ーーー紫陽花の咲けば泥濘む路地に住み 世人を拒む朽ちかけの木戸ーーー
梅雨に入って隠者は相変わらず引籠り気味だが、コンビニまでの道でも至る所に咲く紫陽花が鎌倉らしい彩りとなっている。
私の好みでは観光寺社の紫陽花より路地のあちこちに咲く花の風情の方が、品種も多彩で路地毎の生活感が伺えて飽きない。
雨の散歩道はあちこちの水溜りに紫陽花が映り、彩りが倍に増えて見える。
この手の水溜り写真はSNSに名手が大勢いるので、拙作をお見せするには気が引けるのだが………。
ーーー梅雨寒の古都の無数の水鏡ーーー
我が荒庭の紫陽花を摘んで机に活ければ、暗い世相の中でも筆が捗る。
ーーー仮の世の色に移ろふ紫陽花の 四片の芯の色留めの玉(ぎょく)ーーー
鎌倉には濃い色の紫陽花が多いが、隠者の好みは淡いながら彩りの変化が豊富な花だ。
土壌のpH濃度で色が変わるらしい。
花びらの微細な色のグラデーションを眺めているといつしか夢幻界へ誘い込まれて、古人が仮の世と言った心情の透明感がしみじみと実感できる。
先日の夏至の日には部分日食が重なり、何か重要な変時の兆しを思わせる。
国中の夏祭が次々と中止になる中では、個人や家々で司る祭事を大事にしたい。
我家の夏至祭りは昨年ヘリオスを主神に洋風にやったので、今年は大日如来を主に和風にしてみた。
室町時代の大日如来図に供物は庭で採れた実梅と、去年との繋がりでヘリオスの薔薇を供えた。
仏教(密教)における太陽神は大日如来で、曼陀羅宇宙の中心の仏となっている。
こうなったらいっそ世界中の太陽神を次々に祀って、全地球の気象変動を食い止めたいものだ。
©️甲士三郎