くまきち日記

名古屋に住んでいる、くまきちのたわごと。

『ヘドウィグ』 扮装デザイナーが語る5人5色

2016-03-19 01:44:43 | YB&ユン・ドヒョン

















“私が作ったヘドウィグだけで20名・・・チョドウィグがもっとも果敢で”

チェ・ソンファ クレアメイクアップスタジオ代表

鋭敏なトランスジェンダーのロック歌手ヘドウィグ

女優より扮装に20分長くかかって

チョドウィグ チョ・スンウ、ポドウィグ チョ・ジョンソク、ユン・ドヒョン

ピョン・ヨハン、チョン・ムンソン 初合流

“演技に役立ったという言葉がもっとも満足”



「コールタイム(公演前 俳優が会場に到着する時間)といいます。ヘドウィグを演じる俳優は公演3時間前までに現場に来なければなりません。
ふつう女優の扮装が40分くらいかかかりますが ヘドウィグは大体20分程度長くかかるんです」

他のミュージカルに比べて俳優のコールタイムが1時間30分ほど早い。それだけ扮装に多くの力を入れているということだ。
ヘドウィグ役の俳優によって セリフ、状況、公演時間が全く異なるのは基本。衣装やカツラ、化粧法もやはりみんな違う。
特にミュージカル『ヘドウィグ』で衣装とカツラ、メイクはもう一つの‘作品’に挙げられるほど比重が大きい。

2005年4月の韓国初演からヘドウィグの扮装を引き受けてきたデザイナー チェ・ソンファ(43)クレアメイクアップスタジオ代表は
人より先に劇場に到着して扮装準備をする。
ドラッグクイーン(女装した男性)の扮装を11年間してみたら トランスジェンダーを扱った『ラ・カージュ』『プリシラ』等の作業を一手に引き受けてきた。

最近 ソウル鐘路区蓮建洞 弘益大・大学路アートセンター扮装室でチェ代表と会い 5名のヘドウィグのキャスト別扮装と舞台の裏話を聞いてみた。
チェ代表は「ヘドウィグは安価な性転換手術の失敗で‘彼’と‘彼女’の境界で危なっかしく立っている30代後半の 
繊細ながらも鋭敏なトランスジェンダーのロック歌手」と暗示した後「5名の俳優ごとに肌のトーンが異なるため化粧法もみんな異なる。
観客の視線はもちろん 舞台照明、俳優が受け入れる程度によって神経を使わねばならない扮装も変わる。毎回研究しなければならないが
‘ヘドウィグ’は楽しい作業」と言って笑った。


◇10回目のヘドウィグは何が変わったのか

公演回数 約1650回(2014年10月公演まで)、累計観客数 約50万名、数百回の完売とスタンディングオベーションなど、
空前絶後の記録を持っているミュージカル『ヘドウィグ』が10回目のシーズンに帰ってきた。
今回の公演で目に付くのは‘ニュー・メイクアップ’というサブタイトル。

トレードマークのようだったひなびたモーテルの背景がブロードウェイの舞台に変わり、300~400席の小劇場から約700席の中劇場に規模を大きくした。
実際の廃車場から空輸した約20台の廃車が積まれた舞台も見どころだ。ミュージカルナンバー12曲すべてがロック音楽で これまでの4人組バンド
(ギター1、ギター2、ベース、ドラム)にキーボードを追加して5人組バンドに拡張、より一層細密で強力な音楽を聴かせる。
衣装とカツラもすべて新品。すべての扮装コンセプトは俳優と疎通して決めた。

チェ代表は「ドラッグクイーンについての本も探して読み、梨泰院はもちろん海外に行く時にはわざわざドラッグキング、ドラッグクイーンのショーを
探して出かけてみた」とし「俳優も経験を積んで果敢に要求する。観客も初めは見慣れなかったが 今はずっと気楽な雰囲気」と耳打ちした。


◇2016‘ヘドウィグ’は5つの色合い

チョ・スンウ、オ・マンソク、キム・ダヒョン、ソン・ヨンジン、ソン・チャンウィ、オム・ギジュン、イ・ソクチュン、キム・スヨン、チョ・ジョンソク、
イ・ジュグァン、ユン・ドヒョン、ユン・フィソク、チェ・ジェウン、カン・テウル、キム・ドンワン、キム・ジェウク、パク・コニョン、ソン・スンウォン、
そしてチョン・ムンソン、ピョン・ヨハンまで。これまで数多くの俳優がヘドウィグを経験した。今回の10シーズン目を含む総勢20名のヘドウィグが誕生した計算だ。
彼らが作品で3~5個のカツラをつけるから その数だけざっと見積もっても最少60個。最多出演俳優は6シーズンに出演した
ソン・ヨンジン(2005~2009、2014)だ。

彼らの中でも今回の公演で5回目の舞台に立つ‘チョドウィグ’(チョ・スンウ+ヘドウィグ)のチョ・スンウ(2005・2006・2013・2014・2016)と 
5年ぶりに‘ポドウィグ’(白い+ヘドウィグ)で帰ってきたチョ・ジョンソク(2006・2008・2011・2016)が多くの固定ファンを抱えている。

チェ代表はチョ・スンウについて「初演メンバーらしく果敢で上手だ」と評価した。「だから唇も大きく描く方だし、濃いリップの色もよく消化する。
特にカツラや衣装を着替える時 タイミングが必要だが余裕がある」とし「カツラも髪の毛が伸びたように根元の部分を暗くしてほしいと要請するほど
積極的でシナジーが出る俳優」と紹介した。

チョ・ジョンソクのこれまでの外見はチェ代表にとって常に悩みの種だったが 今回の舞台では完全に脱出したと言った。
「5年ぶりに帰ってきたチョ・ジョンソクに年輪が感じられた。以前はぴったり合うメイクを探せなかったが 今回はヘドウィグに最も近づいたようで満足だ」
白い肌のトーンなので薄いピンクや水色がよく似合う。目もグリッターを多く使って目立つように表現すると語った。

チョ・スンウ、チョ・ジョンソクと共に舞台に立つ今シーズンのヘドウィグはユン・ドヒョンとチョン・ムンソン、ピョン・ヨハン。
その中でチョン・ムンソンは初舞台なだけにヘドウィグの起源を表現する。ユン・ドヒョンはロッカーらしく‘ロックスタイル’を強調する。
チェ代表が特に期待するヘドウィグはピョン・ヨハンだ。「4月に初舞台を踏むピョン・ヨハンの変身は扮装デザイナーの私がとりこになるほど扮装がよく似合う。
テスト当時 どんなメイクをしてもプレッシャーはなかった。舞台で見せてくれることが多くないだろうかと思う。ハハハ」


◇ワクシングから爪・化粧落とし‘舞台裏話’

ワクシング(ヒゲそり)は俳優が劇場に来る前に準備する。「俳優同士 ワクシングに良い製品を薦めて貸したりもする。公演前は確認だけする程度だ。
早く伸びたら公演開始の直前に剃れというほうだ」

決められた公演時間はおよそ130分。アンコールまで合わせれば何と3時間近く引っぱることでも有名だ。その後化粧落としにだけ15~20分かかる。
チェ代表は「ヘドウィグの扮装は薄くて繊細な眉とグリッター(きらきら光る粉)で飾った派手なアイメイクが特徴だ。
本人の眉を隠した後 薄く描いて特殊メイクするためカバー力があり汗で落ちない」とし「一週間に約3回ずつ厚化粧をしなければならず 俳優に申し訳ない。
クレンジングクリームでこすって落とさなければならない」と耳打ちした。グリッターを付けたり派手な色のヘドウィグの爪もやはり毎回塗って消してこそ扮装作業だ。

チェ代表は「扮装は俳優がキャラクターに変身する最初の関門であると同時にキャラクターを観客に理解させる作業」とし
「俳優が 扮装が演技の役に立ったという言葉を聞く時やりがいを感じる。今回のヘドウィグがそうだ。
個性が目立つ5名全員を揃えてみなければならないほど魅力的」と笑った。
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