鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

124 早過ぎる初花

2020-01-16 13:52:00 | 日記

---寒庵に遠山越しの陽が届く---
例年より十日以上早く、もう鎌倉宮の緋寒桜(河津桜)が咲いている。
いつも鎌倉で一番早い荏柄天神社の寒紅梅より桜が先なのは始めてだ。
この初花に目白や鶯が来るのを待つのが、今週の散歩の楽しみとなった。

残念ながらこの写真はシャッタースピードを上げるのを忘れて被写体ブレだ。
せっかく番いの目白が揃ってフレームインしたチャンスがこのザマだ。
さらにAFもどこに合わせたのか怪しい。
もっと腕を磨けば良いだけだが年齢を考えると暗澹たるものがあり、最新機種に搭載された動物の瞳を自動認識してくれるAFが欲しくなる。
2月末に横浜であるCP +(カメラショウ)に行ってみたいが、また物欲を制御出来ずに手痛い出費となるのだろうか。

辛夷の花芽もこんなに膨らんで、春色の兆す天光に輝いている。
この分では今月中にも咲きそうな気配だ。

四季節季は順調に巡ってこそ喜べるが、早過ぎる春は不吉なもので御祓が必要かも知れない。
木花咲耶姫もフローラも決して喜んではいない筈だ。
桃山時代の四時花鳥図は四季の花が同時に咲いて絶えない浄土の景と言うが、現世(うつしよ)が実際にそうなると時間の静止したような世界で嫌気がさす。

まだ晩秋の黄葉の残る我が荒庭でも、本来4月に咲く椿がぽつぽつ咲いてしまって驚いた。
こうなると迎春を寿ぐ(ことほぐ)より、地球温暖化を憂うべきだろう。
よって反自然の物質主義への戒めとして、こんな祭壇を組んでみた。

秋の紅葉の小枝と春の椿が同時にある異常さだ。
これ以上の気候変動は隠者の怒りに触れて、いつか逆さ十字架の刑が炸裂するだろう。
---楽園の時は狂ひて花鳥らの 春と秋とが分かてぬ時代---

©️甲士三郎