純平さん(42)とみられる男性の新たな画像が、インターネット上で公開された。内戦下のシリアに入国後に消息不明になってから11カ月余り。「早く無事に帰国してほしい」。安田さんの知人らは焦りを募らせている。
フォトジャーナリストの豊田直巳さん(60)は「今回の安田さんとみられる画像は、3月に公開された動画より、厳しい表情に見える。画像だけでは判断できない部分もあるが、拘束が長引き、精神的にも疲弊しきっているのではないか」と気遣った。
今月上旬、スペインの通信社が、シリアで武装組織に拉致され、10カ月ぶりに解放されたスペイン人記者が一時期、安田さんと同じ場所で拘束されていたと報じた。豊田さんは「交渉のチャンネルはどこかにあるということだ。政府は安田さんの命が無事で帰ってくることを最優先し、暴力を使わないあらゆる手段で動いてもらいたい」と願った。
公開された画像で安田さんとみられる男性は髪やひげが伸び、オレンジ色に見える上着を着て、「これが最後のチャンス」などと日本語で書いた紙を手にしていた。昨年6月に安田さんがシリアに入国するまで連絡を取り合っていたジャーナリストの常岡浩介さん(46)は「オレンジ色の上着は過激派組織『イスラム国』(IS)のまねをしているようにも見える」と印象を語った。その上で「3月に公開された動画も今回の画像も、いつ撮影されたかさえ分からず、具体的な要求もない意味不明な内容。脅しだけが目的だと感じた」と話した。【福島梓】