ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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ゆるりと思ったことを書いていってます。
お気に召したらうれしい限り。

村山由佳 『天使の梯子』 読了

2018年09月23日 22時53分41秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。



今年の秋は、読書の秋。
食欲も相変わらずありますが、少し読書にも回そうと思います。


今回読んだのは村山由佳さんの『天使の梯子』。
『天使の卵』の続編にあたる本作、ずっと前に一度読んだことがありましたが
再読しました。

正直言って、全然内容を覚えていなくて、
ほぼ初読了という感じでした。


『天使の卵』は、僕の人生に、読書というものを与えてくれた
非常に思い入れのある作品です。
多分、人生の中で一番読み返した回数も多いと思います。

その10年後に、続編として書かれた本作。
物語の中でも10年が経過しており、且つ主人公も別の人物となっています。







本作を語る上で、ネタバレの要素が含まれてしまうため、
以降は、ネタバレが嫌な方は読まないでください。




















『天使の卵』は一本槍歩太(いっぽんやりあゆた)と五堂春妃(ごどうはるひ)の恋愛の物語です。
じつは、12年ほど前に、僕のブログの中でも紹介しています。
天使の卵~エンジェルス・エッグ~ ジニレビュVol.4


痛みという言葉が目につきますが、まさに本作は痛みと再生の物語。
作中、五堂春妃は亡くなり、愛し合う二人は死別というとてつもない痛みを背負います。
傷心の主人公に囁きかけるかのような真実と、揺るぎない愛の質量は
悲しみの中に淡い光を差し伸べてくれるかのようで、とても印象的でした。


本作『天使の梯子』は、主人公、古幡慎一(ふるはたしんいち)と斎藤夏姫(さいとうなつき)の
恋愛の物語であり、斎藤夏姫は、五堂春妃の実の妹です。

『天使の卵』から10年の愛月を経て、五堂春妃という人物を失くしたことによる
痛みと向き合う一本槍歩太と斎藤夏姫と、そんな夏姫に恋をする慎一の物語です。


両者に共通するのは「愛する者の死」。
本作中で慎一も、母親代わりに自分を育ててきた祖母を亡くします。

10年の歳月を経て、主人公も異なる二つの作品ですが、
色んな所で重なり合う部分があります。
それこそまるで双子のような印象です。


しかしながら、(これは本作の解説にも書いてあったことですが)二つを決定的に
分けるものがあるのです。
それは「生」と「死」。
『天使の卵』は死ぬ行く者が中心となる物語でした。
一方で、『天使の梯子』は生きていく者が中心となる物語です。

恋人、実の姉というとても近い存在を亡くし、痛みを拭えずにいる歩太と夏姫に
10年までの二人のような危うさとひたむきさを持った慎一が混ざり合うことで
「残された者」として、一つの答えを導き出します。


全巻から引き続き、非常に悲しみを帯びた世界観ではありますが
本作を通して、そのタイトルの通り、一筋の光が希望へと導いてくれるような
そんな物語の閉じ方が印象的でした。



以前読んだ時の記憶はほとんど残っていないと、冒頭で書きましたが、
今回改めて読んでみて、どちらかというと僕は『天使の卵』よりも『天使の梯子』が
好きだなという感想を抱きました。
もちろん、『天使の卵』を経ての、『天使の梯子』なので、どちら一方をと
割り切って考えることは難しいのですが、やはり生き続けようと、
悲しみの淵から再生し始めるという前向きさに、素直に心打たれ、本作のほうがより
心にインパクトを残しているのだと感じています。



「死」というものを、僕は厳密にイメージできません。
「死」のその先には、何があるのでしょうか?
知る人はいないと思います。

残されたものは、どんなに悲しくても生きることを辞めることはできません。
では、生きるという行為の中で、直面した「死」とはどう向き合うべきか、
その答えの一つを、本作は上手に導いてくれます。

死生観は、それこそ十人十色。
人の数だけの思想があると感じています。
そういった思想の最大公倍数として本作は、多くの方の胸に「答え」として
残っていくものではないかと感じました。


非常に、良い読後感を与えてくれる作品でした。






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中日に仕事

2018年09月23日 22時32分06秒 | Weblog
こんばんは、ジニーです。


2週間連続の3連休。


中日ですが、仕事でした。
午前中だけ、職場に行ってきました。

時間を捻出してよかったなと思えるものでした。


明日も休みなので、なんか余裕があっていいです。



すっかり涼しくなった夜。
秋の夜長といっても大丈夫かな?



今日は、ちょっと夜更かしします。
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