くまきち日記

名古屋に住んでいる、くまきちのたわごと。

『ヘドウィグ』 それぞれの魅力

2016-03-22 23:35:42 | YB&ユン・ドヒョン



















チョ・スンウ、チョ・ジョンソク、ユン・ドヒョン、チョン・ムンソン
・・・あなたの‘ヘドウィグ’は?


俳優別に公演を比較すると・・・‘5色’の魅力

2005年 国内初演以後 マニア層の熱狂的な支持を得てきたミュージカル『ヘドウィグ』が華麗な出演者と共に 
新しい姿で1年6ヶ月ぶりに再び帰ってきた。

今月1日からソウル 弘益大学校・大学路アートセンター大劇場で公演中の『ヘドウィグ』は 
東ドイツ出身の失敗したトランスジェンダーのロック歌ヘドウィグの波瀾万丈な人生と愛の物語を描いたロックミュージカルだ。

劇的なあらすじと哲学的歌詞を入れた珠玉のようなパンクロック音楽、破格的な衣装とメイクなどで 
1998年 アメリカ ニューヨーク・オフブロードウェイの初演当時 大きな話題になり作品性と大衆性を認められた。

ブロードウェイ外郭の小劇場で始まった『ヘドウィグ』は2014年3月からブロードウェイに舞台を移し新しい姿で公演を始めた。
韓国でも同年10周年公演を最後にこれまでのバージョンを終え、今年 新たにブロードウェイバージョンを舞台に上げた。

これまでずっと300~400席の小劇場規模を維持してきた『ヘドウィグ』は 今年からは700席規模の中劇場で公演する。

劇中 背景もニューヨークの古びたモーテルから廃車場を具現したブロードウェイのとある劇場に変えた。
舞台には実際の廃車場から空輸した車輌約40台が積み重なり独特な雰囲気を演出する。

『ヘドウィグ』は先立って 名だたる俳優たちが経験していった舞台としても有名だ。

今回も2009年以後7年ぶりに再び‘ヘドウィグ’として帰ってくるユン・ドヒョンと 
5回のシーズンを共にして全回完売記録を立てたチョ・スンウが並んで舞台に上がる。
ドラマ、映画、バラエティで縦横無尽に活躍する俳優チョ・ジョンソクも2011年以後5年ぶりに‘ヘドウィグ’を演じる。

ドラマ『未生』以後 ドラマと映画で大活躍の俳優ピョン・ヨハンは‘ヘドウィグ’でミュージカルに初挑戦する。
最近 大学路の舞台で目立った活動をする俳優チョン・ムンソンも新たに合流した。

『ヘドウィグ』は俳優のアドリブがかなり許され 俳優の個人技と個性により舞台もそれぞれ異なる色彩を帯びる。

ドラマ撮影のために4月から舞台に立つピョン・ヨハンを除いた4名の舞台を見て それぞれの魅力を比較した。


◇きらびやかなアドリブ・・・‘老練味’チョ・スンウ

初演時から5回のシーズンを共にし 自分だけの‘ヘドウィグ’を作り出したチョ・スンウは
‘チョドウィグ’という名声にふさわしい 終始一貫して余裕ある老練な演技とパフォーマンスで2時間のあいだ客席をほしいままにする。

全力で臨む激しいダンス、エナジーあふれる歌と共によどみないアドリブに観客は熱狂する。

特に他の‘ヘドウィグ’たちと比べて一段とレベルの高い卑猥な冗談もしらじらしく駆使して観客をびっくりさせる。

ミュージカルの大筋は維持するが、これまでの‘ヘドウィグ’の中で最も自由な舞台でチョ・スンウ印の‘ワンマンショー’の真髄を見せる。

チョ・スンウの舞台は全席が早々に完売した状態だ。


◇八色鳥の魅力爆発・・・蠱惑的なチョ・ジョンソク

チョ・ジョンソクは大衆にとっては映画とドラマで名前を知らせた俳優だが 以前からミュージカル界では‘オッパ部隊’を連れて歩くスターだった。

2004年ミュージカル『くるみ割り人形』でデビューしたチョ・ジョンソクは 2006年『ヘドウィグ』でスターダムに上がったが、
舞台を見ればその理由がわかる。

派手なメイクに金色のショートパンツ、網タイツ姿のチョ・ジョンソクは人形のように美しく どの女優より蠱惑的で妖艶な姿を誇る。

映画とドラマで見慣れた特有の茶目っ気とユーモアあふれるアドリブ、弱々しく繊細な感性の演技と即興のコミカルな演技、
訴求力ある歌を休みなく行き来して観客の魂をぐっとひきつける。客席では笑いと歓声が絶えない。

真っ白な肌のために付けられた‘ポドウィグ’というニックネームのように愛らしいヘドウィグだ。
反転に反転を繰り返す八色鳥の魅力が集約された舞台で、‘俳優チョ・ジョンソク’以上の‘ミュージカル俳優チョ・ジョンソク’と出会える。


◇圧倒的な‘ロック’ヴォーカル・・・タフなユン・ドヒョン

ユン・ドヒョンはチョ・スンウやチョ・ジョンソクのような職業俳優と比べると 劇全般を引っぱる演技力やアドリブは相対的に弱い。
だが、爆発的なロックヴォーカルで弱点を挽回し 彼だけのタフでワイルドな‘ヘドウィグ’を創造する。

ガムをくちゃくちゃ噛んで現れたユン・ドヒョンは最初から観客に「良い話をする時起きろ!!!」と叫んで強烈ですがすがしい歌で舞台を圧倒する。

舞台の雰囲気が熟し始めると 序盤で多少ぎこちない感じだったユン・ドヒョンのアドリブもなじんできて 彼が爆発させる音楽で威力を発揮する。

一旦ユン・ドヒョンがマイクを持って歌い始めると公演会場はあっという間にロックコンサート会場に変わり、
舞台を超えて客席まで音楽に合わせて頭と体を揺らす観客の熱気であふれる。

ミュージカルがすべて終わった後 メインの曲を順に歌う15分間のハイライトステージは もうひとつの公演だというほど強烈だ。
ストレスがスーッとほぐれる気分を感じられる。


◇セクシーな‘ヘドウィグ’・・・ニューフェイスのチョン・ムンソン

チョン・ムンソンは今年初めて『ヘドウィグ』に合流したニューフェイスだ。

演劇『蜘蛛女のキス』、ミュージカル『死の賛美』等で線の太い男性的な演技をしてきたチョン・ムンソンは 
今回はとても女性らしい姿に変身する。

特にくびれた腰とまっすぐ伸びた脚など すらっとしたスタイルを誇示して細いながらもセクシーな目新しい風貌を披露する。
歌も他のヘドウィグに比べて高いトーンで消化する。

ただし まだ‘先輩’ヘドウィグたちに比べて2時間の舞台を密度あるように引っぱっていく内面の空白と舞台掌握力が多少不足して 
彼だけの特技が目立たない点は残念だ。

‘ヘドウィグ’の歌をすべて暗記するほど かなり前から‘ヘドウィグ’のファンだったというピョン・ヨハンは4月27日 初舞台に立つ。
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