楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

人間の経済活動の中でなぜ不況が来るのか?Ⅹ

2009-03-12 09:50:03 | Weblog
 もう少し第一のパイの説明をしておこう。第一のパイに入る人口、日本においては一億二千万人ということになる。これらの人たちは全て貨幣を通して生活していることになり、第一のパイの中にある貨幣を全てが均等に持っているのではなく、そのうちの数パーセントの人達が多くを所有しているのが資本主義社会の現状である。その他の多数の人たちはいくばくかの預金と住宅ローン・自動車ローン・消費者ローン、その他の借り入れで景気後退局面では身動きできない状態となる。

 ここから第二のパイの説明に入ろう。第二のパイ、それは架空のパイであるがそれなくしては貨幣の動きを説明できないものとしてあえて書いていく。
 
 第二のパイに入るもの、まず、第一のパイ(市中)の人達のほとんどが持っている預金ということになる。人は現金を銀行に預け金額が印字された通帳を持ち帰ってくる。その他に第一のパイで現金と交換された国債・社債等証券類となり、そして先物の証券類、企業の株と言うことになる。これらは新たに発行された国債等を除いては、第一のパイの中で人と人の現金と証券の交換を通して、現金を持った者は市中(第一のぱいの)で買いものにあてる。また現金を出し証券を貰った者はその証券の値上がりを待って第二のパイに入れることになる。

 第二のパイの中では先物・株を除いてはパイを膨らませる要素は金利だけだが、先物・株においては前の文章に書いたように小数の人々の取引によって総金額がいつでも増減している。人々が株の買いに集中すれば株の総金額が上がったことによって第二のパイがより大きく膨らむ、この現象がバブルと言われるものである。当然先物取引によって少数の人の買いが、原油に集中すればこのパイを大きく膨らませる元になり、穀物・金属等に買いが集中すれば、やはり第二のパイは大きく膨らむ。

 今回はこれらに加え証券化商品というかたちでパイを膨らませたことになる。本来住宅ローンにしろ自動車ローンにしても、単なるローン債権であれば金融機関が第一のパイで庶民に貸し付けたローン債権がそのまま第二のパイに入り、金利分だけがパイを膨らませることで済んだが、それを証券に加工し高い金利をつけ金融機関・一般投資家に際限なく売ったことがより第二のパイを膨らませたことになる。

 最初の行程は建築会社が住宅を建設する、それを金融機関が第一のパイの中で客を見つけ30年で返済するという契約で金融会社が客に現金を渡し、客が建築会社から住宅を受け取る。ここまでが市中で行われる行為であるが、ここから先が30年ローンの債権が第二のパイの中で加工され証券になる。当然ここでは証券に加工した企業が相当な利益を載せているが、これらの利益は第二のパイを膨らませる要素となる。

 話を元に戻すと第二のパイの中で加工された証券は、買い手を探すべく第一のパイの中で客を探す、買い手が見つかれば現金と証券の交換となる。証券を買った客は現金を売り手に渡し証券は第二のパイの中でその分膨らむことになる。現金を渡された売り手は住宅販売会社もしくは自動車販売会社を通して長期ローンの客を再度見つけさせ新たな客にローンを組ませる。

 つまりこの繰り返しで第二のパイはどこまでも膨らんでいくことになる。それにつれて第一のパイ(市中)では物が売れていくことによって最高の景況感となって現れていく。当然株は値上がりし第二のパイをさらに膨らませる。

 今までのように銀行の貸付にあった預金準備率というブレーキをはずされ、信用創造だけで済んでいたものが今回は架空の創造を作り出したという点では今までにないことが起こっているのではないだろうか。

 ここまで書いたものはバブルまでであるが、それがどのように弾けていったのか次回書いて見たい。

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