マクベスの居城―― 安心しきったダンカン国王を城内に迎え、いよいよ事に及ぶに当たってマクベスは躊躇する。
ダンカンに対する三重の関係(親戚、臣下、主役)において、彼を殺す理由を見出すことが出来ないが、マクベスには、それがあったのだ。
彼は、国王殺害を確実に実行出来るかどうかについて慎重になった。
もし失敗すれば、確実に報復されて身の破滅である。
もし失敗すれば、確実に報復されて身の破滅である。
'He's here in double trust: First, as I am his kinsman and his subject, Strong both against the deed: then as his host, Who should against his murderer shut the door, Not bare the knife myself.' (王が今ここにいるのは二重の信頼からだ。 先ず第一に、俺は身内であり臣下である、いずれにしろ そんなことはやりっこない。次に今夜は主役、逆心を 抱いて近寄る者を防ぐ役目で、それを自ら短剣を 振りかざすなどもっての他だ)
ダンカンに対する三重の関係(親戚、臣下、主役)において、彼を殺す理由を見出すことが出来ないが、マクベスには、それがあったのだ。
彼が考えたことは、このような殺人が行なわれたら、異常な騒ぎが起こるであろうということだった。
マクベスの動機は、自らの野心のみであり、正当性がない。
下手をすれば、周りから非難の声が揚がり、彼の目的が挫かれる怖れが十分に考えられるのだ。
故に、もうこれ以上進むまいと一旦は決心し、妻が現れると、その様に話すのだった。
慎重といえば聞こえがいいが、結局、マクベスは小心者ということだ。
'Besides, this Duncan Has borne his faculties so meek, hath been So clear in his great office, that his virtues Will plead like angels, trumpet-tongued, against The deep demnation of his taking-off.' (そのうえ、ダンカンは、 生まれながらにして温和な君徳の持ち主、国王として、 一点の非の打ちどころがない、うっかり手を下そうものなら、 その長所が、天使のように声高らかに非道の罪を揚げるだろう)
マクベスの動機は、自らの野心のみであり、正当性がない。
下手をすれば、周りから非難の声が揚がり、彼の目的が挫かれる怖れが十分に考えられるのだ。
'I have no spar To prick the sides of my intent, but only vaulting ambition, which o'erleaps itself, and falls on the side.' (俺の意中の馬(目的)の 脇腹を突く拍車がない、ただ野心だけが跳び跳ねたがる、 飛び乗ったはよいが、鞍越しに向こう側に落ちるのが 関の山だ)
故に、もうこれ以上進むまいと一旦は決心し、妻が現れると、その様に話すのだった。