これまで幾度も愚考を重ねた隠者の理想のライフスタイルは、結局大正時代頃の和洋折衷様式に行き着く。
地元の鎌倉文士達の伝統でもあり、横浜辺りではハイカラとも言った生活様式だ。
今も日々廃れ行く大正の遺風を、出来るだけ子孫達に伝えてやりたい。
我家の古びた和室には当然傷んだ和箪笥や水屋箪笥が多いので、洋風家具も古びて傷んでいないと家の統一感が損なわれる。
その点は西洋アンティーク家具でも傷のある物は安価なので隠者には好都合だ。
イギリス独特の折畳み式ダイニングテーブルは置き場所に応じて大きさを変えられるので、日本家屋の寸法にも合わせ易い。
古備前の花入に冬枯の実物を投入れて障子明りのティータイムは、100年前のハイカラ趣味の暮しだ。
家人も古き良き和洋折衷様式を理解したようで、最近大振りのライティングデスクを入れた。
イギリスアンティークのサイドバイサイドのデスクを障子を背に置いて、燭明とレトロレンズで調和を図った写真だ。
本棚にはまだ何も入れていないが、取り敢えずあり合わせの物を飾って撮影した。
この本棚には余程の書物でないと似合わないだろう。
低俗な本では、まさに主人の知性が問われる。
こちらは元からある開閉金具の壊れた我がライティングビューローで、抹茶に病母が好きな洋菓子の取合わせ。
江戸時代の萩茶碗と、古木の小箱は地元鎌倉の木工細工師の物。
和洋折衷の暮しは色々自由な取合わせが楽しいので、伝統の様式に縛られない発想が大事だ。
平安鎌倉時代に和漢の文化を統合して高度な生活文化を築いたように、現代日本人ももう少し深みのある生活様式を模索すべきだろう。
©️甲士三郎