名古屋市民ギャラリー矢田(地下鉄ナゴヤドーム前矢田駅下車)で開催中のプロ級画家らの作品展シリーズを締めくくる3回目は、愛知県立芸術大学OBのグループ展「K展」に並ぶ作品の中から、日本画の院展を舞台に腕を磨いている田中宏明さんと加藤洋一朗さんを取り上げました。
加藤洋一朗 夏日
望 田中宏明
2人は愛知県立芸術大学出身。グループ展名・K展の「K」は、愛知県立芸術大学(愛知芸大)で、日本画の片岡球子教授と洋画の笠井誠一教授から学んだ卒業生らの有志が両教授の頭文字Kをとって名付けたもので、今回が24回目の展覧会。田中さん、加藤さんの日本画の他に、洋画や彫刻作品なども並んでいます。
田中さんは53歳、加藤さんは50歳。ともに院展の院友。
近年は院展の入選者数が東京芸大と肩を並べるまでになった愛知芸大の日本画ですが、2人は年齢的にも日本画界の中堅として活躍が期待される存在といえるでしょう。
田中さんは院展に挑む一方で、片岡の提唱で愛知芸大が全国に先駆けて始めた国宝の絵などの復元模写に身を置いていました。15年ほどかけて西大寺や法起寺の仏画などの復元に取り組んだあと、現在は院展に絞っているそうです。
創作の一方で、愛知芸大に進む前の母校である名古屋市内の私立星城高校・星城中学校での美術指導にもあたっています。
院展の出品作には鳥のいる風景が多いようです。
院展会場で見た僕の記憶にも、泳ぐカモと水面に広がる波紋のが美しさが残っていますが、今回のK展に出ているのは山を描いた作品。
「いろんな表現を追求したくて、このような絵も時おり描いています」とのことでした。
加藤さんも院展入選を重ねる一方で、復元模写のエキスパートの道も歩んでいます。
今年6月に完成した名古屋城本丸御殿の障壁画の復元模写にも携わりました。
「片岡先生から受けた厳しいデッサン指導や、復元模写のチャンスを与えてくれた先生のおかげです。作品の部分摸写をさせてもらっていましたが、やっと一枚の絵全体の摸写を担当できるようになりました」と加藤さん。
2人は今、この秋の院展に出す絵の仕上げに入っています。院展を見に出かけるのが楽しみです。
※K展には田中さんがF50号の作品を1点、加藤さんがF150号の作品など2点を展示していますが、2人の創作活動を紹介するため、僕の手元にある院展の作品集から追加して3点ずつ掲載しました。
田中宏明 水面・群
田中宏明 寂然
加藤洋一朗 冬の道
加藤洋一朗 森への誘い