11年ぶりの観音様
近くに龍王山という標高200メートルほどの山があります。この山の中腹から山頂にかかる周回路に西国三十三所の写し霊場があります。写し霊場といいますのは四国八十八ヶ所や西国三十三所の巡拝路を身近な場所に模して造られた巡拝路です。小豆島八十八ヶ所など全国各地に見られますが、ここ龍王山の西国三十三所はそのミニ版で一周一時間半ほどで巡拝することができます。
今週の日曜日8日のことです。中腹にある観音堂の横で高齢の男性から「この山にはよく登られるのですか」と聞かれました。「はい」と答えたところ「三十三の8番の場所はどこだろうか、一周してきたのだが、8番だけが分からなかった」と問われました。三十三所は周回コースになっているのですが、6番から9番までは枝道になっており、山頂へのコースからは外れています。実は私はその枝道には以前に一度しか行ったことがありません。しかし三十三所は全部確認した覚えがありますので「枝道にあると思います」と答えました。その男性は枝道の突き当りまで行って、見当たらなかったのでさらにその先の杣道まで分け入って探したが見つからなかったそうです。そして「また今度来てみます」といって山を下りて行かれました。
その日山頂からの帰り、枝道に入ってみました。するとなぜか8番だけは見当たりません。その場所は見覚えがあるのですが、観音様を見つけられませんでした。家に帰ってから確認すると2009年の写真がありました。場所は間違いないようです。
2009/06/25
翌日、観音堂のお守をされているおじいさんに聞いてみると、足がご不自由で最近は行かれたことはないそうですが「そんなはずはない、絶対にあるはずだ、この前も登って来た人がそんな話をしていたがなくなっていれば大騒ぎになっている」と申されます。
その次の日、また山頂からの帰りに寄ってみました。
ありました。 木の枝に囲まれて分からなかったのです。
一見樹の繁みかと思われるその中に観音様はおられました。周りの木が伸びていたのです。
新しい台座が作られ、その上に11年ぶりの観音様は鎮座されていました。
元からあった観音様を見つけたというだけの話ですが、なにかパズルが解けたような気になりました。
先日の高齢の男性はかなり使い古された頭侘袋をかけておられました。以前に行かれた西国三十三所を思い出しながら回られていたのかもしれません。