ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

気負わず、気取らず、ありのまま。
ゆるりと思ったことを書いていってます。
お気に召したらうれしい限り。

北村薫 『夜の蝉』 読了

2019年09月01日 00時14分52秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。

今日は、読了のコーナー。
一つ前に読んだおどろおどろしいミステリーから一変して
人が死なないミステリーです。

北村薫の「夜の蝉」。

女子大学生の私と、落語家の円紫さんが繰り広げる物語の第二弾。
私の何気ない日常の、ちょっと不思議な出来事に見事な解決を見つける円紫さん。
受け流してしまえばそれはそれで問題のないようなことなのですが、
「へぇ、そういう理由があったのか」なんていう形で解決へ導く。
そんなのんびりとした作品です。

本編は、
「朧夜の底」
「六月の花嫁」
「夜の蝉」
の3つの短編からなります。


どれも落語がテーマと絡み進んでいく内容でして、
全く落語を聞かない僕からすれば、その分少し敷居が高く感じて
しまうところもあるのですが、それでも謎の内容に話が及び始めると
先が気になってきてしまいます。

「朧夜の底」
無意識の罪という感じでしょうか。
私の友人バイト先である本屋で不思議な現象が起きます。
本がさかさまに置かれているのです。
もちろん店員がそんなことをするわけはありません。
では、なぜそんなことをする客がいたのか?


「六月の花嫁」
『鰍沢』という落語になぞらえて問題提起が始まる本編。
友人とその仲間に誘われ赴いた、軽井沢の別荘。
そこで、チェスの駒と、卵と、鏡が順々に無くなります。
しかも不思議なのは無くなるときの状況。
チェスの駒がない⇒冷蔵庫の卵入れで発見、そこで卵がなくなっていることに気付く。
卵⇒お風呂の脱衣所で見つかる、そこに置かれていた鏡がなくなる
鏡⇒チェスの駒入れから見つかる、これで全部見つかった。
というしりとりのような紛失状況。
私は一つの推理から真相を明かしますが、1年半後である現在、
その話を円紫さんとする中で、円紫さんは別の回答を出します。
それはどのようなものか?


「夜の蝉」
私の姉が遭遇した奇妙な事件。
忘れられない元カレに送った歌舞伎のチケット、当日行ってみると元からの彼女が
その席に座っており、鉢合わせになってしまった。
つらい嫌がらせかと思いきや、後日元カレとその彼女から
「嫌がらせをするのはやめてほしい」と言われてしまいます。
それもどうやら、姉を貶めよとしているのではなく、本当に向こうも
被害を被っているような様子。
この事件の真相は?



秀逸なのは「夜の蝉」でした。
私と姉の中にあるわだかまりのようなものが、一つの謎をきっかけに
少しずつ溶けて、本来のしまいに戻っていくのですが、
そのきっかけとなる出来事が、人の心とはかくも単純で複雑なのかと
個人的にとても唸りました。




落語のない世までわかるともっとこの作品の面白さがわかるのかも
しれません。
少し落語を聞いてみようかと思いました。
しかし、僕にとっては落語は妙に敷居の高さを感じており、
それが実現されるのは、いつ頃になるのか・・・。
今のところ未定です。



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